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模倣犯の献身と歓喜



その後も、仕事への行き帰りにローゼンに護衛を頼み、特に何事もなく月日は過ぎていった。最近は両親達もローゼンへの警戒を緩めつつある。私はいつも通り彼に抱かれて仕事場へ行く。計画は功を奏し仕事終わりにぐったりする度合いが軽くなってきていた。良い傾向である。職場から家への帰り道、私とローゼンはゆったりと歩いていた。



「シェリルちゃん、もうすぐ誕生日だよね。何か、欲しいもの、なぁい?」



ローゼンは度々私に贈り物を渡そうとしてくる。高級菓子や上品な装飾品など、別に断る理由もないので貰っていたのだが、最近プレゼントされる物の値段がどんどん高くなっていってることに私は若干の恐怖を感じていた。このまま行くと何を買ってくるか予測できない。それに、今回は私の誕生日というプレゼントを贈る理由が明確だ。下手なことを言うと超高級な物を買ってきてしまうかもしれない。



「今は、思いつかないわ。…ねぇ、私にプレゼントを贈ってくれるつもりなら、今度一緒に買い物に行かない?欲しいものが、見つかるかもしれないし」


「えええっ!?い、一緒に?そんなの、いいの?俺なんかと…」


「私が行きたいって言ってるのだから、いいに決まってるでしょう」



私はいつぞやと同じ返事をしながら、赤く染まったローゼンの顔を見上げる。それにつられたように何故か私の頬も熱くなった。

別に、一緒に買い物に行きたくて行くわけじゃない。ただ彼一人で買い物に行かれてはどんな高い物を買ってこられるか分からないから、それなら一緒に行ってそれなりの値段のものを買ってもらおうと思った、それだけだ。それだけのはずだ。



「ローゼンの予定が空いてる日を教えて」


「あ、ご、ごめん。どうしよう、俺、嬉しくて。ちょっと待ってね。今、何にも、頭が働かない」



普段は凛々しい彼の顔が、今は真っ赤に染まって酷く可愛らしく見える。

毒されている、そう最近思うことが多い。いや、毒気を抜かれている、の方が正しいだろうか。

いろいろとこき使っても、従順に私に尽くす彼は、それどころか毎回のように私に貢ぎ物まで持ってくる。忙しいはずなのに、何故か私の仕事への送り迎えは必ずローゼンが行っていた。

確かに、愛されているのでは、なんて、そんなことを考える。その度に胸が微かに痛むのだ。理由は、分かっていた。


きっと、ローゼンは私だから、好きなわけじゃない。ただ、私がローゼンの容姿を厭わなかったから、それだけが理由。

私じゃなくても、ローゼンの容姿を厭わず、むしろ好ましく思って、好きだと伝える誰かかが現れれば、きっと、ローゼンはその人を好きになって、私のことなんて見向きもしなくなる。

私は特別可愛くもないし、丈夫な体すら持ってはいないのだから…。そんなことを考えて、勝手に傷ついたりして、性格まで可愛くない。



「…ルちゃん、シェリルちゃん?大丈夫?」



ローゼンは急に黙り込んだ私の顔を少し離れたところから心配そうに見つめていた。その距離をローゼンが踏み越えてくることはない。そんなの当然だと思っていたのに、今はそれが少しだけ…。



「ええ。ローゼンはいつなら空いているの?」


「あ、明日、は流石にダメだよねぇ…どうしようかな…」


「明日で大丈夫。何時でもいいわ。家まで迎えに来て。じゃあ、また明日」


「う、うん!じゃあ、明日!!」



ローゼンは大輪の薔薇が咲いたように華やかな笑顔を浮かべた。嬉しくてたまらない犬のように尻尾を振っている幻覚が見える気がした。初めて、また明日という言葉を交わした。それが、なんとなく私も嬉しかった。



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