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読まれるエンタメ物語の構造テンプレ集 ~テンプレは悪じゃない!読者の期待を外さない物語の組み立て方~  作者: 夕月 悠里
はじめに

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なぜテンプレを学ぶ必要があるのか?

やあ(´・ω・`)


ようこそ、物語という名の戦場へ。


この連載【読まれるエンタメ物語の構造テンプレ集】を開いた君は、きっとこう思っているはずだ。


「テンプレ? そんな手垢のついたマニュアルに頼りたくない」

「俺は(私は)自分のオリジナリティで勝負したいんだ」


その心意気は最高だ。クリエイターにはその傲慢さが必要だ。だが、あえて言わせてもらう。「テンプレを馬鹿にする奴は、テンプレに殺される」とな。


第1回となる今回は、具体的なテクニックの話をする前に、もっと大事な話をしよう。なぜ、ピカソやダリといった天才たちが歴史に名を残せたのか? なぜ、君の書いた自信作が、第1話でブラウザバックされてしまうのか?


その答えはすべて、構造ストラクチャーにある。ここからの数分間、俺の話を聞いてくれ。そうすれば、君の手元にあるありふれた物語が、読者を熱狂させるエンターテインメントに変わる理由がわかるはずだ。


テンプレは“悪”じゃない。読者との契約書だ。


まず誤解を解いておこう。多くの初心者が「テンプレ=量産型のパクリ」「個性の墓場」だと思っている。だが、プロの脚本家や、ランキング上位の作家にとってのテンプレとは、そんな薄っぺらいものじゃない。


テンプレとは、読者が無意識に期待している感情の設計図だ。


映画を見に行く観客、あるいは小説家になろうやカクヨムを開く読者は、何を求めていると思う? 「まったくわけのわからない、未知の体験」か? 違う。彼らが求めているのは、「期待通りにハラハラして、期待通りにスカッとして、期待通りに感動すること」だ。


「主人公がひどい目に遭う(期待)」→「修行して強くなる(試練)」→「敵を倒して称賛される(報酬)」


この流れは、人類が焚き火を囲んで物語を語り合っていた太古の昔から変わらない黄金のルールだ。これを俺たちは「テンプレ」と呼ぶ。テンプレがあるから、読者は安心して物語の森へ入っていける。「この先には何があるかわからないけど、テンプレがあるから迷子にはならない」と信じられるからだ。


逆に、テンプレを無視した「完全オリジナル」はどうなる? 主人公が何をしたいかもわからず、敵も現れず、ただ日常がダラダラ続く……あるいは、いきなり脈絡もなく富士山の火口で皆殺しに合う。読者はこう思う。「この作者は私をどこへ連れて行く気だ? 不安だ。帰ろう」。そして「戻る」ボタンを押す。これがあなたが最後まで読まれない原因の7割だ。


テンプレは()()じゃない。()()だ。導線があるから、君の「言いたいこと(テーマ)」が最後まで届くんだ。



どうやらまだ納得していないようだな。


「でも、芸術は型破りであるべきだろ?」そう反論したい君に、二人の天才の話をしよう。


パブロ・ピカソとサルバドール・ダリだ。彼らの代表作を見れば、常識なんてクソ食らえに見えるかもしれない。だが、彼らのスケッチを見たことがあるか? 彼らは、写真と見紛うほど精密で、完璧なデッサン力を持っていた。古典的な絵画技法(=当時のテンプレ)を、誰よりも完璧にマスターしていたんだ。


「ルールを破るためには、まずルールを知らなければならない」


これが鉄則だ。何が基本で、なぜその基本が機能しているのかを理解しているからこそ、「ここを崩せば面白い」という計算ができる。何も知らずに崩すのは「型破り」じゃない。「形無し」だ。


Web小説も同じだ。ランキングを独走する「異世界モノ」をよく読んでみてくれ。一見、流行りに乗っかっているように見えて、彼らは「読者が飽きるタイミング」や「カタルシスを感じる瞬間」を、呼吸するように計算して配置している。彼らもまたルールを理解しているんだ。


◆ ◇ ◇


ここで、物語の構造を理解するために、()()()()()()()をイメージしてほしい。君が書こうとしている小説は、以下の5層でできている。


--------------------------

【1.表現・文体】(生クリーム・デコレーション)

【2.キャラクター】(イチゴ・主役の具材)

【3.設定・世界観】(つなぎのクリーム・フルーツ)

【4.構造・プロット】(スポンジ生地・土台)

【5.テーマ】(お皿・作者の伝えたいこと)

--------------------------


多くの初心者は、一番上の「生クリーム(かっこいい文章)」や「イチゴ(魅力的なキャラ)」のことばかり考える。「銀髪赤眼のツンデレ美少女が!」とか「詠唱破棄の魔法描写が!」とかね。もちろん、それも大事だ。イチゴのないショートケーキは寂しい。


だが、「スポンジ(構造・プロット)」がスカスカだったらどうなる? イチゴの重みに耐えきれず、ケーキは崩壊する。食べてみても、口当たりが悪くて飲み込めない。どれだけ魅力的なキャラ(イチゴ)がいても、どれだけ美しい文章(生クリーム)で飾っても、物語の骨格である構造スポンジが焼けていなければ、それは()()()として成立しないんだ。


この連載で扱うのは、この「スポンジの焼きテンプレ」だ。スポンジ自体は、どこの店でも大差ない。卵と小麦粉と砂糖の比率は決まっている(=三幕構成や起承転結)。だが、ここをサボると、絶対に美味しいケーキにはならない。逆に言えば、「市販のスポンジ(テンプレ)」を使っても、上に乗せるイチゴ(キャラ)やクリーム(文体)を変えれば、それは君だけのオリジナルケーキになるということだ。


◆ ◆ ◇


読者が作者に求める究極の合言葉がある。「Give me the same thing ... only different.(同じものをくれ……でも、違った感じでな)」


矛盾しているように聞こえるか? でも、これが読者の本音だ。


読者は完全に新しいものなんて求めていない。「異世界に転生してチート能力で無双する」という「見たことのある安心感(The Same Thing)」が欲しい。それと同時に、「でも今回は、武器が()()()だけで無双する」という「ちょっとした違い(Only Different)」も欲しいんだ。


テンプレ(The Same Thing)があるから、君のオリジナリティ(Only Different)が輝く。この比率が重要だ。テンプレ100%ならパクリ。オリジナル100%なら意味不明。目指すべきは、「テンプレという強固な骨格に、君だけの肉付けをする」ことだ。


テンプレを学べば、「ここは王道で行こう」「ここはあえて外して驚かせよう」というコントロールができるようになる。それは君の個性を殺すことじゃない。君の個性を、最も安全に、最も効果的に読者に届けるための武器を手に入れることなんだ。


◆ ◆ ◆


この連載では、精神論は語らない。明日からエディタに向かう君が使える、実戦的な「武器」だけを渡していく。


第1章:大枠のテンプレ

物語全体を支える「三幕構成」や「起承転結」を、Web小説向けに翻訳して解説する。


第2章:配置のテンプレ(ビート)

『SAVE THE CATの法則』のような、読者を飽きさせないための「イベント配置」の技術。


第3章:ジャンルとスポットのテンプレ

「追放ざまぁ」や「悪役令嬢」の黄金パターンから、「第1話の掴み」「中だるみの解消法」といった局所的な特効薬まで。


第4章:無限連載のテンプレ

終わりのある映画脚本の技術を超えて、Web小説特有の「毎日更新し続けるための構造」へ。




次回からは、さっそく大枠のテンプレについて切り込んでいく。


用意はいいか? 俺たちはこれから、最高のショートケーキを作るんだ。スポンジが焼き上がれば、あとは君が好きなイチゴを乗せるだけだ。


それじゃあ、また次回。

【参考・出典】

Blake Snyder, Save the Cat! The Last Book on Screenwriting You'll Ever Need (邦題:『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』)


週1くらいのゆるいペースで書いていきます。

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― 新着の感想 ―
こんにちは。 まさに、エッセイの冒頭に書いてある、テンプレに辟易していた私です。 読んではいますが、「ちょっと飽きたな~」と思っていたころ。 職場の後輩がおすすめする「韓国ドラマ」を見ていました。 な…
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