閑話 カレーライスへの道 その1
日本人といえばご飯のカレー!!
日本のカレーは他の国と違って日本向けにアレンジされているので外国人にはドロっとした感じがびっくりだとか。
–アイテムショップ『アルカナ』-
ある日、『アルカナ』に港湾都市エリーシャから商品の仕入れに来るNPCの商人のおっちゃんが耳寄りな話を教えてくれた。
『年に数回ある他の大陸からの不定期便が明日入港する。今回来るのは香辛料の大陸で有名なインノ大陸から来る船だ。おそらく港では香辛料の大規模な市が開かれるぞ。』
そう教えてくれた商人のおっちゃんは犬耳尻尾セットと猫耳尻尾セットを200個ずつ購入しこれで向こうの大陸の人に売る珍しいものが手に入ったといいながら喜び帰っていった。
インノ大陸とやらがどこにあるのか知らないが向こうでも獣セットがはやるといやだなと多少ほほを引きつらせていたランであった。
おっちゃんが帰る間際しっかり自分も参加できるかと聞いたラン。
答えは割符を持っていたら参加できるといいその割符も分けてもらっていた。
感激したランが熊耳尻尾セット200個をおまけに無料で譲ったのはここだけの話。
このOWOの世界は21世紀の初頭である現実世界よりも進んだものが存在することもあるが基本は大航海時代の始まる手前の15世紀初頭のヨーロッパがモデルだそうだ。
当然その頃のヨーロッパは胡椒等の香辛料は恐ろしく貴重だ。
大航海時代の始まっていない当初は香辛料は東南アジアやインドで生産され中東の砂漠を渡り地中海に入ってやっとヨーロッパに入る。
砂漠の旅では大量の荷物は運べず、地中海東部では海賊が跋扈し、そういった危険を乗り越えてようやくヨーロッパに入る頃には黄金と同じかそれより高価な価値になったという。
そういったことから大量に運ぶために造船技術が発達し大航海時代を現実では迎えた訳だがこのゲームの世界ではそこまでいっていない。
そう、香辛料はべらぼうに高いうえに種類も数量も少ないのだ。
ギルドに行っても買えないこともしばしば。
そんな訳でプレイヤー的にはすでにカレーの開発がされたことは知られているが見たものはごく小数(ただし公式掲示板で証拠スクリーンショットは公開されている)のうえ味もやはり飽食日本人にはいまいちだったらしい。
なによりまだお米が発見されて無いし・・・。
(掲示板のものはナンで食べるものだった)
そんなわけでどうしても香辛料が一定以上確保したいランは明日エリーシャに乗り込むことに決めた。
-港湾都市エリーシャ-
翌日、昼過ぎごろ船が到着するということだったが昼前に念のためにきていた。
まさか船が到着してすぐに市が開くとは思わないが(準備もあるだろうし)一応念のためである。
次いつ香辛料を取り扱う船が来るかわからない。
価格はどうせ高いのだろうからとお金も大量に持ってきている。
だてに人気店を切り盛りしていない。
それなりに資金力はあるのだ。
できれば大量に量と種類を抑えておきたい。
そしてできれば・・・苗等もあるなら抑えておきたい・・・。
現実の世界では胡椒なんかは苗を植えて収穫できるようになるまでに3年以上かかるという。
またインドや東南アジアで栽培がさかんというように一定以上の温度が必要だ。
まぁ、温度はどうにかなる・・・場合によれば温室作ればいいだけだし・・・。
問題は収穫できるようになるまでの時間だが意外とこれは楽観している。
本来ならば現実で3年ならばゲーム内では3倍の時間の流れがあるから1年かかることになるが・・・。
そこはゲーム。
たとえばトマトなんかは現実では3~4ヶ月かかるものがゲームだと3日で収穫できるというスピード栽培。
全部の植物がそういうわけでは無いらしいが以外に胡椒あたりなら1ヶ月もすれば収穫できるようになるのではないかとひそかに思っていたりする。
そういう思いがあるからこそ苗が手に入るようならば購入してみようと思っていた。
市が開かれるという港の広場が見える店で休憩がてらに飲み物を頼んで待っているランの前ではどこぞの運動会のときに使うテントのようなものが数多く立てる作業が急ピッチで進んでいる。
商品らしい箱や袋も大量に船からおろされている。
半分はそのまま荷車に乗ってどこかに運ばれるみたいだが・・・。
昼過ぎにようやく市が開かれだした。
(少しどんなものがあるかとりあえず見てから商談するとしますか・・・)
市場全体を冷やかすように見て回る。
全体的に香辛料が主体、しかし嬉しい事にランが思っていたより種類が豊富だ。
(クミン・コリアンダー・シナモン・カルダモン・フェンネル・フェヌグリーク・クローブ・ブラックペッパー・ターメリック・おっとカイエンペッパーもあるな・・・他にナツメグ・ローリエ・パブリカ・・・なんと基本的なカレー粉用の材料そろっているじゃないか!)
さらに他のテントを見て回るとあるわあるわレッドペッパーにグリーンペッパー、サフランにセージにタイム、他にもゴロゴロ・・・。
こんなに種類がめったに船がこないため偶にしか取引されてないとはいえギルドでは種類が少ないのか非常に疑問である。
値段はさすがにどれも高いがそれでもギルドで売っている種類のものと比べると大体8割程度の価格みたいだ。
香辛料の市に気がついたプレイヤーたちが買い込もうとするがそこは割符が無いため購入できずかなり文句を言っているが仕方ないだろう。
現に割符を持って買っているプレイヤー達もいるのだから・・・。
割符をもっている人達はたぶん個人的に店を持っているかなんらかのクエストをこなしたのかどちらかだと思う。
それでは俺も購入するとしますか。
買えるだけ買い込まないとね。
なにしろこのゲームには『アイテムボックスの重量制限』がないのだから。(♪)
“おじちゃん!私も香辛料欲しいのだけども売ってくれる?”
『おぉ!割符を持っていたらいくらでも売るぞ!!』
商人のおっちゃんから譲ってもらった割符を見せると簡単にOKがでた。
“えっとね・・・それとそれとそれは4トン分で他は全部2トン分売ってちょうだい♪”
思わず店のおっちゃん目が点(笑)
周りの人たちも眼が大きく飛び出していた(笑)
『う、売るのはいいがお金は大丈夫なのかい?』
“お金ならあるわ!1億G分!!”
おっちゃん開いた口がふさがらない。
“それに馬鹿正直にその値段で買う積もり無いし♪”
ランのその一言にニヤリと笑うおっちゃん。
『お嬢ちゃん、商売人だね、一応お嬢ちゃんの欲しいものすべての量を買うと3926万5780Gになるぜ。』
さあ、どうする?とばかりにニヤリと笑いながら聞いてくるおっちゃんにこちらもニヤリと笑い返しながら答えるラン。
今ランの大阪人の血が燃え滾りだした!!
“こんだけの大量の種類に量を買うんだから切りのいいところで3000万で!”
『な、お嬢ちゃんそれはいくらなんでも値切りすぎだ!3900万ならどうだ?』
そんなこんなで始まった値切り交渉、元々ランの中身の工藤自身大阪で少し高いもの買うときは必ず値引き交渉をする根っからの大阪人。
NPCのおっちゃんもゲームの中とはいえ生活がかかっているから必死の応戦。
値切り合戦は途中数回の休憩を挟み4時間続いた。
『おじさんもさ、こちらで物仕入れて本国で売らなくちゃいけないからこれ以上は勘弁してくれ・・・3520万0050G』
“いったい何を仕入れるつもり?3305万G”
『獣人セットって知っているか?こちらで流行っているらしいんだが仕入れ担当の人間によると昨日売り切れて当分未入荷だといわれたらしくてな。なんとしても数確保しなくちゃいかんから元手が大いに越したこと無いんだよ。3510万!』
“獣人セット?もしかして犬や猫の耳尻尾セットのこと?3305万5000”
『おぉ、お嬢ちゃんも知っていたか。大陸越えて欲しがる人が多いからな、生産元がだめなら冒険者達から買い取ってでも仕入れないと3500万!』
“おっちゃん、その店ひょっとして『アルカナ』って名前のアイテムショップ?”
『お嬢ちゃんもやっぱり知っているか、結構有名な店だしな。』
それを聞いたランはニッコリ笑う。
それはもう『天使』のごとくかわいい笑顔で・・・・。
もっとも知り合いが見れば『大魔王』だと口をそろえて言うだろうが・・・。
“おっちゃん、それ私の店だよ♪”
『え???』
突然の言葉にふたたびおっちゃん目が点。
そこでランは止めとばかりに言葉をつなぐ。
“3480万G+おまけで売ってくれるなら犬8色各500セット、猫8色各500セット、さらにウサギ3色各300セットつけて払うけど、どう?”
『お嬢ちゃんそれで売った!!』
おっちゃんのすかさず発した声に思わずガッツポーズ。
買った商品をまとめて箱に梱包してもらっている間にランの方も店の若い者に次々アイテムボックスから獣耳尻尾セットを出してわたしていく。
『いや~、いい取引が出来ておじさんうれしいよ。』
最後に商品と引き換えにお金の入った袋の束をおっちゃんにわたす。
ゲームなためトレードでわたすと金額が表示される便利機能付き!
ところであの金貨が詰まっている袋はいったいどこから出てきたのか。
いつもながら謎だと思ってしまうランである。
良い買い物が出来たとニコニコしているランにおっちゃんがさらに口を開く。
『お嬢ちゃんがあのみせのオーナーだというならもうひとつ注文したいものがあるのだが。』
ぐは・・・この回では終わらなかった・・・。
とりあえずさらにランの取引は続きます。
次はいったい何を仕入れる事になるのか・・・
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