41 消えた姉妹の行方
丸一日考えてみてディオミディスは一つの結論に至った。
この計画を練って実行した人物それは、国王自らではないかと。
セニア卿はその裏付けをさせるためにそばにはいない。
夜更け近くに行くのは婚約をしているとはいえど避けるべきではあったものの、アルシノエの元へ行くことにした。
「失れ・・・」
がちゃりとドアを開けたところ、女性達の悲鳴が聞こえた。
なぜなら、アルシノエは寝る支度をしているところだったのである。
髪をリューナン姉妹のマイアに、寝室の準備をアルキュオネがしていた。
「事前にいらっしゃることをお伝えしていただかなくては。」
とアルキュオネが愚痴をこぼす。
思い立ってやってきてしまった手前、歓迎されない来客としてお茶も出されずかといって出て行くわけにも行かない微妙な空気にさせてしまった。
仕方なくアルキュオネがお茶を出す。
アルシノエは次の間に引っ込んだまま出てこず、マイアが今もなお説得中である。
と言うのも、アルシノエはお渡りの一種かと思ったようである。
このような夜更けに来るのはそういったことだと前々から教えられていたらしい。
今の様なままではあの一件を話すのは無理だと判断したディオミディスは明日の朝また来ると言ってお茶だけを飲んで帰っていった。
一晩ディオミディスはアルシノエにどう伝えればよいかを考えてから朝食後アルシノエの元へ向かった。
「国王陛下が自らなさった理由はおわかりですの?」
一晩寝て機嫌を取り戻したアルシノエはディオミディスの話を最後まで聞いててから無邪気に問いかけた。
「状況証拠しかないが・・・」
「アーノルドおじ様を納得させるだけのものが無いのです・・・ね。」
「お二人が見つかり国王の入れ知恵だとわかれば話は違うが。」
「もし、この城からお二人が出ていなければ・・・さぞや・・・」
リューナン姉妹はお互いを抱き合いふるえた。
ディオミディスはセニア卿の帰りを待ち続報があればまた、今度はしっかりと夕食前に来ることを伝えてからと念押しして帰った。
ディオミディスが一晩どう伝えるか悩み自分の考えを伝えてほっとした頃。
いつものように大勢の侍女達を引き連れての散歩をしていたアンゲラ。
少し王宮の裏門へと続く森に入ったところでたき火の後を見つけた。
「これ?」
まだ、消火仕切っていない。
おそらくは今晩たき火をした人物が居たのだろう。
「「まぁ。裏の森では火気厳禁ですわ!」」
アンゲラの侍女達が叫ぶ。
王の森である。と。罪に問われるとざわめく。
アンゲラは侍女達を諫め、当たりを見ると近くに馬の蹄の後が複数残されていた。
その報告は昼前の執務中だったディオミディスの耳にも入った。
「どこだ?」
「既に長老会が派遣した兵が偵察していると。おそらく食料を調達しに・・・と長老会では見ているようです。」
「自前で食料を。か。どこぞへ盗みに等行ってばれないようにしていたのだな。」
「他の離宮にお住まいの王族は食料の支給がございますし。」
「彼らの出方次第、だな。」
ディオミディスより先に情報を得た長老会会長アーノルドはすぐにたき火周りの捜索を命じた。
すると、予想外のことがわかった。
「まあ、これだけの果実が実っていればしばらくは困るまい。」
「はい。これは大公殿にも。」
「知っているのだろう。伝えてやれ。」
とのことでディオミディスも知ることとなった。
それから見張りを続けていた兵は昼下がり人影を見つけた。
「あ、これは・・・」
うっかり鉢合わせしそうになり茂みに隠れ、後を追う。
すると、今は使われていない離宮へと吸い込まれるように消えていった。
アーノルドは使者に告げた。
「お前達にはここを交替で見張るように。」
そして、時を同じくして大公もその話を知る。すぐに長老会会長アーノルドの元へ行く。
「ここに戻ってくるはずだ。しばらくの間この辺りの散歩はお控えくださるよう触れを。」
アーノルドも心得たようにすぐに裏の森への出入りを禁ずると触れが出された。
「えー。私の手柄ですのにぃ?」
アンゲラは文句を言ったが、侍女達はアーノルドの助言によりすべては国王のためと説き伏せた。
国王の命の方が大事とばかりに仕方ありませんわねと同意した。
その触れから程なく、全員を保護した。
二人は長老会の大広間へと連れてこられた。
「自国へ帰りたくなかった。そうだろう?」
訳を知らねばと長老会のメンバーが詰問をする。
「言いたくありませんわ。」
グリフィナはそれだけ言うと不機嫌そうな顔をした。クニグンデは姉をじっと見ているだけだ。
セニア卿に二人が見つかったことを伝えるための使者を送り、長老会と協議をした。
結果、グリフィナ、クニグンデが見つかったためアンゲラに交渉をしようではないかと持ちかける手紙を託し返事を待つこととなった。




