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44 裏門からの侵入者

それからアニタをリューナン姉妹に介抱を言いつけ一人、アルシノエはディノスと共に裏門へと続く道へ来た。

午後からは宮廷魔法使いと弟子も手伝いに来た。

「裏からも進入することを念頭に罠や魔法をかけておきましょう。」

「なぜですか?」

「強い力を感じます。」

ディノスは目をつぶりしばらくの間何かに集中しているとすっと目を開けた。

「きっと、こちらに向かってくる。そう、感じるのです。」

ディノスと裏門から王宮へ続く道に思いつく限りのトラップを仕掛けた。

暗くなる前にすべてを仕上げることができた。

「うまくいきますか?」

「はっきりいって難しいだろう。」

「そんな。」

「罠はすべて破られてしまうことは想定済みだ。王宮には入れてはいけない。我々で食い止めよう。」

「・・・はい。」

翌朝、罠の見張りをすることになった。


翌日、アニタはケガなどもないことを確認し、ぐっすりと眠っている。

フェノロサには完全にアニタが解放されてから事の次第を伝えることになっているので今のところ静かだ。

時々、ユーペ公爵夫妻が様子を見に行っており昨日聞いたところでは現在は落ち着いていると話していた。

アルシノエはディノスと共に王城内にある森の入り口にいた。

「あれだけの罠なんだ。たとえ怪我くらいあれだけ強い者だろうと。」

ひゅんという風を切る音が聞こえた。

そして、とても低い声が聞こえた。

「気がゆるみきっておるな。」

「しまった・・・」

一瞬の隙を突かれてアルシノエが宙を舞う。

「え・・・???」

理解不能なことが起こり

大男の肩にアルシノエは担がれてしまった。

「済まないが、しばし。」

「え-------???」

「いや、ちょっと?!」

ガツンとげんこつが落ちた。

「我が修行についていけず脱走しよって。」

「し、師匠・・・」

その後、魔法使いの詰め所にてお説教とここに至るまでのよもやま話を聞かされた。    

「つまりは、亡命ですか。皇太子の一団に加わって、いや加担して。」

「それは、私たちがどうこうできることではありません。長老会や王様が罰するかどうかをきめることです。ワーリンガ家のことですと母様にお話を通さねばなりません。」

「長老会へは明日にでも面会を申し出るつもりだ。ヘルミオネには話をつけてある。」

世界を破滅させるほどの魔力を持っていると言われているアルシノエの先祖(玄孫どころではない!)にワーリンガ家の紋章入りの手紙を取り出して見せた。

「”静かなる余生をお過ごしください。”とある。これを長老会の連中に見せれば認められるであろう。」

わざわざ、一団に加わらなくても正規の方法で来ればよいのにとディノスはあきれ顔だ。

「アレクセイの娘をいち早く見たくてな。」

彼なりのおちゃめな方法だったらしい。

裏門突破の知らせを聞いたアルシノエの二人の兄も任務と言いつつ駆けつけてきてちょっとした騒動の様相を見せた。


昼前、アルシノエはアニタの様子が気になるからと途中で退出した。

「やっと解放されたわ。」

やれやれと自室に戻ってきたとき、アルキュオネから訪問者が来ていることを告げられる。

そこにはお茶をたしなみながらリチェンツァがほほ笑んでいる。

「アルシノエ様。お約束通り私と一緒に来てくださいませ。」

と呼びに来たのであった。

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