【狙われたノアール】第18話 一思いに片付けます
お嬢様は、天井に開いた穴から、夜の空が見えていることに驚いたようだ。お嬢様に率いられた剣使いと魔法使いも同じく声を驚きの上げた。
このお屋敷は、石造りの2階建てである。わたし達が、屋根と床二つをぶち抜いて、地下に造られたこの部屋に押し入って来たのに気付く。
「凄いじゃないの。貴男の魔法結界を破って、ここへ来たのでしょう。見掛けに騙されるところだったわ」
魔法結界?
そんなモノも張り巡らせていたのか。多分、ノアールは気にしてないぞ。
「我が石人形が、魔蝙蝠に匹敵する魔物を凌駕するのを証明しましょう」
カルロは呪詛の書かれた羊皮紙を、魔石の上に置く。すると、石人形の一体が、わたし達の方へ近づいて来た。
なんと、石人形を遠隔操作できるのか。更に、この石人形は、右手に炎の弾を撃ち出す呪具を持っている。
「剣や弓が効かない石の身体に、炎の呪具かい。人相手なら無双できそうだね」
人だけではなく、魔牛クラスの魔物でも圧倒できそうだ。
「……面倒だねえ」
土妖精から貰った火蜥蜴の鱗を編み込んだサーコートは、手元にない。炎の弾が飛んでくると厄介だ。
そう思っていたら、ノアールが石人形の方へ二歩ほど踏み出した。
「面倒なので一思いに片付けます。ラゲルナ様は、妾の背中の後ろにいて下さい」
次の瞬間、石人形のいる方向がステンドグラスのようにチグハグな見え方になり、白く発光した。
……ゴゴゴ
……ガラガラガラ
……ドサッ……ドサッ
三体の石人形はバラバラになって崩れ落ちる。石人形が存在する空間を引き千切ったのだ。その空間に存在するモノを、丸ごと引き千切ってしまうノアールの必殺技だ。
……ガラガラガラ
……ドサッ……ドサッ
石人形だけではなく、石人形のいる部屋ごと引き裂いたようだ。部屋の石壁も天井も壊れて崩れていく。
……ドサッ……ドサッ
……ドサッ……ドサッ
崩れ落ちてくる天井と共に、上の部屋にあった家具も落ちてきた。石壁の石材が剥がれて、土砂も流れ込んでいる。
どうやら自分の前方にあるものを無差別に切り裂いたようだ。これは、お屋敷が半壊しているかも知れないぞ。
石人形は、何もしないうちにバラバラになり、部屋ごと土砂や瓦礫に埋まってしまう。カルロも、お嬢様も、その護衛も、呆然としていた。
そんな彼らを尻目に、ノアールは魔石が並べられた机に近づくと、左手で魔石を鷲掴みして口の中へ放り込んでいた。耳元まで裂けた口で、ジャリジャリと音を立てて魔石を噛み砕いている。
ああ……派手に空間を引き裂いたせいで、腹が減ったんだな。




