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【完結】毒針クリティカル  作者: ふぁち
第三章『学園編』
100/258

100 水操作スキル 1

 安全装置としてぼっちさんに足の固定具を生やしておいて良かったよ。

 気絶したレントちゃんが落ちそうになってたから、危ないとこだった。

 私はもちろん腕を組んで立って乗ってたけどね。様式美だし。


 垂直離着陸可能なぼっちさんは、静かに湖畔に降り立った。

 そこは突き刺さるように着地でしょうに。

 湖に着いたので、とりあえずレントちゃんを起こすことにした。

 気絶してて丁度良いので、気付かれないうちに魔力解放毒を打ち込んでおく。


「ぷすっとな」

「あばばばばばばばば、ぷひゅー……」


 うん、目覚ましにはやっぱりこれよね。


「アイナ、お前容赦ねーな……」


 容赦?何それ、美味しそうね。


「では、レントちゃんのスキル使い方講座〜!」

「……ふ、ふぇ?あれ?アイナさん?スキルって?」

「レントちゃんのスキルの使い方を教えるって言ったじゃない」

「あ、そういえばそんな事言ってましたね……」

「今日は訓練も無いし、存分にできるからね。レントちゃんのスキルが使いやすい湖まで来ました」

「あっ!思い出したっ!私、強引に何か白い円柱に乗せられて……ここどこですか?」

「裏山越えたとこの湖だよ?」

「裏山って、学園の裏山ですか……?」

「そだよ」


 ポカンとしたレントちゃんは、それでも状況が飲み込めないようだった。


「行軍であんなに辛い思いして上り下りしてる山をあっという間に越えたなんて……」


 いや標高2000mぐらいだし、普通に走ってもそんなに大した山道でもないでしょ。

 まぁ獣人とヴァンパイアのハイブリッドにとってはだけど。


「それよりも、レントちゃんのスキルを見せてくれない?」

「は、はい。近くに水があるのでお見せできるとは思います」


 まぁそもそもそれが大前提として間違ってるんだけどね。

 それは後にしよう。

 レントちゃんが湖に向けて手をかざすと、水が直径30cmぐらいの球状になって浮かび上がった。

 その水球がふわふわと飛んで私達の元へやってくる。


「私のスキルで出来るのはこの程度の事なんです。これじゃ当然Fランクスキルですよね」

「もっと速く動かせないの?」

「それにはもっと魔力が必要なんです。私の少ない魔力では、これぐらいのスピードで移動するのが精一杯で……」

「魔力増えてるはずだから、もっと速く動かしてみて?」

「え?は、はい……って、めっちゃ速く動くううううぅっ!?何で魔力増えてるのおおおおぉっ!?」


 よし、ちゃんと魔力増えてるね。

 っていうか、レントちゃんめっちゃ素質あったみたいで、魔力量が40万ぐらいになってるんですけど?

 もう魔力量だけでも魔王名乗っていいんじゃないかな?


「魔力を思いっきり込めて、あっちの樹にぶち当ててみて?」

「分かりました……。えいっ!!」


 レントちゃんが魔力を込めた水球は、かなりの速度で樹に当たり、大きく樹を揺らして水滴になって飛び散った。

 そこそこ速度は出てたけど、たぶん魔物とか動く敵に命中させるにはちょっと速度が物足りないと思う。

 おそらくそこがスキルの限界点なのかもね。

 ところがぎっちょん。

 レントちゃんが操ってるのが水である時点で、動かす速度なんてどうでも良くなるのよ。


「じゃあレントちゃん、次は水球を圧縮してみて。こんな風に」


 私は水(毒)を生成して、先程レントちゃんが作った水球と同じものを宙に浮かす。

 そして、それに圧力をかけたようなイメージで、小さく縮小した。


「え?えっ?なんでアイナさんも私と同じスキルが使えるんですかっ!?」

「私のはただの真似だから気にしないで。それよりも、今私がやったのと同じ事をレントちゃんもやってみてよ」

「は、はい……出来るかな?」


 レントちゃんがまた湖から水球を作り上げて、手元に持ってくる。

 そして、小さく圧縮していく。


「こ、これ結構魔力使いますけど、これに何の意味が?」

「ここからは注意してやってね。失敗すると怪我するから」

「ええっ!?」

「その圧縮した水球の一部分だけ、小さい穴を空けるように圧力を弱めるの。そうするとそこから勢いよく水が飛び出すから」


 私は圧縮した水(毒)に針で刺したぐらいの小さい隙間を作る。

 すると圧力から解放された水が勢いよく飛んで行き、付近にあった樹に穴を穿った。


「ええええええっ!?何ですか今のっ!?」

「圧縮された水に小さな出口を作ってあげると、一気に圧力が解放されて水が放出されるんだよ」

「よく分からないですけど、一部分だけ圧力を弱めるんですね……うわっ!?」


 レントちゃんの水球からも勢いよく水が飛び出して、同じように樹に穴を穿った。


「わ、私のスキルでこんな攻撃的な事が出来るなんて……」

「水の量を増やして圧縮率を上げれば、もっと強力な攻撃もできるし、複数の水球で連続攻撃できたら無敵じゃない?」


 私が金属スライム相手にやってた突き刺す攻撃とは違って、これこそが本当のファン○ルだよね。

 レントちゃんはごくりと唾を飲み込んだ。

 自分のスキルの有用性にようやく気付いたみたいだ。

 でも、まだまだこれは序の口だよ。

 この先にはまだ序二段、三段目、幕下、十両、幕内とあって、最終的には横綱を……じゃなかった、魔王クラスの強さになって貰わないと困るのよ。

この物語はファンタジーです。

実在する水とは一切関係ありません。

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[良い点] 楽しいです 更新楽しみにしてます キャラがいっぺんにいっぱい出てこないので 読みやすいです [一言] 祝100話
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