公爵令嬢の回想話
今回はエレオノーラの回想です。
ブックマーク、ありがとうございます!
ご都合主義の作品ですが、なるべく矛盾のないようにしたいと思っておりますのでお気付きのことがあれば、ご指摘お願いいたします!
商業ギルドの登録はとても時間がかかるらしいということを忘れていた。
作業自体はとても簡単なのだが、なにせ人が多いのだ。気が遠くなるような人数が並んでいる。
退屈だったし、いろいろ考え事をしていたらふっ、と前世のことを思い出した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『お前のせいで俺達の立場が悪くなった!』
『私と薫のせいじゃありませんわ!
そもそも我が家の血を引かぬ者に家が継げるはずがございませんでしょう!』
日本でも一位、二位を争う大財閥の総帥の子として生まれた私と弟は、入り婿であった父に毛嫌いされていた。
父は自分の愛人との子供を後継に据えようとしていたらしい。
そして自らの立場がどんどん悪くなっていくのに耐えられなくなった父は、私達の母を殺した。
『お母様!』
『…み、や…び…、かお…る…をよろしく…ね…。あいじんの…子、なん…ゴホッ…かにうばわれては…いけ…ませ、んよ…。』
『お母様!お母様!』
母は最期の最期まで私を見てくれなかった。
だけどそれでも構わなかった。
それからの私にとって弟を後継に据えることが生きがいになった。
私を愛してくれなかった母だけど、私は母を愛していたから。
『あんたほんとに大丈夫?』
『無理しないでよ?』
そんな欲にまみれた、業の深い私を受け入れてくれた友人達が、大好きだった。
『お姉様!雅お姉様!』
『雅!しっかりするんだ雅!』
最期に父が私を見てくれただけで救われた。ようやく、《家族》に見てもらえたんだと安堵した。
もう私の人生は十分だった。
お母様のために、薫のために、奔走していたから、中学時代の成績はふるわなかったけど、最期に《家族》に見てもらえたから。
心配してもらえたから。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「…思い出してみれば、とっても幸せな人生だったわ。」
ぽつりと呟く。
尊敬する母と、可愛い弟と、優しい友人達が居て。最期に父に心配してもらえて。
今世では、自分の、自分自身の幸せを考えて生きようと思えた。
「なら、やっぱりこの選択は正しいよね。」
今の家族から逃げることを正当化しているだけかも知れない。
だけど前世の私にとっても、今世の私にとっても、家族は彼らなのだ。
「ごめんなさい、父上、母上、お兄様…」
お読みくださいましてありがとうございます!
総合評価が日々上がっていくのがとても嬉しいです(≧∇≦)
エレオノーラ(雅)の前世に関してはまた閑話や番外編で詳しく書きたいと思っております。
ちなみに彼女の友人達(理解者達)はそれぞれ同じところに転生しています。
そのうち会うことになると思いますので楽しみに(自分でハードル上げる笑)していてくださると嬉しいです!
では、引き続き【攻略対象の妹だそうです】をよろしくお願いいたします!
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