【深淵の呪術】第15話 探索パーティ
「いつ、森に入れるの?」
わたしがギルド長に問いかけた言葉に、一瞬だけ受付係の女の口元が歪むのがわかった。「森探索の仕事は断って欲しい」と言っていたのは、彼女の本気の気持ちだったようだ。
「今日の午後に、森の東方面に入る探索パーティがある。西方面を探索するパーティが、明後日の午後に予定されている。その探索パーティでどうだろうか?」
「いや、今日の午後の探索パーティにねじ込んで欲しい」
まず、ノアールを本調子にするのが最優先だ。そのためには「便利な魔道具が溢れている」この町を早く出た方がいい。
明後日の探索パーティになるなら、強攻策に出る方がマシ。
「ふむ、わかった」
ギルド長は考える仕草を示したが、直ぐに頷く。無理な要望かもと思った、あっさりと受けられたのは意外だった。
東側を探索するパーティは、午後に町を出て、森の東側にある入口から入ることになっている言う。わたしとノアールが追い返された入口だ。
場所がわかっているなら、探索パーティとはそこで落ち合うことにする。
「あんた達二人分の許可証は大急ぎで作る。探索パーティのリーダーはマドックと言う剣使いの男だ。彼に許可証を預けておくから、森の入口で必ず受け取ってくれ」
「急がせて申し訳ないね」
無理を通して貰った礼を言って、わたしとノアールはギルドの建物を出ることにする。
少しすると、受付係の女が追いかけて来た。
「や……っぱり、行くんです……か?」
全力疾走してきたのか、ゼイゼイと息を切らせている。
「心配してくれるのは有り難いよ。でも、わたしには『生き返らせたい人』なんていないからね。ヤバいことになりそうなら、さっさと逃げ出すさ」
受付係の女は、納得しきらない様子ではあったが、何やら殴り書きした羊皮紙を差し出した。
「今日の午後に、東側から森に入る探索パーティのメンバーです」
そこには五人の名前が記されていた。
「マドックとガモンは剣使いで、ジョニアスとログルは弓使い。最後のリズは、女性で魔法使いです」
……受付係の女によると。
ガモンとリズは、町の住民から「金のためには何でもする」と評判は悪い。ジョニアスは、恋仲だったパートナーを魔物討伐の仕事で失ったばかり。そして、マドックとログルは不仲で有名らしい。
「みんな腕はそれなりなんですよ。でも、自分勝手な人ばかりで……ギルド長は、何でこんな編成にしたのか不思議です。まあ、この町にはそんな冒険者ばっかりなんですけどね」
わたしも自分勝手な冒険者だから、心配して貰うのが申し訳ないな。




