表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の美女と道連れとなって、神々の忘れ物を拾い集めます  作者: 星羽昴
Ep:癒やしの聖女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/127

【癒やしの聖女】第1話 こらーーー!

 街道脇に生える樹木の密度が高くなった。

 そろそろ森や林と言う程度に茂って、木々の重なる枝が午後の陽光をやわらげる。青臭い樹木のにおいが濃くなり、湿気が肌に纏わり付くような気がした。


「ラゲルナ様」


 数歩後ろで荷物を背負っているノアールが、足を速めてわたしの前に出る。

 足を止めたノアールは、顔を上げて天空を見つめた。ノアールの視線を追いかけて,わたしも空を見上げる。

 足下を照らす木漏れ日が、何かに遮られて暗くなった。重なる樹木の枝の、ずっと上の方に何かが現れたのだ。


「……魔蝙蝠ワイバーン?」


 最初は、ゆっくりと飛んでいるのかと思った。だが、そうではない。


「な……でかい!」


 日影がやたら広がったのは、遙か上空にいたからだった。フェルトの町で見たものより、ずっと大きい。それが、真っ直ぐにわたしとノアールに向かって舞い降りてくる。


「ノアール、荷物を!」


 ノアールの背中から荷物を奪い取って、中身をひっくり返す。下着や鎖帷子チェーンメイルが足下に散らばる中から、サーコートを拾い上げた。

 魔蝙蝠ワイバーンは、口から炎の弾を吐き出す。もしも当たったら火傷では済まない。

 このサーコートは、土妖精ドワーフから貰った火蜥蜴サラマンダーの鱗を編み込んだもので、炎の魔法を弾き返してくれる。これを身に付けておけば、魔蝙蝠ワイバーンが吐き出す炎の弾も逸れて当たりにくくなるのだ。


「ラゲルナ様!」


 てっきり魔蝙蝠ワイバーンを喰らいに行くと思ったノアールが、わたしの背中に隠れやがった。


「はあ? ノアール、何やってるのよ?」


「服が燃えたら、嫌です!」


「こらーーー!」


 魔蝙蝠ワイバーンが吐き出す炎の弾は、わたしの直前で軌道を変えて、脇に逸れる。足下や街道脇の草や樹木が焦げて、更に青臭いにおいが周囲に満ちた。

 わたしの背中に身を隠しながらも、ノアールの視線は魔蝙蝠ワイバーンを見据えている。近づいて来たら、空間を引き裂いて切り刻むつもりだろう。しかし、 この魔蝙蝠ワイバーンは大き過ぎた。木々が茂るこの場所には降りられず、炎の弾が通用しないことに諦めて飛び去ってしまう。


「……」


 獲物を逃したノアールの口元が微かに歪む。ここしばらく、ノアールはまともな餌を喰らっていないから、悔しいだろう。

 ……とは言え、今のわたしは同情する気にはなれないぞ。


「はい?」


 わたしの視線に気付いたノアールは、緑の服の埃を払いながらニッコリと笑いかけてきた。黒髪に、緑の服はよく映えるとは思う。


「……散らばったものをズタ袋に戻すのを手伝っておくれよ」


「はい、わかりました」


 ぶちまけた荷物をズタ袋に詰め込んで、またノアールに背負わせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ