【拾い集めるモノ】第22話 情報共有
エロイーズがヤクトの町に戻ることになり、ログールとその仲間の冒険者たちの間で情報共有しておくことになった。捜査団が逗留するはずだった宿に、わたしとノアール、ログールと仲間の魔法使いが呼び出される。
捜査団と言うのは『スネートと5人の騎士たち』であり、それに追従していた二頭立て馬車4台にいたのは、彼らの身の回りを世話する召使いや従者であると言う。
本当に、物見遊山の遊行くらいの気持ちで来たようだ。
主たちを失って、右往左往している召使いを引率するのもエロイーズの仕事になり、帰路につく準備を指示していた。
人払いをした一部屋で、ログールが「カルロの小屋で見つけた手紙」の話を切り出した。それを聞いたエロイーズの顔が歪む。
「もしかしたら、お師匠様のところにもカルロは『売り込みの手紙』を出していたかも知れないのね」
それがスネートの耳にも入って、特殊な魔法に興味を持った可能性はある。
「そうすると、エロイーズさんは一刻も早く師匠のところへ帰った方がいい。師匠が倒れたタイミングが良すぎるからな」
エロイーズの目が見開かれて、口が開きかけたがそのまま固まってしまう。「まさか」と言おうとしたが、否定しきれなかったようだ。
実の父に危害を加える可能性を否定できないとは……本当にロクでもない息子だったのだな。
エロイーズは、残った召使い達を引き連れて、翌朝にはヤクトの町へ出立することになった。
「どうして、貴女たちは一緒に来ないのよ?」
エロイーズの金切り声が、わたしの耳に突き刺さる。どうやら、エロイーズとしては「わたしとノアールは、一緒にカルロを追いかける」ものと思い込んでいたらしい。
「カルロの手がかりが、お師匠様のところにあるかも知れないのよ。貴女たちもカルロを追いかけるなら、協力すべきだわ」
イカサマ魔法使いが魔石を持って逃げているのなら回収する必要はあるが、それは「ノアールの餌」になるからである。魔石を持っていないのなら、イカサマ魔法使い個人を追いかける義理はない。
『君たちには、魔を集めて貰う』
不肖の息子は、ノアールに「魔を集めさせよう」としていた。イカサマ魔法使いと不肖の息子が接触していて、イカサマ魔法使いが魔石を持っているなら、そんな必要はなかったはずだ。
もっとも⋯⋯ノアールは、喰らうだけで「集める」ことなんてできないだろうけどな。
「悪いね。この町の仕立屋に服を注文してあるからさ」
これも重要だ。ノアールが機嫌を損ねたら、何にもできなくなるからな。




