【拾い集めるモノ】第30話 そろそろ旅立ち
翌日の昼頃に、わたしはノアールを連れて冒険者ギルドへ向かった。
奥にログールの姿が見えたので、ノアールを入り口に待たせて奥へ向かおうとした。すると、ギルドの建物にいた男どもが立ち上がって、こちらへ足早に歩いて来る。
「……」
黒のローブを着ていないノアールは「仕事を依頼に来た若い女性」と思われたのだ。美人の依頼を獲得しようとしたのだろう。
(全く、男どもは美人に弱いね)
呆れていたら、ログールもその中に混じっていた。近づくまで、ノアールだとわからなかったようで、ノアールの前で照れくさそうにしている。
それから、やっとわたしの存在にも気付いた。
「町に来た商人の馬車が、行き倒れの旅人を拾ってきたんだよ。強盗にでも襲われたらしく、両腕を痛めつけられていてな。仕方ないので、医者のところへ運んだのだが……その旅人が、貴女方の知り合いだと言ってるんだ」
……両腕を痛めつけられた旅人?
「心当たりはないねえ。どこで拾われて来たんだい?」
「あの、魔狼狩りをした森の入口辺りだ。いや、運が良かったぞ。あんな場所に動けずに捨て置かれたら、普通は魔物に襲われていただろう。俺たちが魔狼狩りをした直後だったから不幸中の幸いだ」
ちぃ……それなら、魔物を探してその傍に放り出してくれば良かったな。
「全然、心当たりはないよ。イカサマ魔法使いの同業者かも知れないから、身ぐるみを剥いで、元の場所に放り出すか、牢屋で白状するまで閉じ込めておくべきじゃないかね」
「ふむ。身ぐるみを剥ぐかどうかはわからんが、怪我の治療代と飯代は取り立てないとならないからな。もしも、持ち合わせがなかったら牢屋も仕方ないだろう」
……と言うことで、商人が拾って来たと言う旅人の件は終わり。
冒険者と言えば、ならず者みたいな連中が多い中で、このナザレの町の冒険者はログールをはじめ皆真面目な者ばかりだった。
もしも、この町でイカサマ魔法使い絡みの面倒事が見つかったら、トレールの町の魔法使いや冒険者が相談に乗ってくれるはずだ。多分、彼らの方がヤクトの町の連中より頼りになると思う。
「エロイーズさんには、伝えなくて良いのか?」
わたしが「そろそろ旅立つ」と伝えると、ログールは気まずそうに訊いてくる。エロイーズが、わたし達に「何か」拘っているのを察してのことだろう。
「魔法使い連中の思惑は関係ないよ。あの娘が行きたい所があれば、わたしは連れて行くだけさ」
新しい緑の服を手に入れたノアールは、上機嫌だ。
Ep 拾い集めるモノ -終-




