【拾い集めるモノ】第1話 一線を越える?
「いやさー、いまいち信用できないんだよねぇ。ラゲルナ……だっけ? 君がさぁ、拾い集めるモノのパートナーに相応しいのかどうか」
正面に立っている魔法使いは、片目を瞑ってペロリと舌を出してみせた。幼さが残る顔立ち……と言うよりも、本当にまだ子供である。その子供が、五人の剣使いを従えて、わたしの前でふんぞり返っている。
「だから、試させて貰いたいんだよね。ねえねえ、みんなもそう思うでしょう?」
子供の魔法使いの声に応じて、五人の剣使いが剣を抜いた。既に、わたしの周囲を取り囲んでいるから、最初からそのつもりだったのだろう。
「スネート! いい加減にしなさい。みんなも剣を納めて!」
ガラスを鉄の剣で引っ掻くような甲高い声が響く。耳に突き刺さるような金切り声だが、五人と一人を止めようとしてくれているのだから有り難いと思わないといけない。
とは言え、五人の剣使いはその声には従わない。
この五人は、子供の魔法使いの従者なので、主人であるの子供の魔法使いの命令が優先だろう。
「大丈夫だって、エロイーズ。実はラゲルナはね、北の地でのトラウマを引き摺ってるから『人は殺せない』んだよ。五人の従者達が加減を間違えなければ、お互いにチョット痛い目をみるだけで納得できるさ」
甲高い声の主はエロイーズと言う名の女魔法使いで、子供の魔法使いの姉弟子に当たる関係だとか。エロイーズの師匠だった魔法使いの息子が、この小生意気な子供の魔法使いらしい。
……北の地でのトラウマ。
ヘラヘラと笑いながら口にする子供の魔法使いに対して、無性に腹が立った。子供相手に大人げないのかも知れないが、人には触れられたく過去や感情があるのだ。
この子供の魔法使いは、わたしにとっての一線を踏み越えている。
「ラゲルナ様、後ろに下がってください。この人達の相手は、妾がいたします」
不意に、ノアールがわたしの前に出た。
「ちょっとぉ! それじゃ、主旨が違うでしょう。ノアールさん、貴女のパートナーとしてラゲルナが相応しいかどうかを試そうって言ってるんだよ。わかってる?」
他人の都合を省みない子供の魔法使いは、抗議の声を上げる。しかしながら、ノアールだって他人の話を聞かないことは、知る人ぞ知る確定事項である。抗議の声に、意味はない。
「じゃあ、任せるよ」
「はい」
涼やかな声で返事をすると、ノアールは剣を抜いている五人のうち、その一人の方へ歩き出した。黒いローブの下から猛禽類の如き鉤爪の右手を伸びるのが見えた。




