第103話 とにかく飛び込む
鎧の能力まったく発揮してませんね・・・。
あと少しの距離を歩けば遺跡都市ミルシャの南門がある城壁が見えるはずのところまできた。
一応【隠蔽】スキル持ちのハイゴブリン以外には【感知】スキルは有効なようで極力戦闘を避けるように動くことは出来た。
それでも最初を除いても4回ほどハイゴブリの3匹1小隊編成の敵に襲われた。
撃退方法は最初と同じで『剥ぎ取り御免』で装備を剥ぎ取ってしまえばらくらく倒せている。
ただスキルレベル上げのためアサシンやシーフ、マジシャンやクレリック、つまりやわらかいものから先に倒しハイゴブリンのタンク役という者はわざと装備を剥ぎ取らないでランとルミナスのタンク役で耐えひたすら叩いて武器のスキルあげをしっかり行っている。
なにしろスキルが面白いように上がるものだから1回の戦闘にそれなりの時間を割いたため思った以上にここまで到着するのに時間がかかっている。
ひとつ面白い発見があった。
先ほどのハイゴブリンシーフ・ナイト・ヘビィファイターのチームでシーフをつぶした後スキル上げをし程よいところでファイターの装備を剥ぎ取り倒しさらにナイトも同じように装備をはがしたら『いや~ん』という言葉がハイゴブリンから聞こえ思わず自分の耳を疑い全員固まってしまったら・・・
その隙に逃げられてしまった・・・。
『逃げる』なんていうのはプログラムロジックの敵では見たこと無い上に『いや~ん』という台詞。
たぶんプログラムロジック制御の敵ではなくAI制御の敵なのであろう・・・。
特殊フィールドや特定イベントボス・エリアボスを除いて敵にAI制御の敵がいるのをはじめて知った。
どういう目的でAIタイプが混ざっているのかわからないが倒されても何度も同じAIの敵が復活すると考えた場合プレイヤー側の戦術が学習されてますます強くなるのではないか・・・。
なんとなくいやな予感がするが情報が少なすぎる・・・公式あたりの掲示板に流して情報を集めたほうがいいのかもしれない。
突拍子も無い考えだと思うが・・・もしかしたらOWOはプレイヤー側に娯楽の提供するのが目的ではなくてプレイヤーと交流させたり戦わせることによってAIを育て上げるのが本当の目的では無いだろうか?
考えが飛びすぎだろうか?
情報が少なすぎてこれも検証しようが無い・・・。
・・・新藤(運営会社社長)の奴を締め上げたほうが早い気もするが・・・。
まぁ、とりあえずは態々藪をつついて蛇を出すことも無いしな・・・。
もう少し様子を見るとするか・・・。
“この丘を越えたらミルシャの城壁が見えるはずだよ”
ランの言葉に元気が出る一同。
ただランは最後の注意をしておくことも忘れない。
“掲示板によるとこの丘を越えたあたりから『暴走イノシシ』の遭遇が報告されています。
現時点での撃破はほぼ無理です。
したがってイノシシが出たらわき目も振らず門に向けて駆けてください。
門は城壁に沿って左側にあります。
最後尾は私がします、落とし穴等で時間を稼ぎ最後に【土の壁】で足止めしてる間に逃げ込みます。
皆さんは後ろが気になっても足を止めないで全力で門を目指してください。
もしかすると失敗する恐れもあるのでがんばって走ってください。”
元気な「はい」という返事の元に行動開始。
そして門が見えてきたところで・・・
【感知】のレーダーに猛烈な勢いでかけてくるイノシシ【ランナウェイ シナガトリ】が探知された。
【感知】に引っかかった数8匹・・・
“後ろからきました!走って!!”
ランの合図とともに全力で駆け出す皆。
ランも土の精霊にお願いして大小さまざまな穴を大量に作りつつ全力疾走開始!
穴に落ちたりしてイノシシも一瞬足が鈍る。
しかし、穴からすぐ出て追撃を再開する。
(う~ん・・・2mぐらいの深さではだめですか・・・)
中間を越えて門まで後残り200mほどになったとき穴ではなく巨大な割れ目を作る。
そしてその割れ目でいったんイノシシが固まって止まったところに【土の壁】をイノシシを囲むように発動。
念のため壁が厚くなるように3重にかけて発動しておく。
それでもただの土の壁にさほど信頼は置けない。
前回は錬金で鉄にしてしまっていたが今回はギルド【リリウム】のメンバーがいる。
あまり奥の手は見せたくないのでこのままランも全力で門に逃げ込むことにした。
あと少しで門に到着というところで・・・後ろからすざましい音がした。
ランが振り返るとイノシシ達が壁を破壊してこちらに向けて再突入を始めたところだった。
(あの壁を壊す?・・・マジですか??)
あわてて門の中に飛び込みエリアチェンジ。
今回も何とか逃げ延びるのに成功です。
頭装備の【アースフルフェイス】をアイテムボックスの中に放り込み地面にぺたりと座り込むラン。
MPはすってんてん、疲労も感じるのでもう動く気力すらない。
「ランさんありがとうございます。おかげでメンバー全員ミルシャにこれました。」
“うん、よかったです、まさかあの壁が破られるとは思っていなかったから全員駆け込めて本当に良かった・・・”
ポータルの場所とギルドの場所を教えて解散することに。
皆お礼しまくっていたがランは正直つかれきってそれどころではではなかった。
ログアウト後そのまま睡眠コースに直行。
短い時間ながら本当にきついゲーム時間でした。
今ランの【食】のほうの外伝を書いているため更新が遅れ気味です。
なんていうかね・・・ここまでの部分だけでも暴走してしまうため何度も書き直しているのですよ。
なまじ本編があるのでそれにあわせるのが難しい。
横道それまくり・・・。
とりあえず外伝のほうも5話くらいまで書けたら外伝としてUPします。
07/27 誤字脱字修正




