【拾い集めるモノ】第6話 女子会?
打ち合わせ翌日の日没から日の出までが、わたし達の張り込み当番となる。
エロイーズは、結構大きい荷物を背負っていた。魔物のいる森で張り込みをするのだから「武器になる呪具を持ってきた」と思っていたら……なんと調理道具だった。
小屋を張り込む場所に着くなり、大きめの布を地面に広げて、調理道具と野菜や燻製肉を取り出した。
「あたしは野菜と肉を刻んでおくから、火熾しはお願いね」
どうやら、本当に調理道具ばかりで武器になるものは持って来ていないらしい。魔物が襲ってきたら、どうするつもりだよ?
「拾い集めるモノがいるのなら、魔物なんか怖くないでしょう。大体、人の作った呪具で何かしようにも足手纏いになるだけじゃない」
ああ、ノアールが拾い集めるモノだと知っていたのだっけ。だからと言って、寛ぎ過ぎだと思うぞ。
「力になれない分、せめてリラックスして貰おうと思ったのよ」
ノアールは、人の食べ物は必要としないぞ。
「食べ物だけじゃないわよ。今回は、髪飾りとかネックレスとか……この娘に似合いそうなモノも持って来たわ」
遠足のついでに、女子会をする気か……こいつ。
仕方ないので、言われた通りに地面に穴を掘って簡易的な爐を作って火を熾す。エロイーズは、その火に鍋をかけて得意げに調理を始めた。
「ヤクトの町から来る捜査官は、あたしのお師匠様なの。このフェアトレー辺境伯領で一番の魔法使いよ。お師匠様は辺境伯様の相談者役でもあるんだから」
「ああ、そうかい」
結構、エロイーズは熱く語っているのだが、わたしは興味はない。わたしは、北の地で『盾の乙女』に落ちこぼれて、この地へ逃げてきた流れ者だ。だから、この地の魔法使いの上下関係には関心はない。
「あのね。お師匠様は、貴女たちに会いに来るって意味もあるのよ!」
「ああ、そうかい」
わたしは別に会いたいとは思ってないぞ。
「ちょっと! 何で、お師匠様が、貴女たちに会いに来るのか理由が気にならないの?」
だから、興味ないって!
塩を少なめにして、その分を香辛料を効かせたシチューは美味しい。この、甲高い声がしないところで食べられたなら最高だと思う。
食事に興味のないノアールは、真珠を繋いだ首飾りを珍しそうに眺めている。
「凄く鮮やかな光沢の真珠ですね」
海水真珠の輝きに、ノアールは感心していた。
淡水の貝からも真珠は採れるが、核がないからボワッとした光沢になりやすい。海水の貝から採れる真珠の方が、光沢が鮮やかだ。
海を知らないノアールには、本当に珍しいのだろう。




