【拾い集めるモノ】第24話 一難去って、また?
イカサマ魔法使いが工房を構えたせいで、魔が撒き散らされ魔物が増えたのだろう。工房の中には魔石はないから、今いる魔物を討伐すれば、ナザレの町は落ち着きを取り戻せるだろう。
稼ぐつもりになっているノアールには悪いが、大口を開けて魔物を喰らう姿をログール達に見られても困る。一応、彼らには「女魔法使い」として紹介してあるし、それを信じているのだから。
ノアールには、魔物のいる方向を指し示す役をやって貰うことにした。魔狼を喰らい飽きているから、ノアールはあっさりと承諾する。
「凄いな。どんな探索の術を使ってるんだ?」
ノアールの的確な魔物探しに、冒険者たちは驚いている。
(食欲って言う術だと思うよ)
今はまだホドホドだが、腹が減ってくればもっと正確になるだろう。
「まあ、色々と訳ありなんだ。深く問い詰めるのは野暮ってものだ」
辺境伯直属の騎士や不肖の息子との戦いを目にしているログールが話を遮った。ログールとて詳細は知らないが、何かを察してくれているのだろう。
5体の魔狼を屠ってから、わたしとノアールを含めた7人は、遅めの昼食を取る。黒パンとチーズと炙った干し肉の食事だが、肉を炙る火熾しはわたしの役目になっていた。
「ラゲルナさんの作る爐は、火が強いし長持ちするからな」
褒められてはいるのだろうが、正直あまり嬉しくはないぞ。
食事を終えた頃には、太陽は西に傾いていた。
5体の魔狼は、かなりの成果だ。日没までにはまだ時間はありそうだが、明日に備えて早めに町に帰ることになった。
「わたしとノアールは、少ししてから行くよ。火の後始末をシッカリしておかないと山火事になったら申し訳ないからね」
「そうか。面倒な役ばかりさせて申し訳ないな」
「いや、いいさ」
そう言って、ラグール達を先に帰らせる。5人の冒険者が見えなくなった頃合いを見て、わたしは街道沿いの木立に視線を向けた。太い樹木の影から、草臥れたローブに身を包んだ旅人風の男が現れる。
「お気づきでしたか」
旅人風の男は、ローブのフードを下げて素顔を晒す。年配の、少し青白い感じの肌で痩せた男である。
魔狼を探している時に、ノアールが魔法の色に気付いたのだ。敵意は感じなかったが、わたしとノアールを追いかけているのはわかった。ノアールの感覚によれば「エロイーズや不肖の息子と同じ色の光」だと言う……と言うことは、捜査団の関係者に違いない。
「私はレグラスと申します。スネート様と同じ師匠の元で魔法を修行した者です」
何だ……今度こそ、師匠の息子の敵討ちか?




