【拾い集めるモノ】第7話 神々の残滓
この世界を創った神々は、もういない。
陸に海に空に命が溢れた後……神々は、この世界から消えてしまった。
……神々の残滓。
神々は消えても、神々が世界を創造した力の片鱗は、今も世界に漂っている。邪な魔物が発生するのも、聖なる奇跡が起こるのも、神々の残滓の具現と言われている。
しかし。
神々は、この世界に『神の力』が残ることを許さない。
この世界に残る『神の力』を回収するために世界に降臨する神々の使徒……それが『拾い集めるモノ』と呼ばれる存在である。
「魔法と言うのはね、神々がこの世界に残した忘れ物なのよ。あたし達のような魔法使いは、神々の忘れ物を間借りさせて貰って力を振るっているわけなの」
「ああ、そうかい」
「だからね。もし神々が忘れ物を取りに来たのなら、それは返さないといけないの。それは、魔法使いの義務でもあるの」
「ああ、そうかい」
「……話、聞いてる?」
「ああ、そうかい」
「貴女の緑色の髪って、素敵よ」
「ああ、そうかい」
数瞬の沈黙。その後、真面目に耳が壊れるかと思う超音波攻撃を受けた。
「ちゃんと、他人の話を聞きなさいよ!」
異様に甲高い大声で怒鳴られたのだ。頭の中が揺さぶられて、耳はツーンと鳴って周囲の音が聞き取れなくなってしまう。敢えて、言わせて貰えば「話を聞きたくない」のではなく、その「甲高い声を聴きたくない」だけだ。
「貴女の髪は、緑色だったかしら?」
周囲の音が聞き取れなないのに、エロイーズの甲高い声だけははっきり聞こえる。これには背筋が冷たくなるほどの恐怖を感じた。
これならノアールの餌探しに付き合って死にかける方が怖くない。
「……髪の色?」
わたしの髪ならプラチナブロンドだ。子供の頃から、綺麗な髪としてよく褒められていた。今は手入れが面倒だから、短く切り詰めているけどな。
「だからね。あの娘が『拾い集めるモノ』なら、魔法使いにとっては一大事なのよ」
これでも北の地にいた頃なら、男どもに「美人」と持てはやされていたんだぞ。今は傍にいるノアールが美人過ぎるから目立たないだろうが。
「神々に魔法を返さないとならない。けど……もしそうしたら、魔法使いは魔法が使えなくなるかも知れないの。だから『拾い集めるモノ』と、どう関わるべきなのかを、見定めないといけないの」
「……わたしの髪が何色に見えたの?」
エロイーズの顔が、何故だか急に鬼のような形相に変わる。そして、再びの超音波攻撃を浴びせられた。
「いい加減にしなさい!」
何なんだ?
髪の色の話じゃなかったのか!




