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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
105/258

105 クラス対抗戦

 休日が終わり、学園に通う日々が始まる。

 王都に家がある私は学園まで歩いていくんだけど、ここは貴族街なので煌びやかな馬車が次々に私を追い越していく。

 馬車の窓からめっちゃ見られている。

 そしてFクラスの腕章を見て鼻で笑われる。

 Fクラスだから、家から馬車も出してもらえない落ちこぼれだと思われてるのかな?

 相変わらず差別が激しい学園だなぁと思う。


 そして学園の門をくぐると、見覚えのある金髪リーゼントが前を歩いていた。


「やぁ、おはよう!」

「……はぁっ!?ば、馬鹿なっ!何でお前がここにっ!?勇者でも攻略不可能なダンジョンに飛ばした筈なのにっ!」


 おお、なんかめっちゃ驚いてるね。

 でもおかしいな?

 キャサリン姉が王女を通して抗議してくれてると思ってたけど、公爵家に私の生存が伝わってないのかな?

 勇者でも攻略不可能なダンジョンだから、生存して帰って来たのがデマだと思われたとか?

 それともこのボンボンには教えられてないとか?

 まぁ、とりあえず王女に聞いてみよう。


 驚愕の表情の金髪リーゼントはそのまま放っておいて、学園の校舎内に向かった。

 Fクラスの教室(?)は裏山なので、本来ならば校舎に入る必要は無いんだけど、今回は王女に確認するためにAクラスへと向かうのでしょうがない。

 でも、どうやって王女を呼ぼう?

 前世ではどうやってたっけ?

 よく考えたら、前世でコミュ障だった私にそんなスキル無かったわ……。

 王女以外の知り合いであるレオナさんは現在Fクラスだし、他にAクラスに知り合いなんて居たっけ?

 聖女……はパスよね。気付かれたらヤバいし。

 と、そこへ昨日助けた少年がやって来た。


「どうしたの?」


 丁度いいところに知り合いが来た!


「えっと、Aクラスのソフィア王女殿下を呼んで欲しいんだけど……」

「分かった。呼んでくるよ」


 おお、助かった!

 人助けはしておくもんだねぇ。

 間もなく、王女が教室から出てきた。緑髪の女の子と一緒に。誰?


「彼女は私の新しい護衛で、エンデです」


 エンデと呼ばれた護衛は一礼すらせずに、じっと私を睨み続けていた。

 既視感っ!

 王女の護衛になったら私を睨む決まりでもあるの?

 レオナさんのように和解できるといいんだけど、そうするためには一度戦わないとダメだったりしないよね?

 そして、何故か呼びに言った少年もここに居る。

 チップを求めているんだろうか?

 昨日助けた事でチャラにしてくんないかな?

 王女に視線を送るが、何故か王女も彼を追い払おうとはしない。

 まぁ、別に居ても困らないけど、何なんだろうね?


「ソフィア王女、昨日の件でうちの姉から何か聞いてない?」

「聞きましたよ」

「でも公爵家の金髪リーゼントは何も知らされて無かったみたいだけど……」

「えぇ。私の方で差し止めておきましたから」

「いや、何で止めるのよ?あぁ、公爵家の権力が強すぎて抗議できなかったのね?」

「そうではなく、知らせない方がアイナさんが無事に戻ったのを見て驚くだろうと思って」

「そんな理由!?」


 まぁ確かに効果覿面てきめんだったけどね。

 幽霊ゴーストでも見たかのようにびびってたし。

 王女のお茶目な悪戯だったのか……。

 いや、そこはちゃんと抗議しときなさいよ!

 え?キャサリン姉の名前を出せないから抗議にならない?

 そういえばそうか……。

 キャサリン姉は何故か王都でもかなり有名なようで、色々偉い人に会ったりしてるみたい。

 そんな人の庇護下にあると知られると、私にちょっかいかけてくる人が増えるだろうから、今は秘密にしてるんだったよ。

 キャサリン姉の家から出入りしてるし、知られるのは時間の問題だと思うけどね。

 しかしいつの世も、平民は泣き寝入りするしかないのですなぁ……。

 まぁ、金髪リーゼントはあれだけびっくりしてたし、今後は余計なちょっかいをかけてくる事も無いだろう。

 ……無いよね?


「アイナさんにお伝えしておかなければいけない事があったので、丁度良かったです」

「え?何?」

「近々、学園内でクラス対抗戦が開催されます。各クラスで代表3名を選び、トーナメント形式で模擬戦を行うという、いわばお祭りの様なものですね。たぶんFクラスの代表にはアイナさんとレオナが選ばれると思いますので、お伝えしておきたかったのです」


 へぇ、クラス対抗戦なんてあるんだ。

 AクラスからFクラスへ移籍したレオナさんは当然選ばれるだろうね。

 私も何事も無ければたぶん選ばれるだろうし、後は魔王レントちゃんで決まりだね。


「そんなイベントがあるんだね」

「毎年開催されていますよ。観客も入れてかなり大々的にやるんですが、聞いた事は無いですか?」

「学園の事なんて知ったのつい最近だし……。それにしても観客なんて入れて大丈夫なの?スキル至上主義のAクラスがFクラスに負けたら大変な事になりそう。手抜いた方がいい?」

「おい貴様っ!さっきから殿下に対する態度が不敬だぞっ!!」


 突然、緑髪の護衛エンデさんが会話に割って入る。

 既視感再びっ!!

 何なの?王女の護衛になると皆ああなっちゃうの?


「それと、Fクラスごときが思い上がるな!FクラスがAクラスと戦える事などあるはず無いだろうがっ!!」


 トーナメントなら勝ち進んでいけば戦えるんじゃないの?

 あ、Aクラスが負けちゃう可能性もあるか……。


「エンデ、控えなさい」

「し、しかしっ!」


 王女に止められるところまで、まるでレオナさんをリピートしているかのような完コピを見せるエンデさん。

 また私に挑んでくる流れじゃないよね?

 めんどくさいから止めてね。

 王女の護衛が次々にFクラスに来ちゃったら、誰も護衛居なくなっちゃうでしょ。


「アイナさん、トーナメントとは言っても、かなり歪なトーナメント方式なのです。初めにFクラスがEクラスと戦い、勝者がDクラスと戦う。そして、その勝者がCクラスと戦い、更にその勝者がBクラスと戦う。そして最後の勝者がようやくAクラスと戦えるのです」


 まさかのAクラス決勝以外で負けちゃう可能性0だった。

 何その嫌がらせとしか思えないシード方式……。


「あー、そういうやつね。じゃあ4回勝てばAクラスと戦えるじゃん?」

「まぁ、レオナとアイナさんがいれば、ひょっとしたらそうなるかも知れませんね」


 エンデさんはめっちゃ不満顔で、そんな事ある筈が無いって顔してるし。

 勝ち抜き戦ならレントちゃん一人で全員抜きしちゃいそうだけど、どうやら星取り戦らしい。

 先に2勝した方が勝ちになるので、一人だけ強くても勝てないのである。

 私とレントちゃんでいけそうだけど、レオナさんも鍛えた方がいいかな?

 ちょっと楽しみになってきたかも。

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