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39 手紙を届ける方法

翌朝。

早々にアルシノエの部屋へとやってきたディノス。

目が覚めてさほど時間が経っていないのかぼんやりしている。

着替えをしながら聞くアルシノエにディノスはいつもと違い平伏した様子であった。

「お願いがあります。」

リューナン姉妹はディノスをじっと見つめた。

アルシノエがお立ちくださいと言うまでずっとディノスはそのままであった。


着替え終わって朝食を手早く食べ終えたアルシノエとリューナン姉妹、そしてディノスは晴れ渡った空の元、王宮前の庭園にやってきた。

「では、これを卒業試験にしましょう。」

「はい?卒業するのに試験があるのですか?いえ、入学などしてませんわ??」

「これが出来れば自身をとばすことだって出来る。貴女様すぐに使いこなせるでしょう。」

宮廷魔法使いの弟子が複数枚の手紙を手に持って四阿あずまやの前までやってきた。

「お願いします!」

かなりの束があった。

そのうち1通を取るとアルシノエに渡した。

「これをナウサ王国との国境にある検問所、通称N-17までとばすのです。」

「え?」

「やり方は教えます。」

まず、特殊な魔方陣を描く。そこの場所を知っているかどうか、知らなければ知っている人物と手をつなぎそこへのイメージをする。次に手紙を検問所の所長のテーブルに置くイメージをそのまま体現する。

「今回は僕が言ったことがあるから大丈夫。」

「お・・・終わりましたっ!」

「これを手紙が無くなるまで続けてください。返送はあちらか有ると思うので。」

こんな事を頼んできたディノスを鬼か悪魔かとアルシノエは思った。


どうにか昼前にはやり終えることが出来たが、昼食は少し遅らせた方が良いほど疲れていた。

「アルシノエ様?」

「疲れたわ・・・」

卒業試験は合格だよ。とディノスは言う。

それよりもこんな事があるのであれば先に言って欲しいとアルシノエは思った。

にらみつけていたのでディノスは察したのだろうが、にやりと笑う。

「魔力と集中力がいるからね。こういうのはアレクセイが得意なんだけど。」

「お父様・・・?」

「そう、だね。アレクセイのことは余り知らない・・・か。」

「頑張ったついでに少し話しておこうかな。」

「ある偉大な魔法使いの弟子を僕たちはしていたんだけど、どこまで行っても半人前扱いでね。外の世界で1人前の魔法使いになりたいと機会をうかがっていたんだ。」

それから長らく旅を続け、ミューイ王国へとやってきた。

「若かりし時、僕とアレクセイはミューイ王国に忠誠を誓い戦いで功績をあげた。そして、その当時の国王により爵位を与えられた。」

異国の魔法使いに出来ることと言えば下からはい上がるくらいだ。

頼れるのは己の力とこつこつ積み重ねてきた経験、そして人脈だ。

それが実を結んだのはミューイ王国に来て3年以上が立ってのことだった。

「あら。初耳ですわ。」

「それなりの功績があったから受爵した訳だし。」

「ディノス様も?」

「僕は安定を、アレクセイは高みを。アレクセイは名ばかりではあるが伯爵の位を一応は男爵くらい?領地が大きい方が良いかと思って。その後結婚して・・・」

「おこさまも? 

「もちろん、今は孫もいるんだ。」

意外な告白にマイアは茶器を危うく取り落としそうになった。

「「「え??」」」

「な、なに?」

3人の意外な反応に驚くディノス。

「この若さで?」

「冗談ですわよね?私たちの父様でもまだ孫は・・・」

「見ためいじょうに・・・と言うこともあり得ますわ。」

「ひどいなぁ。アレクセイより早く結婚して子供が生まれて、その子供が早々に・・・」

「そう、でしたわね。父が結婚したのは30位だったと。どうしても受爵が必要だったのですか?」

「でなければ貴族の面々は相手にしないさ。僕の研究にはどうしても必要だったんだ。」

「研究とは・・・?まさか禁忌に触れることでも?」

「そんな、禁忌を行うわけではないよ。”教えることにより自分を高められる”のかどうか。を実践してきた。」

「え・・・研究結果はどうでしたの?」

「まだ道半ばと言ったところだろうか。学べるところもあればさほど・・・と言うことも多かった。相手との相性も関係しているのだろうね。」

そして遅めの昼食を美味しくいただいた。

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