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悪魔来  作者: 銀翠
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再会、そして・・・

「それじゃ、行ってくるよ母さん」「気をつけてね、私も仕事だわぁ」

僕は玄関を出て、晴れ渡った春の空を眺め目を細める。

「大分日差しも強くなってきたなぁ…」「おう十夜、何してんだ?」

いつの間にか横にいた山下が、僕に声をかけてくる。

「いきなり湧いて出るなよ、ゴキブリだと思うだろ?」「ひでぇなぁ…まぁ行こ

うぜ」

僕の毒舌に慣れてるこいつは、大抵のことは聞き流すようだ。

歩きながら、山下に話し掛ける。

「しっかし…なんで大学に入ってもお前と一緒なのかねぇ」「いいじゃん、俺ら

はマブだちだろー…ってお前何十回それ言ってんだよ」「迷惑だな、ゴキブリの

ほうがたまにしか現われない分数倍はましだ…何回言っても言い切れないな」「

ゴキブリに大分こだわるな…ゴキブリ以下とかしまいには泣くぞ」「泣きたきゃ

泣けよ」

はは、と笑いながら僕は歩く。山下は目に手を当てて、「えーん」とかやってや

がる。

「そういや、彼女どうしたんだ?あー…桜庭さんだっけか?」「もち、毎日ラブ

ラブに決まってんだろー」

ニヤニヤと笑いながら言う山下、なんとなく頭を小突く。

「いってーなー」「うっせぇ」「そういうお前も、彼女でも作ったらどうなんだ

?大学にもバイト先にも、可愛い子いっぱいいるじゃねーか」

彼女か…、「今のところ作る気はないさ」「とかなんとか言いながら、かなり告

白されてるくせによー」「断ってるよ」

未だに彼女を忘れられない僕は、女々しいのかねぇ…。

「もったいないなー…お前が彼女作らないと、ダブルデート出来ないだろ!」「

お前と一緒なんてお断りだっつうの」「ひでぇ」「はは」


そう、あれからもう四年近くの月日が流れていたんだ。

今じゃ大学二年生になり、バイトもしながら結構楽しくやっている。

最初は不安でいっぱいだったが、案外なんとかなるもので、対人恐怖症だった頃

の自分が恥ずかしい。

それもこれも、彼女のおかげだった。彼女がいたから、僕は今ここにいる。

大変なことも色々あったけど、楽しくやれているんだ…でもやっぱり、彼女のこ

とが忘れられず、今でもたまに心に穴を感じる時がある。

たまに告白をおーけーしてしまいそうになるが、やっぱり好きでもない子と付き

合うのは相手に悪いし…ね?


「あー…今日も一日お疲れ僕」

大学で講義を受けた後にバイトをし、大体帰ってくるのはいつも十時頃の僕。

「ただいまー…って相変わらず母さんはいないな」

春は色々あって、母さんも仕事忙しいんだろうなぁ…今度飯にでも連れてくか。

玄関から上がって、自分の部屋に戻る。ドアを開けてもいつもの様にそこには誰

も…あれ?

「あ、おかえりなさい」

僕は絶句した。

「それとも、私がただいまなのかな?」

久し振りに見たその笑顔、大人っぽくはなっているものの、その面影は昔のまま

だ。

「誰だか忘れちゃった…?」

言葉が出る前に、体が動いていた。

「わっ!?十夜ってば…」

ただ彼女を強く抱き締める。

「もう…」

そう言いながらも、ライアちゃんも強く抱き締め返してくれる。

「おかえりライアちゃん…!」「うん…ただいま」

今はそれしか言えなかった。言いたいことはたくさんあったけど、顔を見たら全

て吹き飛んでしまった。

「夢じゃない…よね?」「夢じゃないよ、ほら」

軽く口付けをしてくるライアちゃん、その感触は、確かに本物だった。

「ずっと…待ってた、馬鹿かもしれないけど、ずっと信じて待ってた」「馬鹿な

んかじゃないよ…ありがとう、十夜…」

僕らは十分程抱き合ってから、少し離れた。

「話したいことがたくさんある…」「うん、私も」「ライアちゃん…大分成長し

たね」

身長が160センチぐらいになってて、正直びっくりした…胸も大きくなったなぁ…

黒のスーツが良く似合う。

「十夜も、大きくなったねー」「そりゃ男だもん、今175ぐらいだったかな?」「

むー…勝てなかったね」

前の僕なら微妙に抜かされてるなぁ…。

「ライアちゃんには負けないよ」「ぶーぶー、十夜より大きくなりたかったなぁ

100センチ以上も伸びたら十分じゃ…?

「でも…良かった…本当に」「うん…私頑張ったもん」「ライアちゃんに帰れっ

て言われて傷ついたなぁ…」「うっ…」

なんか、人をからかうというかいじる癖がついてる自分がいるなぁ。

「あれはその…十夜にまた迷惑かけたくなかったし…私も逃げるの嫌だったんだ

もん…」「それでも傷ついたなぁ…」「うーうー…十夜に余計な心配させたくな

かったの…ごめんなさい」

僕はライアちゃんの耳元で囁く。「ごにょごにょしてくれたら許してあげる」

ライアちゃんは真っ赤になって、「と、十夜のエッチー!」と叫んだ。

「あはは、冗談だよ。…でももう少し、信用して欲しかったなぁ」「うー…ごめ

んね…?ごにょごにょしてあげるから許して…」「えっ!?」

今度は僕が赤くなる番だった。

「えへへ、十夜のエッチー」「全く…ライアちゃんには敵わないなぁ」

本当に、一生勝てそうにもない…

「そういえば、またこの家に住むんだよね?」「うん、十夜と十夜のお母さんが

良ければね」「僕はもちろん大歓迎だし…母さんも歓迎すると思うよ」「やった

ー、これからは…ずっと一緒にいられるね!」「うん…!」

僕は嬉しかった。涙出そうだったけど、男だから一応我慢した。

「私もこっちで働いて、がんばるから…」「そういえば…ライアちゃんのお母さ

んとかお父さんは…大丈夫?」

ライアちゃんがここにいるということは、大丈夫だということなのだろうけど…

心配だった。

「二人は大丈夫だよ、ちゃんと大学も出たからねー…三年間で」「え!?」

そういえばそうだよなぁ…四年間だったらまだ大学だろうし…。

「本当は二年間で卒業出来たんだけど、教授とかに止められちゃってー…後半一

年間はずっと論文とかだったよ」「すごいなぁ…ライアちゃんがんばったね」「

えへへ、早く十夜に会いたかったんだもん」

あーーもーー!可愛いなぁぁ!

「パパとママは、家名を貶めるようなことしなければ平気だから、首席で大学も

上がったから文句も言えないよー」「なるほどね…結婚する時ぐらいは挨拶に行

くけど…さ」

言っててちょっと恥ずかしい、ライアちゃんも少し照れくさそうにしている。

「これからも…ずっと、ずっっっとよろしくね、十夜?」「もちろん、ずっと一

緒だよ」

僕はライアちゃんを抱き締めた。ライアちゃんも、抱き締め返してくれた。


この先何があるか分からないけど…二人なら平気な気がした。

止むことシリーズを書く前(三年ぐらい前)に書いたものなので、ヘタレっぷりは尋常じゃないです。

最後はいまいち投げやりな感が拭えないのですが・・・あの時は一生懸命書いたんですorz

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