PVが増えないことに心を灼かれる私へ
吼えろペンという漫画を見て、クラスタ問題を眺めていたら何やら思いつきました。
人によっては傷口に塩を塗りたくってグリグリと足蹴にされるような文章なので、心を潰される前にお戻り下さい。
というか自分自身の叱咤激励用に作っています。ボンビー、堕落するの怖いもんね。
PVが増えない! なぜだ!!
人が集まるような時間帯を選び抜いたというのに、ぬぁぜっ!?
この俺が心血注いだ文章を、何故お前たちは歓びとともに開いてくれないのだ!!
――それを問うか、欲望よ。
ぬぅ、貴様は理性! 俺の心が真っ黒に燃えている時に限って冷水を浴びせてくる憎たらしいヤツ!
――そんなことはどうでも良い。何故PVが増えないのか、お前に教えよう。
何!? 貴様にそれが解るというのか!
――解るとも。それはな、
た だ 単 純 に 、 お 前 の 小 説 が 面 白 く な い か ら だ ! ! !
きっ貴様ぁ! それだけはっ、それだけは言ってはならんことをぉ!!
――良いか欲望。貴様はPVが増えない理由を他人の所為にしているが、それは違う。
そんな筈は無い! 俺の作品が認められんのは、見るヤツに見る目が無いからだ!
――なら、黙ってPVのアクセス画面を眺めていればユニークアスセスは増える筈だな?
そ、その通りだ。
――そんな心構えでアクセスが増えると思っているのならば! 飽き果てるほど存分に眺めてみろ!!
なにぃ!?
――半日に一度などとケチな事は言わん! 三時間に一度でも少ないな!
――五分に一度でも、十秒に一度でも、画面に穴が空くほど好きなだけ見つめてみろ!
……くっ。
――更新もせず、ただただ眺めてみるが良い。
――まぁ三日保たず、間違いなく貴様は飽きる。だが増えん……。
――たとえ作者がどれだけPVの画面を見つめようと、ユニークアクセスは増えんのだ!!
ぐ、ぬぅ……!!
――自分のF5アタックで嵩増しされたPVでお前は満足出来るのか!? 欲望よ!
――出来る筈があるまい! 認められたくて、褒められたくて仕方がない貴様にはな!!
ぐ、ぐぐぅ……!
――自覚はあるようだな。
――話は変わるが……お前、自分の小説が自分から見て面白いと思っているのか?
あ、当たり前だろう。流行りの異世界に召喚された系、テンプレをふんだんに盛り込んだ大作だ!
――もう一度聞こう。お前から見て、お前の小説は面白いのか?
――流行り廃りなど、ハッキリ言ってどうでも良い。テンプレがあるかなしかも関係無い。
――お前自身が、他にチヤホヤされて面白いと言われているコンテンツを差し置いて、今俺が書いている小説の方が面白いから手を出してねぇとか言えるのか?
……っ。
――なぜそこで口を閉ざす!! 何故そこで、俺の小説を書いている時間の方が大事に決まっていると答えられんのだ!!
――そんな無様で! お前自身が最高と思わないものが、人様から見て面白いと思う作品に仕上がっている訳が無いだろうが!!
ぐ、おぉぉ……!!
――良いか? 三度の飯よりも、好きな小説の新刊よりも、ブックマークを付けた他の先生方の作品よりも!!
――自分の作品の出来の程度が何よりも気になるヤツがッ! 衆目を! PVを! ユニークアスセスを集められるのだ!
――その執念なしに人を惹きつけられるものを書けた者なんぞ一人もおらんわ!!
だ、だが世の中にはクラスタという相互評価なる便利なものが――
――あ"?
い、いや、何でもない。
――成程、衆目を集めなければ評価もされない。一理ある。
――その為に、簡単な方法についつい手を出してしまうのも、ある意味人の性だろう。
――だがな、お前は一つ忘れている。
何を、だ?
――僅か一度、それで楽を覚えた人間はな。もう、その禁断の味を忘れられんのだ。
――つまり自分の作品が持つ、素のポテンシャルよりも上のPVを稼いでしまえば……楽な方法以外は、もう選べん。
――地道に頑張ろうなどという克己心! 泥を啜ってでも前に進む鋼の気概など持てんのだ!!
――麻薬やタバコと一緒だ。止めるに止められん。楽な方へ楽な方へ流された人間が、心底感動を誘う作品を作れるとでも?
さ、才能があれば……。
――才能なんぞ時間という概念を忘れさせる己の執念に比べれば、何の力にもならんゴミだ! 才能如きにアイディア一つ捻り出せん己を叱咤激励出来るか!!
――人は一日、寝たきりゴロゴロ2ちゃんで遊んでいるだけで身体が堕落することを実感出来る生物なんだぞ!?
――練習を続けなければ一定水準に留まるどころか退化するのが人間様だ!! 己に厳しくなければ進化なんぞ夢のまた夢なのが人間様なのだ!!
人間とは、俺はそれほどに……!?
――楽を覚えた人間が、読者様ならぬ毒者様よりも遥かに厳しい目線で自分の作品を直視出来るのか!?
――たった一行の文章が読みにくい、分かりづらい、つまらない、意味が分からん、整合性が無い、これじゃ駄目になるとダメ出し出来るのか!?
――見直したら全文ダメ出ししたくなる光景を我慢して飲み込んで書きなおして上げ直すことが出来るのか!?
――人気が出たからと安心して、胡座をかいてやらんに決まってる! 賭けても良い!
――妥協に妥協を重ねて駄文を発表しながら、碌な修正も出来んようになるわ!
ぬ、ぐぅ……!
――ふぅ、理性としたことが興奮してしまったな。クールダウンするとしよう。
そうだな、整理しよう。
――そもそもだ。お前はお前が面白いと思う小説を書きたいのか、ただ単に人気が欲しいのか、どっちだ。
どっちもだ!! どっちも欲しいに決まっている!!
――だろうな。だが後者を得る近道は前者だ。これだけは間違いない。
何故だ。
――自分が自分好みの自分が面白いと思える文章を書くとな。途中から他人の顔色を伺うのが面倒臭くなる。
――より正確に言えば、そんなことに時間を割くよりも自分の作品を更に面白くしたいという方向に持って行かされる。自分自身にだ。
――そうして出来た作品は何年経とうが面白いのだ。事実、三年前に創っていた小説の中身は気合が入っていた。今自分で読みなおしても面白かったのだぞ!?
なんだと……!?
――他の奴等がどうこう言おうと自分が面白ければそれで良いのだ。
――というかだな、他の連中があれこれ言って自分の小説が面白くなるのか?
――その指摘は正しいのか? 成長に繋がるのか? わからん。はっきり言ってわからん。
他人の言葉など、意味が無い……と?
――匿名で発言出来るネットで、その道で飯を食って多方面から評価されてるプロ以外の指摘に意味があるのか?
――よしんば指摘があったとして、その内容の正当性、妥当性は誰が保証できるのだ。
――歓びも哀しみも受け取るのは自由だ。だがお前の小説はお前が書かねばならんのだ。お前以外の心に沿った所で面白くなる筈がない。
な、なるほど。
――だが勘違いするなよ? 曖昧さを完全に排除した上で、内容を検証した指摘は客観的に見て非常に役に立つ。
――そういうのまで排除して自分は面白いと思うなら、それはお前が間違っている可能性が高いのだ。
――さて、お前にも言いたいことがあるだろう。聞いてやる。言え。
ユニークアスセスが増えない。文章が短すぎて期待されていないのかもしれない。どうすればいい?
――なるほど、続きを書けばいい。俺好みにな。それが出来たら満足して放っておけ。お前にとって面白く、他人にとっても面白ければ自然と増える。
ブックマークが増えない。不定期更新で人が離れているからかもしれん。俺も他先生方のエターは怖いからな。どうすればいい?
――なら続きを書けばいい。一話まるごと作れとは言わん。続きをとにかく書け。俺の目線でチェックを入れてな。ブクマなど放っておけ。どうせ勝手に増えて、勝手に消える。読者には好き勝手にブラウザバックする権利と、好き勝手に作品の今後を期待する権利があるのだ!
なんかPVやらブックマークが増えてきてる。好きじゃないし、冗長感半端ないけど嵩増ししようかな。
――しなくてよろしい。そんな邪念で自分の作品を面白くなくすぐらいなら、いっそ削れ。要らん。
ふぁ、ファンサービスとかは……。
――そんな余計なことはかまちー先生ぐらいの速筆になるか、リゼロのように単行本ストック24本ぐらいのネタを作り終わってからだ!
――というか、お前自身が一番のファンだろうが! お前の為に続きを書かないでどうする。書け。いいから書け。続きを書け。筆を置くのは完結後だ。やれ。
はっはいぃっ! ……ところでアドバイスとかは……。
――限界ギリギリまでやったら寝ろ。体調管理は最低限こなすべき第一目標だ。睡眠時間はキッチリ6-7時間取れ。疲れを残した貴様はゴミだ。
――あと限界というのは簡単には突破出来ん。というか限界に辿り着くまで行くのがそもそも大変だ。とりあえず書くことに慣れろ。
――オン/オフのスイッチは意識しろ。やらん時はやらんで宜しい。オンになったら一気にやれ。一日一時間を目安に極限まで集中しろ。
た、たまの休日は休んでも……。
――理性の話を聞いていなかったのか? 一日休んだら劣化する。最低限今のレベルは維持しろ。鍛える鍛えない以前の問題だ。
はい……。
――あと、目標を掲げろ。ああ、無理なレベルの目標は無駄だ。小さなことから挙げていけ。それをクリアしろ。
――続けているウチに上達を実感するが、ある程度上がると壁に必ずぶつかる。これは何の目標であれ一緒だ。
――その際は、別のアプローチで攻略しろ。やり方を変えるんだ。一辺倒でやり続けても効果的ではない。
――連載は最初は厳しいから短編を書け。だが面白くなければ意味が無い。
――少なくとも自分が見て納得できるものを作れ。長い、短いは関係ない。
あと、もしもプロになったら……。
――書籍化したら最後だと思え。不出来なものが世に出回ったら二度と日の当たる場所には出してもらえん。
――金を出すということの裏には必ずシビアな洗礼が待ち受けている。金を出して買う、という意味は一般常識では測れないぐらい遥かに重いのだ。
主人公の名前が思い出せない、なんていうのは序の口。世の中には二次創作を創る際に原典見なくても許される先生が居るぐらいだからな……。
――甘く見ているようなら自分をぶん殴れ。品質に関してはミリ単位以下の誤差でさえ文句を言うような日本人という種族が相手なのだ。アマチュアなら許されてもプロの世界では許されん事は遥か多い。
――アマゾン見てみろ。なろうで人気になった作者の星の少なさに恐怖するぞ。あれがプロとなった元アマチュアに与えられる目線の厳しさだ。
――精進出来るのも訂正出来るのも今しかない。今しか出来ない。プロになって世に作品が出たら終わりだ。出た作品の質が総てだ。
――重箱の隅をつつくような悪意に対し、それを遥かに上回る面白さが無ければ擁護すらされず、ポイ捨て上等なのがプロの世界なんだ。
……もう一度見直してくる。俺が面白いと感じるように。
――そうしろ。お前が面白いと思えるようにな。