新しき世界@外出
なんか、文がおかしかったので再投稿
先日、テトにはうまく好印象を与えられたようで、たびたびいえに遊びに来るようになった。
しかし、それから3週間ほどたった今日、テトがとんでもないことを言い出した。
テトと友好関係を気づくにあたって、最も恐れていたこと。
それをさも、当たり前のように、さらりと告げた。
「——ねぇ、外行こうよ」
やっぱりこうなったか。
しかしどうしよう、
ここで無理矢理断ったら好感度が下がってしまうかもしれない。
何か理由を考えないと。
……駄目だ。やはりなにも浮かばない。
取り敢えず、この場だけしのぐか。
「あぁ、ごめん。このあと本棚の整理しなきゃいけないんだ」
まぁ、本棚の整理をしようと思っていたのは本当だ。
別に嘘ついてるわけでもないし問題ないだろう。
「あ、そうなの?手伝おうか?」
「いいのか?じゃあ頼むよ。取り敢えず本をジャンルごとに分けようか」
…この場は凌げたが、次までに何か考えておかないとな。
せめて肉体がしっかりと出来上がるまでは外に出たくない。
本を並べながらいろいろと考えを巡らすが、いっこうに案は浮かばない。
そうして1日は終わってしまった。
◆◆◆
「ねぇ、外行こうよ」
そして後日、振り出しに戻った。
あれからなにも思い付かなかったよ…。
……仕方ない。出るか。
いざというときには“これ”もあるしな。
「あぁ、わかった。すぐ行くから外で待っててくれ」
「うん」
俺はテトを先に外に出し、机の引き出しからナイフを取り出す。
ナイフを鞘から抜くと、窓から入り込む光によって刀身がギラリと光る。
それを見て俺は再びナイフを鞘に戻し、玄関に向かった。
戸を開けると、すぐそこでテトが待っていた。
「……」
天気は晴天。
ジリジリと直射日光が俺の真っ白な肌を焼く。
俺は目を細めながら外に一歩を——
——踏み出せなかった。
6年前の、あの記憶が脳裏にチラついてくる。
恐い。死ぬのは、恐い。
心臓の鼓動が早くなり、額から嫌な汗が流れ出る。
「〜〜〜?」
テトが首をかしげながら何かを言ってくるが、その言葉は全く頭に入ってこなかった。
大丈夫、少し散歩に行くだけだ。
そう、自分に言い聞かせるが、体の震えは止まらない。
その時、俺の腕を誰かが掴む。
もちろん、それはテトだ。
そして俺の腕は引かれた。
俺の体は前に進む。
俺はついに、この世界で、外に足を踏み出してしまった。
「早くいこ?」
「あ、…あ…」
気づけば喉はカラカラで、まともに声が出ないほどだった。
俺はテトの勝手な行動に少し怒りを覚えたが、今、彼女の好感度を下げるわけにはいかない。
それをグッと押さえ込む。
「どうしたの?だいじょうぶ?」
テトは俺の異変に気づいたようで、心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。
「…あ、あ、だいじょう、ぶ、だ」
なんとかそれだけ口に出すが、まだ恐怖は拭いきれない。
「全然だいじょうぶに見えないんだけど」
テトの言うことはもっともだ。
端から見ればフェリオスの体は激しく震え、目は焦点があっていない。
心なしか、息づかいも荒いように見える。
「ムリしなくていいよ?外はまた今度にしよ?」
テトは優しく声をかけ、フェリオスの体を支えた。
「ガウスさん!フェリオス君が!」
テトは声を上げ、ガウスを呼んだ。
しばらくするとガウスがやって来た。
「どうした…って、フェリオス、ほんとにどうした?」
「えと、外に出ようとして、こうなって…」
「そうか。ありがとな、テトちゃん。今日はもう帰りなさい」
「…フェリオス君、だいじょうぶ?」
「あぁ、しばらく休めば大丈夫だろう」
「わかった」
最後に一言そう言って、テトは自分の家に帰っていった。
◆◆◆
「よい、しょっと」
ガウスはフェリオスをベッドに静かに寝かせる。
この時にはもう、フェリオスの震えはほぼ収まっていた。
「フェリオス、何があったんだ?」
ガウスはそう尋ねる。
そして、フェリオスの言葉に呆然とする。
フェリオスは一言、こう言った。
「外、恐い」