【拾い集めるモノ】第11話 嘘です、ごめんなさい
その翌日。
ログールは、小屋の見張り役に有志で集まっていた冒険者たちに「見張りの中止」を宣言した。
エロイーズは抗議の声を上げたが「報酬のない仕事に、冒険者を拘束し続けるのは無理」との理由に反論できなかった。
……と言うよりも「冒険者たちが無報酬」だと聞いて驚いている。エロイーズには、捜査団から報酬が出る約束なのだとか。
中央の、田舎町の冒険者に対する扱いは差別的にぞんざいらしい。
そして。ログールとその仲間達がイカサマ魔法使いの小屋へ内密に向かう。捜査団が到着する前に、家捜しをするためだ。
わたしも行きたかったのだが、わたし達が動くとエロイーズが騒ぐ可能性がある。おそらく『拾い集めるモノ』を監視する役目も受けているはずだから。
今の段階では、エロイーズがどちら側につくのかがわからない。エロイーズを通して、ログール達の動きが捜査団に漏れるのは、警戒しておいた方がいいとの判断だ。
日没の暗がりに紛れて、ログール達が帰って来る。
「アンタらがお望みだったのは、これかい?」
丁寧に包まれた布きれを解くと、灰色の石の粒がいくつかあった。その石粒は、暗がりだと蛍のように淡い青みがかった光を発している。
「多分、これだけど……大きいのはなかったのかい?」
小指の先より小さな粒ばかりだ。顔を近づけて石粒を見るノアールの表情も微妙と言うほかない。
「大きな塊を加工した時に砕け落ちた破片みたいだ。机や床に散らばってる粉や粒を、かき集めてきたんだ」
この、小粒な魔石の欠片から流れ出す魔のせいで、森の魔の濃度が上がっていたのか。
ノアールは、左手の指先を押し付けて、指先についた魔石の粉や粒を舐めはじめる。期待していた餌にありつけずに可哀想と思うべきか……意地汚い真似をするな、と注意すべきか……どうしよう?
いや。ノアールに喰らって貰わないと、町の中心地に魔を撒き散らしてしまうのか。全部、舐め取らせないと後が大変だな。
焼き菓子の欠片を舐めまわす子供のようなノアールに、冒険者たちが怪訝な目を向けている。
「ああやって魔法の痕跡を調べてるんだ。あの娘のことは放っておいていいよ」
適当なこと言って、ログール達を誤魔化す。仲間の魔法使いには「そんな術があるのか」と本気で感心されてしまった。
……申し訳ない。嘘です、ごめんなさい。
小屋には呪具や呪符が乱雑に残っていたが、それらは忍び込んだことがバレないように残してきたと言う。
しかし、手書きで何かを書き留めたメモや手紙は、できるだけ忠実に書き写してを持って来ていた。




