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日常から非日常へ~襲撃~

ブックマーク頂きました!有り難うございます!!

「呼ばれたから来たけどさ……何、それ」


 無事に二年生へ進級したある日の放課後、生徒会室に呼び出された希望のぞみは、目の前に飛び込んできたプリントの山に自分の視力がおかしくなったのかと疑った。



「見ての通りだ。こっちが俺の仕事で、後はお前の課題」

「うええええっ!?」


 告げられて珍妙な悲鳴を上げるが、悠馬ゆうまに睨まれて希望のぞみは素直に従った。そうしないと、目の前にある敵は一向に減りそうにない。それでも量の多さに辟易して5分もしない内に希望のぞみは音を上げた。


「大体何でこんなにあるのー!?」


「諦めろ。これが現実だ」


「おに」


 慰めようともしな悠馬ゆうま希望のぞみは小さく悪態をつくが、悠馬ゆうまはこれを黙殺する。

 希望のぞみだって分かってはいるのだ。この山と積まれたプリントは悠馬ゆうまが学校側に交渉して、希望のぞみの成績に目をつぶってもらうために引き換えた課題だと。

 悠馬ゆうまは黙々と処理していく。生徒会役員としての仕事と平行して希望のぞみの課題の解答へ導く為のヒントも。それがあるかないかで希望のぞみの処理速度が変わるので、それ以上は口にしなかった。そんなことをしている余裕があるならば、さっさと片付けた方が良いに決まっている。


「………」


「………」


「「………………」」


 教室内はプリントが翻る音か、筆記の音だけが響く。

 集中すれば希望のぞみだって出来る子だ。ただ集中するまでが大変なだけで。悠馬ゆうまはもともと驚異的な集中力を発揮できる。プリントはみるみる減っていき、最終下校時刻になる頃には全て片付けるこたが出来た。


「…つかれた…」


「ま、希望のぞみにしてはよく頑張ったよな。ほれ」


 予想以上の課題の多さに希望のぞみは目を回していたが、差し出されたお茶に喜びの声を上げる。


「ありがとー悠馬ゆうま。何か色々と」


「別に礼を言われるような事じゃないだろ。()()()の事だからな」


「その()()()も、大変助かっております」


 あの日から、悠馬ゆうま希望のぞみのフォローをしてきた。

 希望のぞみが直接知っているのは一部でしかないが、知らないところでもフォローされているのは、周りの噂話から気付いている。

 それなりに心苦しく思っているのだが、悠馬ゆうま自身が何も言わないのでこれ以上の言い様が見つからず、おどけながら礼を述べるしかない。


「よし。感謝しているならば、近い内にあの店で見たチョコレートを俺に捧げろ」


「うやっ!?」


 またも珍妙な悲鳴を上げる希望のぞみに、悠馬ゆうまはニヤリと笑う。希望のぞみはその笑みを見て悠馬ゆうまの本気度を知った。


「あうう、高いんだよね彼処のチョコ~」


 一箱の御値段が3000円。確かに巷の女子高生と違って希望のぞみは遊ぶところに金を掛けない。クラスメートと遊ぶ暇があったら、修行に打ち込む(師匠に遊ばれる)。見た目を取り繕うことも一応は覚えたので、衣服に多少の金額は掛けるがそれだけなので、同年代に比べれば小遣いは浮いている方だ。

 だが時々、今の様に思わぬ出費を強いられることもある。


「よし、それじゃ行くぞ」


「手加減を所望する」


「却下」


「やっぱ鬼だ!!」


 悠馬ゆうまは、意外と甘いものが好きで、特にチョコレートには目がない。普段からも制服のポケットに忍ばせて、誰も見ていないのを確認しては食べる。希望のぞみも御相伴にあずかることもある。そんな悠馬ゆうまは参考書とスイーツに小遣いの大半を掛ける。

 時として足りなくなるくらいに。

 そういう時に新作のスイーツが販売されたら、希望のぞみに集るのだ。普段から世話になっている分、希望のぞみ悠馬ゆうまからスイーツを強請られたら不満を言いつつ応えることにしている。そうでもしないと悠馬ゆうまに申し訳ない。

 それが悠馬ゆうま自身の気遣いだと知らない希望のぞみは、店へ行く途中にも数回不満をこぼすが、繁華街へ入った途端にすれ違ったどこぞの不良アホ共に絡まれて、別の意味で不満が上がる。


「何か用?」


 膨れっ面で不良アホAに訊けばA・B・C揃ってニヤニヤし始め、悠馬ゆうまの肩を突く。


「そうだなあ、こっちのイケメンがさっきからニラんでおっかねえんだよなあ」


精神的せーしんてきに損害を受けたから慰謝料いしゃりょー払ってもらおーか」


「それだけじゃあ足んねえから、そっちのカノジョにもオネガイしようかなあ」


 実に分かりやすい言い掛かりだが、希望のぞみ悠馬ゆうまも首を傾げた。この辺りのグループは、二人が去年傘下に治めている。集会に参加こそしてないものの、各グループには迷惑行為は厳禁と通達してあるし、希望のぞみに至ってはそんな気が起きないように、全てのグループに徹底してした。

 じゃあ目の前にいる不良アホ共は?と思い出そうとしても二人共心当たりはないので、一先ず逃げ出した。

 繁華街の中へ。


「おい待てよー」


「腰抜け彼氏なんざっといてオレらとイイことしようぜえ」


「キモチヨクしてやるぜえ」


 ギャハハハと下品な笑いを飛ばしながら、走る二人を追い掛けてくる不良アホ共を尻目に希望のぞみはどうするか並走する幼なじみに訊いた。


「ちょっと待て……ああ、なるほど。そういうことか」


「どういうことよ?」


「アイツら多分他県(よそ)の学生なんだろうな」


「何で分かるの」


「アレだよ」


 アレ、と悠馬ゆうまに指された先には、不良アホ共と同じ制服を着た人間がグループでいる。すれ違った時にその顔を見れば追い掛けてくる不良アホ共に驚いているところだった。

 ご愁傷さまと思いながら繁華街を抜ければ、二人を捜す声がする。このままでは他の人達の迷惑になると考えた希望のぞみ悠馬ゆうまに許可を求めた。


「まあ大丈夫だろ。見たところ3人しかいないみたいだし、実力的にも希望おまえの方が上だ」


「おっけーおっけー。じゃあさっくりヤってきますか!」


「やりすぎに注意しろよ?」


 悠馬ゆうまの注意もそこそこに、希望のぞみは繁華街へ戻ると不良アホ共を誘導するように動いた。つまり、わざと姿を見せて人ごみから引き離して、人気のない方へ誘導する。悠馬ゆうまのことだ、途中ですれ違ったグループに声を掛けて彼らの学校の教師を連れてきてもらうだろう。

 それまでに片付けなければならない。


「さーて」


 人気のない公園に着いた瞬間、希望のぞみは牙を剥いた。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※



「さて」


 不良アホ共を早々に沈めて希望のぞみは繫華街へ戻ると、何事もなかったかの様に人々が行き交っていた。待ち合わせ場所は決めていなかったが、きっと例の店の前にいるだろうと思いそちらへ足を向ける。


「よお」


「お待たせ~」


 案の定、悠馬ゆうまはお目当ての店の前で待っていた。


「結構早かったな。あと5分はかかると思ってたけど」


「あ、ひっどい予想。あのくらいなら流石にあたしでも5分はかからないよ」


 師匠なら瞬殺レベルだけれど、そこまでの技量は希望のぞみにはない。それでも10分掛かるかと自分でも予想していたが、勘違いもいいところだった。


「もうね、ほんと予想外もいいとこで。びっくりするくらい弱かったんだよ」


 これなら、去年の夏に相手をした学校の不良達の方がまだ強かった。期待外れというより肩透かしを食った気分に希望のぞみは不満をこぼす。


「二人は掌底で一発。三人目は器用に避けてたけど、ちょっと隙を見せたら突っ込んできて、真正面から正拳」


 悠馬ゆうまはその様子を思い浮かべて希望のぞみの不満に同意した。


「と言うよりは、お前の方が単純に強かっただけなんじゃないか?」


 希望のぞみ自身には己がそこまで強者である自覚はない。父や師匠達だけではなく、母にすら敵わない希望のぞみは相手の技量レベルを見抜くは持ち合わせていなかった。

 ただし悠馬ゆうまは違う。

 悠馬ゆうま希望のぞみと違ってキチンと目を養ってきた。

 最初は希望のぞみの鍛錬を横で見ているだけだったが、それなりの素質を持っていたことを見抜かれて以来、希望のぞみには内緒で日曜日にたまに稽古をつけてくれるようになった。

 希望のぞみと違ってかなりゆったりとしたペースでの鍛錬だったが、それでもぐんぐんと実力を上げていき、気が付いたら中学時代はスポーツに関連は敵なしになってしまった。

 マズイと思ってすぐに手を抜くようにしたが。


悠馬ゆうまの目から見て、不良共あいつら技量レベルって結局どんなもんに見えたの?」


「忌憚なく意見を述べるなら」


「うんうん」


塵芥ゴミだな」


「わーい、身も蓋もないー」


 悠馬ゆうまの評価に希望のぞみは棒読みで返しながら、当初の目的である店へと入る。店内にはチョコレートの香りがして、ちょっと気分が上がった。

 スーツをお召のオニイサマオネエサマ方が闊歩する中、ブレザー姿の二人は中々に浮いて見えるので、ある意味ターゲットになりやすいのか、入れ代わり立ち代わり店員がチョコを勧めてきて、また悠馬ゆうまはホイホイとそれに頷いて買い物かごに次々と商品を入れていく。

 希望のぞみはかごに商品が追加されるごとに頭を抱えて財布とにらめっこをするが、そんな希望のぞみを置いてけぼりで悠馬ゆうまは次々と獲物チョコを物色していった。


希望のぞみ、あっちで試食しないか?」


 店員さんと悠馬ゆうまに手招きされて、言われるがままに着いていくと何故かバックヤードに連れていかれる。


「え、いいの?悠馬ゆうま、ちょ、いいの??」


「いいんだよ。俺、この店は常連だから」


 そう言ってずんずん進んでいくとバックヤードを抜けてまた別の店舗らしきスペースに出た。

 先ほどまでの店内はどちらかと言うと可愛い系で纏められていたが、こちらの室内はカッコイイ系である。


「…えーと?」


 物販というよりは飲食店の雰囲気に、希望のぞみ悠馬ゆうまに訊ねた。


「ここはな、チョコを使ったスイーツ専門店なんだよ。常連限定の」


 悠馬ゆうまの手慣れた様子を見る限り、相当な額を注ぎ込んでいるのが窺える。


悠馬ゆうまがチョコ好きなのは知ってたつもりだけどさー…」


 予想以上のチョコ狂いだったことに、希望のぞみは頭を抱えた。もう、金額の想像がつかない。


「安心しろ。期待に違わぬ美味さだからな」


「なんの安心!?」


 実に良い笑顔で言われて希望のぞみはいよいよ覚悟を決めた。もうこうなっては後戻りも出来ない。

 そうして運ばれてきたチョコレートパフェは、悠馬ゆうまの笑顔以上に素晴らしく美味だった。

 一口食べた瞬間に香るチョコレートと、今までに味わったことのない食感のビスケット。

 丁寧に裏漉しされた生クリームのなめらかさはどこまでも優しい甘さで、共に口にしたフレークは味こそ控えめだが鼻に抜ける香ばしさはバニラビーンズと相まって何とも言えぬ風味を残す。

 フレークの下に隠れているアイスも、やはり芳醇なミルクであり…と思っていたら、何と半分はビター系のチョコレートアイスだった。ミルクアイスと合わせて食べれば、ちょうど良いほろ苦さが美味である。


「………はぁ………」


 至福である。


「どうだ」


 ドヤ顔の悠馬ゆうまに、希望のぞみは脱帽した。


「いやもうホント有り得ない!こんなチョコパフェないでしょ!!今まで知らなかったのがスゴい悔しいくらいのパフェだよ!!?よくここまで通い詰めてくれたよ悠馬ゆうま!!」


 興奮気味にパフェを褒めつつ悠馬ゆうまも褒める。

 店に入る前に不満をこぼしていた自分を、逆に責めたい。


「このパフェ、父さんと母さんにも食べてもらいたいなー」


 自分一人だけ味わうのは勿体なさ過ぎる。

 ちら、と見てみれば何やら難しい顔をしている悠馬ゆうまに、希望のぞみは大いに焦った。


「え、もしかして紹介出来るのって一人だけとか…?」


「いや、そんなことないぞ?ただ、おじさんもおばさんも甘いものって大丈夫なのか?」


 悠馬ゆうまから見た希望のぞみの両親は、質実剛健の父親と良妻賢母の母親だが、実は結構中身は違う。


悠馬ゆうまにも見せてないけど、二人ともかなりの甘党なんだよね」


 普段の食事から世話になることのある悠馬ゆうまは、それこそ驚いた。


「いつものご飯は基本的に健康面を考えてバランスよく作るけど、月イチで我が家は甘味大集合な日があります」


「例えば?」


「これ、証拠写真」


 そこには希望のぞみと、その両親が揃って写っていた。六人掛けのテーブルに所狭しと並んでいる甘味と一緒に。


「………マジ?」


「大真面目ですともさ。因みにあたしが頼んだのは、こっちのブラウニーとバニラアイスだけだからね」


 テーブルに写っている甘味は和洋折衷どころか、中華まである。

 和菓子からは串団子三種・きんつば・外郎ういろう・各種練りきり・落雁・粗目ざらめ煎餅・桜餅・鼈甲べっこう飴・柏餅、洋菓子からは小振りのケーキ・クッキー・キャラメル・プリン・ゼリー・ババロア・クレープが数種類ずつ、中華菓子からは芝麻湯円チーマタンユワン(胡麻入り団子)・紅豆湯ホンドウタン(おしるこ)・杏仁豆腐ハンヤンドウフ蓑衣餅(ソーイーピン)(かりんとう)、松餅(ソンピン)煎餅(せんべい))、竹葉粽(チユーイエツオン)(ささで巻いた(ちまき))、水粉湯円(シヨイフエンタンユワン)(白玉の団子)、脂油(チーユーカオ)(脂入りういろう)、雪花(シユエホワカオ)道明寺(どうみょうじ)ういろう)、百果(パイクオカオ)(木の実入りういろう)、(リーカオ)(くり)羊かん)、鶏豆(チートウカオ)(オニバスの実入り羊かん)、月餅(ユエピン)西洋餅(シーヤンピン)

 その量に悠馬ゆうまはただ唖然とする。


「これ、マジでおじさんとおばさんが?」


「マジですともさ。この辺りのスイーツ店はイメージもあって来れないけど、県外なら特定されることもないもんね。一か月に一回っていう周期だから、珍獣扱いされるくらいだもんね。ちなみに、この写メの店は半年に一回来るかな」


 そういう意味では常連になりつつあるのではないだろうかと希望のぞみは思う。

 一方、悠馬ゆうまは証拠写真を見せらても未だに信じられなかった。


「おじさん達のイメージが根底からひっくり返された気分だぞ………」


「むしろひっくり返らない人間がいたら見てみたいよ」


 頭を抱える悠馬ゆうまが面白くて希望のぞみはその様子を携帯カメラに収める。その音を皮切りに二人は店を出ることにした。


「ご馳走様でした」


「どういたしまして」


 福沢諭吉が二人ほど去って行った希望のぞみの財布には、現在、福沢諭吉が一人、樋口一葉が一人、夏目漱石が四人残っている。これで次の小遣い日まで凌げるかどうか計算していると、視界の端に光の柱が見えた。


「………何、()()


 繁華街の外、今から二人が帰る方角にその光の柱はあった。

 さっきまでの至福の時間を忘れ去らせるような、唐突な焦燥が希望のぞみを襲う。

 その感情の急激な変化に、悠馬ゆうま希望のぞみが何を見てそうなったのか分からずにいた。

 そもそも、希望のぞみの言う()()が、悠馬ゆうまには見えていなかった。ただ、隣で立ち尽くす希望のぞみの焦りは感じ取れた。


希望のぞみ、お前今何を見てるか分からないけど、何かあるなら急いだほうがいいだろ?」


 背中を押すのはいつだって悠馬ゆうまの役目だ。


「うん」


 その言葉で、希望のぞみは走り出した。

 走って走って、ただ走った。

 走り抜けて目にしたものは、光の柱に覆われた、半壊した自宅だった。


「………………」


 有り得ない光景に言葉が出ない。

 有り得ない、が。

 今、こうして目の前にある。


「よくもまあ、人んをここまで壊してくれたよ」


 希望のぞみは感心したらいいのか呆れたらいいのか悩んだが、すぐに別の事に気が付く。

 今の時刻は19:00を回ったくらい。この時間なら住宅街であるこの辺りは、帰宅するサラリーマンや部活帰りの学生が、まだ歩いているはずなのに誰もこの異常に気が付いていない。

 今の希望のぞみの姿でさえ"帰宅してきた学生"にしか見えてないのか、不審な目をする者もいない。

 異常が、日常に覆い隠されている。

 どこの誰がこんなことを、と考える前に希望のぞみの手は()()()()光の柱に触れてしまっていた。

 かしゃん、かしゃん、ぱりん。

 そんな音がして人一人分の穴が開いた。

 どういう理由で穴が開いたかは分からない。だが、今がチャンスだと希望のぞみは気配を殺しながら玄関を開ける。生まれて初めて自宅玄関を"緊張しながら開ける"というよく分からない行為に、中にいるであろう両親を問い質すべく抜き足差し足で居間へ進んだ。

 鈴木家は、築25年の中古住宅ながら、純和風の建築である。当然、玄関は引き戸だしリビングではなく居間、キッチンではなく台所、障子に襖、欄間に欄干。備え付けの家具も和箪笥が基本。クローゼットはない。

 化学製品プラスチックは数えるほどしかなく、木や土といったエコな製品を両親は好んでいた。そして居間には、そういった物がアクセサリーを含め一番物が置かれている場所でもあるのだが、どういう訳か化学製品プラスチックを残してきれいさっぱりなくなっていた。

 襖の隙間から中を窺った希望のぞみは、泥棒にでも入られたのかと思い込み、居間に人の気配がないと見るや否や、一気に開けて愕然とする。

 居間が、異空間になっていた。

 呆気に取られて何の警戒もなく、異空間に一歩足を踏み入れる。

 何やら妙にぼやんと反発されたような気もしたが無理やり入り込むと、叩き付けられたのは殺気。それも極上の。

 本能とも言える速度で希望のぞみは頭を引っ込めた。

 その瞬間、何かが頭上を掠めた。そして背後から聞こえる爆発音。

 何が起きているのか見当も付かないなりに、分かったことはひとつ。


 "敵"がいる。


 それだけは、この訳の分からない状況で分かる唯一だった。

希望のぞみは基本的におバカさんです。なのでうっかりミスをよくやります。テストの成績が悪いのはその為です。

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