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魂の旅路  作者: 星いちる
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光の時空

 しかしこの状態はいつまでつづくのだろう……

 めまいはますます大きく、時空はますます歪みつづけた。

 一抹の不安はあるが、不快さはない。

 苦しみもない。

 苦しみというのは、生きている間に味わいつくすものなのかも知れなかった。

 思えば、生きている間の苦しみとはなんと大きなものだったろうか。

 耐え難い苦しみが一生のうちに何度あったことだろうか。

 それこそ、死んだほうがマシというような耐え難い苦しみが無数にあった。

 あまり認めたくないことだが、それは生きているうちの華というべきなのだろう……

 物事は一面的ではないのだから。

 苦しみがあるからこそ、学びがあり、苦しみのない状態の喜びを本当に知ることができるのだから。

 苦しみという学びから解放されて尚つづくいまの状態はなんなのだろう。

 存在に与えられた余禄というものだろうか。

 学びのあとに知ることが許されたものとはなんだろうか。

 それは純粋な愉しみというべきものなのだろうか。

 僕は人生において趣味というものはあったが、人に比べて遊ぶことは得意ではなかったと思う。

 多くの人々は余暇をレジャーなどで遊びに費やし、それが人生の愉しみだっただろう。

 何もかも忘れて愉しむ遊びというものが。

 しかし僕にはそういうものは時間の無駄遣いにしか思えなかったのだ。

 少しばかり損な性分だったかも知れない。

 しかし人生の有意義な過ごし方というのは人それぞれであることだろう。

 各人の人生の時間の使い方はその人が満足すればそれでいいのだ。

 だからこそ、各人は限られた時間を自分が満足できるように使わなければならない。

 歪んでいるように感じられた視界に、小さな泡のような光の粒が、いくつも現れた。と思う間にその光の赤子たちは連鎖的につながり、時空は見る見る明るくまぶしくなっていった。

 その光は攻撃的でなく、ただただ明るく、すべてをあたたかく浄化しようとするかのようだった。

 光とは本来そういうものではないだろうか……

 そう思いながら、僕は善を感じる光の洗礼を浴びていた。

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