最終話 山吹キドの最後の日
俺は女装して学校へ行った(エミルの魔法で女になっている)
時刻は8時で今から全力で走っても間に合わない、いつもは7時59分59秒に席に着くが、今日は間に合わなかった。
俺は廊下を走っていると教室から大きな声で俺を呼ぶ声がした。
声的には半ギレ先生だろうと予想出来たのだが、今日はそんなに怒ってないようだ。
・・・珍しいな
と思いながらドアを開けると半ギレ先生はチョークを投げてきた、そして俺は手で受け止めた。
半ギレ先生はチョーク集めが趣味で俺が遅刻する度に投げてくる。
「今日も遅刻か!山吹!」
いつもの通り2ウェーブ目が来て半ギレ先生はチョークを4本連続で投げてきたが、俺はホウキで打ち返す、次は武器を使い、チョークを100発撃ってきた、俺は絶体絶命だと思い焦っていたが、俺は100本のチョークを華麗に避けた。
ちなみに学校に武器は持ち込み禁止なのだが半ギレ先生は普通にもっていた。一応技術の先生で自作のマシンガンなどでいつも俺に撃ってくるが全て避けている、
ちなみに俺がどうやって避けているのかを教えよう、100本が俺の顔に当たるのが約1.3秒だ、その100本は近くの物を使い、撃ち落とすのだ、ありえないとは思うが、やれば出来るぞ。
今回は近くの教科書で全弾撃ち落としたのだが、教科書は傷一つなかった、俺は教科書を持ち主に返すと、俺は席に座った。
授業開始のチャイムがなった。一時間目は体育でサッカーをやると言われクラスメイトは全員顔が青くなっていた。
「ようし、行くぞー」
俺は強くボールを蹴ると芝生が禿げてしまい試合を開始してから数秒で点が入ってしまった。
皆は俺が女ということは全く気づかなかったらしく、今更クラスのひとりが俺を見て
「今日は髪が長いしいつもの声じゃないしどうしたんですか?」
と聞いてきた。
「ああ、これは秘密☆」
俺は手を口に当ててクラスメイトを黙らせるとその場から立ち去った。
放課後、本を読んでいた俺は誰もいない教室で急に心臓が潰される感じの痛みに襲われた。
「これはやばい...」
立とうとするが足に力が入らない。
「俺は死ぬんか?いやだなぁ」
机に伏せた状態で死という恐怖に1人で怯えていた。
だが目の前に見たことがある人が現れ、そこからは覚えていない。
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そして、意識を失った俺は、誰かに運ばれたのだがそれが誰なのかは分からなかった、もう気がついた時には自分の部屋に居た。
「頭痛いなぁ…ここは?」
俺は周りを見渡すと見覚えのある机や壁などが目に入り、ここは自分の部屋だとすぐに気がついた。
「エミル起こさないと」
俺は布団から出てエミルの部屋に向かい、ドアをノックしたが反応は無かった。
「寝ているのかな」と思いドアを開けなかった。
朝食を済ませ、朝のテレビを見ながら時計を見るとちょうど9時をお知らせする音楽が時計から流れてきた。
いつもはこの音楽が流れると同時に起きるのだが、エミルは起きなかった。
「エミル〜入るぞ」
俺はエミルの部屋のドアを開け、机で伏せて寝ているエミルを揺らすと椅子からエミルが落ちた。
「エミル?」
全く意味が分からずエミルだから俺を騙そうとしていると思い俺は
「冗談はよせよエミルさんよ俺にその...冗談は」
俺は昨日の意識を失う前の事を思い出した。
「おい、まさかお前が」
エミルはキドの気配が薄れていっている事に気がつき、急いで学校へ行き、机に伏せたキドを残りわずかの魔力を使って元の姿に戻し、家に連れ戻した。
「エミルのことだからお前は俺の事を...」
俺は今なら間に合うだろうと思い、フェンリルの元へ急いだ、フェンリルならエミルを生き返らせる事が出来るだろうと...。
だがフェンリルでも限界があり、代わりがいない限り死者蘇生は出来ないと言われた。
でもエミルと今まで通り過ごしたいと思い俺は「何が必要なんだ」と俺はフェンリルに言った。
フェンリルは死んでいるエミルに近づいて
「選択肢は3つだよ?一つ目は、キドくんの命、二つ目は、キドくんの寿命を40年縮ませてエミルを蘇生させる、最後は、リスタート」
と言われ俺は
「リスタートってエミルが俺の家に来る日に戻るのか?」
「そうだね、キドくんも本当は死んでるんだから」
「そのリスタート以外はなんだ?」
「キドくんを殺して心臓をエミルに渡すか、40年寿命を取って蘇らせるんだけどキドくんの体は多分そんな持たないよ」
「どれくらい生きれるんだ?」
俺は20年生きれればいいが現実は甘くなかった。
「1年と4ヶ月かな?」
俺はもうそろそろ死ぬとフェンリルに言われ、俺は笑ってしまった。
「そうか、俺も死ぬんならリスタートしようかな...フェンリルさん」
「何?」
「リスタートで頼む」
俺は永遠に離れ離れになるのならいっそリスタートした方がいいと思った、またエミルと一緒に過ごせるのなら...と。
「分かったよ、キドくん」
フェンリルは俺の体に触るとよく分からない呪文を唱え始めた。
「アルフレッド、アクア、そしてフェンリルさんとエミルありがとな」
俺の体がどんどん薄くなっていき、俺は最後にこう言った。
「全く異世界から来た美少女は色々凄かったぜ」
と...