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始まり
産まれた。
今ここに一つの存在、命というものが生まれた。
これからの未来を生まれたばかりの彼は知るよしもないが、死という終わりが来るまでは彼はどんな形であれ生を受け入れていかなければならない。
貴人とその男の子は名付けられた。
貴い人になって欲しいという両親の希望で彼はその名を与えられた。
彼は周囲の祝福を多いに受けなんら変哲のない一般的な環境で健やかに育てられ一般的な人生を送るはずだったのだが…
この少年は生まれつきの物なのか物事を悲観的に捉える傾向が人一倍強かった。
話は幼少期まで遡る。
幼稚園で彼は大勢の園児の中で周囲に負けなく意志を出そうとして行動しようとしたこともあった。しかしこの頃から彼には普通の状況が容易なことには感じることが難しかった。
園児には遊ばせるという名目でオモチャがバスケットのカゴに所狭しと入っている。
ぎゅうぎゅうに詰め込まれたそれはどこに何があるのか見当もつかない。
しかし不思議なもので園児が興味を持つ