【拾い集めるモノ】第27話 プライド?
「古の昔、悪しき精霊をも封じ込めた魔法です。失われたはずの魔法ですが、我が師匠により今の世に復元されました。我が師匠と共にある我々ならば、貴女様を有益に支援できると自負しております。決して、足手纏いとはなりますまい」
光の檻の中に取り残されたノアールに向かって、男は、両手を広げて仰々しく宣っている。足手纏い……と言うのは、わたしのことか?
男は、わたしが剣を持って近づいているのをチラリと見る。
「二人揃って魔法の檻の威力を感じて頂くつもりでしたが、冒険者様の身のこなしは私の想像を超えていました。その点には、感服致します」
ああ、そうかい。全く、褒められた気がしないな。
……ボクッ!
多少の手加減をして、男の顔面に拳を叩き込んでやった。手加減はしたのだが、思いの外男の身体は吹っ飛んでしまう。俯せに倒れ込みながらも、右手を懐に入れようとしたので、その手に海賊の剣を見舞った。
「ぎゃあああ!」
これも手加減したから骨は折れてないと思うが、しばらく腕も指も動かないだろうな。
剣を持って近づいて来る相手に、無警戒でいるあたり……どうやら、本当に害意はなかったのだろう。力を誇示してみせれば、平伏して「工房へ来ることを承知する」と思い込んでいたようだ。
わたしは、海賊の剣を肩に担いで、男の前に立つ。
「……くっ!」
男が、身を起こしながら無事な左手を懐に入れようとしたので海賊の剣を振り下ろして、その左腕を打つ。
「……ぐわぁぁぁぁぁぁぁ」
加減したつもりだが、今度は骨が折れたかも知れない。まあ……この状況で、逆らう素振りをしたコイツが悪い。
「あんたの選択肢は二つだけだ。おとなしく光の檻を消すか、もっと痛い思いをしてから消すか。好きな方を選びな」
男は尻餅をついたような格好から、上半身だけを起こして、わたしを目ね上げる。ダラリと下がった両腕の肩が、不満と恐怖に震えている。
「そ……それでは、まるで私が……暴力に屈するようではありませんか! 私にもプライドがあるのです!」
いや。自分の力を誇示して、相手に言うことを利かせようとするのは「相手のプライド」を蔑ろにしていると思うぞ。自分のプライドにだけ敏感なのは、やはり不詳の息子と同門な気がする。
「こ……この魔法は、術者である私の命が尽きても……周囲の魔を吸収し、は……発動し続けるのです。わ、私が術を解かない限り……中からは出られません」
声が裏返っているから、嘘なのが丸わかりだな。根は正直者かも知れない。多分、もうしばらくしか維持できない魔法のようだ。




