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One in the WORLD  作者: 黒鷹
第4章 遺跡都市ミルシャ
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閑話 エセ獣人

今回は『武踏会』の始まる前、64話と65話の間の2ヶ月間で起こった頃のお話。


この後の数話の閑話も同じ頃のあいた2ヶ月間のお話をUPします。

今ランの目の前の通りには人が溢れ返っている。

それはいつものことだ。

しかしいつもと違う箇所が多い・・・。

道行く人(特に女性のアバター)の頭にはなにかしらの動物の耳とお尻には尻尾がついている。


・・・なぜこうなった?


顔が引きつりつつも自問せずにはいられなかった。




発端はいつものごとくランの行っていた錬金術の実験。

ミスリルシルバーを針金状に加工し色々な薬品に浸してなんとか状態異常耐性のものが作れないか実験していたところ状態異常の耐性ではなかったが面白い金属が出来た。

魔力を流すと折れ曲がったり左右上下にゆれる金属。

うん、ただそれだけの効果だったんだが・・・

これを見たときに悪魔がランに囁きかけた。


『ロン君、パーちゃんかわいいな♪』


まるで何かに操られるように毛糸の束を取り出し作業を始めるラン。

正気を失っていても凝り性なところは変わらない。

色から始まり触り心地や動きに支障が無いかなど散々試作誤差をすること6時間

無駄にかわいく満足いく出来応えを感じたときやっと正気に戻った。


(ハッ!俺は何をしてたんだ??)


手元には色違いの犬の耳と尻尾のセットが8種類。

思わず白いのを手にとって・・・装着してみた・・・。

姿鏡に映るランは・・・


ブハッ!!


鼻血が出るほど可愛かった。

自分のアバターは見慣れていたはずなのにこの威力・・・。


(俺はロリコンしゃない!ロリコンじゃない!!)


自分でそう言い聞かせながらも会心の出来に人に見せたくなり店のほうに行ってしまった。


あとから思えばこのとき封印していればあんなことには・・・



「「「モッフモフ~♪」」」


ランとロン、パー3人の抱き合いながらの挨拶はすでにこの店では日常と化しているので誰も気に留めない。

というより文句を言わずにスクリーンショットを撮るのが当たり前になっている。

そんな風にいつもの挨拶を店先でしていたらヒカリ達がやってきて目ざとくランについている耳と尻尾に気がついた。


「お姉ちゃん、そのお耳どうしたの?」


く~・・・かわいい顔して聞くものだから思わず答えてしまったよ。


“ちょっと面白い素材が出来たから作ってみたのよ。他にも色違いがあるから欲しかったらもっていっていいよ。”


そう言うと残っていた犬耳尻尾セットを見せると喜んでヒカリちゃんたちは耳と尻尾を装備し「皆に見せてくる」といって街中に走っていった。

てっきりギルド仲間に店に行くもんだと思っていたんだが・・・・

まさかいつも可愛がってくれている街の中のお店を絨毯爆撃のごとく見せまわるつもりだとは気がつかなかった。

当然移動中にも冒険者やNPC商人達とも会話しながら・・・。


1時間後・・・


俺は店の奥でヒーコラ・ヒーコラ言いながら犬耳と犬尻尾さらには猫耳と猫尻尾をひたすら作っていた。

できあがるとロン君やパーちゃんが取りに来て店に持っていく。

ユリカさんはカウンターの中で忙しくお客さんの対応中。


作業場の壁にはさらに予約の紙がぴっちり・・・。

しかも・・・ギルド【くまくま牧場】からは熊の耳と尻尾のセットを大量に注文が来ている。

しかもテザイン画付き・・・。

ギルド員のトレードマークの熊耳を稼動式のものに変えたいとか・・・。

本来なら断るところだがギルド創設以来の付き合いのあるギルドの注文に断る事が出来なかった。

その数、予備をあわせて各種150個×4種類・・・

他にも個人的な知り合いからウサギだのキツネだのコアラだのと細かいのも色々・・・。


ランがヒー・ヒー言いながら注文を完成させたのが4日後、店にお客が来るのが落ち着いたのがさらに3日後。

合計7日間、ログインする度にひたすら動物の耳と尻尾作り。

売り上げは非常によくて利益もすごいんだが・・・当分耳と尻尾はご勘弁な気持ちになり久しぶりに店の入り口に立って背伸びをしたら・・・エリーシャの街はエセ獣人族の街に変貌していた。


・・・なぜこうなった?


顔が引きつりつつも自問せずにはいられなかった。


確かに売った。

それも1週間ヒー・ヒー言いながらひたすら造り続けていたのだからかなりの数を作った自覚はある。

ただ街がここまでになるという自覚はなかった。

しばらく引きつったあと自分の精神状態維持のため・・・見なかったことにすることにした。


ランはしばらくの間店の庭にあるポータルを使いけして街の中のを使用しようとはしなかった。

幸いエリーシャ以外ではほとんど見かけなかったのでほっとしている。


ちなみに獣耳尻尾アイテムは以後も順調に売れ続けアイテムショップ『アルカナ』の主力商品となるわけだがのちにこのアイテムは『獣装備』と言われ職人達の手により鎧等に最初から金属製の耳が付いた兜や尻尾を出せるように穴の開いた脚装備が売られるようになったりする。

なんでスカートなどに直接つけるとなんか違和感あるから下着につけて中から尻尾を出すのが当たり前とか・・・。


ランにしてみたらなぜここまではやったのかなぞで仕方が無いことであるのだが・・・。

活動報告にも簡単に書きましたがしばらくごたごたのため書く気力がうせています。

といってもあまりあけてしまうと今度は完成させる意欲もなくなりそうなのでとりあえず短いものですがUPしておきました。



06/30 誤字脱字訂正

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