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3話

遺跡から出る道中は退屈で、不安だった。


魔力が切れそうになってからもう一度こんな道を戻ってこれるのかとか。


無いとは思うけど向かった先で殺されてしまうんじゃないかとか。


廃坑といった様子の暗くて狭い人の手で掘ったような洞窟で、先頭のセサルの持つ明かりのみが唯一の光源なのが良くないのか悪い考えばっかりしてしまう。

みんなしゃべる余裕は無いみたいで荒い息遣いと足音のみが響いている。



あの後、持ち出せるものはないかと少し調べたところ、人間の手で持ち運べるようなものは粗方運び出されているらしく、特に何もなかった。



強度的に大丈夫なのは分かるものの、見た目的にも気持ち的にも裸足で動き回るのは嫌だったので、今着ている体に吹き付けるタイプの服と同じものを足に濃い目に吹き付けて靴の代わりにすることにした。

その時のセサルの興味深そうな顔が何か気になった、人間用じゃないとは言っているはずだけど。


いくら歩いても疲れないことがわかったけど、どこまで続くかわからない坂を上り続けるのは精神的に疲れてしまう、考える余裕がある分退屈をしっかりかみしめている感じがする。




「外までついたぞ」



一回途中で休憩をはさんだ後しばらくして、外についたらしい。

時間的に今は夜らしいが、月明かりではっきりと見える、見渡す限り森といった感じだ。



「普通に月があるんだね」



「何を言ってるんだ?」



異世界でもそういうところは変わらないらしい。


さっきは気が付かなかったが、廃坑を出てすぐ隣にいかにも猟師小屋といった風貌の小屋があり、物音を聞きつけたのが男が3人出てきていた。



「教授、賭けはどうなった? まさかとは思うがその子が古代人か?」



「違うらしいが、これから確認する」



3人のうち2人はいかにも兵士、といったプレートアーマーを付けていた。

残りの一人が話しかけてくるが、雰囲気的にセサルの仲間らしい。



「これからどうするの?」



「詰所で一晩止まって、そこから馬車だ」



「詰所ってコレ?」



先ほどの小屋を指さす、どう見てもこの3人含め11人いるのに泊まれるようには見えない。



「ここから少し下ったところに兵士の詰所がある、それは兵士が入口を見張るためのものだ」



「どこから攫ってきたんだ? アガリア語を話すなら古代人じゃないだろう、子供にこんな格好をさせて・・・教授お前」

「経緯は後で説明する、ここからしばらく同じ説明を何度もすることになる。 せめて身内は一回で済ませたい」



あらぬ疑いを仲間からかけられているらしいので、助け舟を出してあげることにした。



「アーリです、別に攫われたってわけじゃ・・・いや今攫われてるのかも、とにかくこの下の遺跡から出てきた存在なのは本当です」



「エドモンドだ、この男の部下だ。 本当に困っていたら後でこっそり言ってくれ、助けになる」



助け舟になっていなかったかもしれないが、とりあえず納得してくれたらしく小屋からマントを取り出して着せてくれた、実に紳士である。



「本当は雨具なんだが、着替えるまでそれを付けておいてくれ、詰所にも着替えはないだろうからな」



「そろそろ行くぞ、明日は早く出発するからな」



どこか不機嫌そうなセサルはそう言って坂を下っていく、舗装はされてないが踏み固められた道で普段から人の往来はあるようだ。



兵士2人をおいて、坂を下ると10分も歩かないうちに木造建築の建物につく、見た感じは田舎の公民館といった感じでかなり古そうな建物だが、やっと文明らしいものに出会えた気がしてすごくほっとする。


あてがわれた部屋も狭いながらも快適で、ベットは布となにがしかの繊維で作られたきちんとしたものがあり、ふかふかというほどじゃないが快適だった。

実家(いせき)も近いしここに住む!とはしゃいだ時にはセサルにかわいそうな人を見る目で見られてしまった。


恐らく聞かれていないと思われているので、気づいていないふりをするが、兵士に逃げ出さないように見張る指示を出しているのが聞こえた。

まぁ今の気分に比べれば些細なことに思う。





初めてだ。



物心ついて以来常に誰かの祈りを感じていた。



突然夜中に起きて「うるさい!」と声をあげて家族に迷惑をかけたこともある。



完全に意識を落として寝るのは、本当に疲れ切った時に気絶するように倒れた時だけだった。



なんてここは、素晴らしい世界なんだろう。









翌日、起きてみるともうすでに準備をしているのか慌ただしい雰囲気を感じる



「朝食だけど」



セサルの護衛の女の人がノックもせずに入ってきた、皮の防具を外すだけで随分印象が違う、普通の人って感じがする。

今思えばボロボロだったのは皮の防具で、下に来ているものは別に普通だ。



「ありがとう、何か準備に手伝うことはある?」



「おとなしくしてて」



「うん、わかった ・・・ええと、馬車でどのくらいでつくの?」



「何を教えていいか、聞いてない」



最初は何か怒らせてしまったのかと思ったが、こういう性格だと納得することにした。

多分セサルあたりに聞けば答えてくれるだろう。



ふと朝食に目を落とす、チーズとパンとスープというシンプルなものだ。


ガイノイドには味見する機能はあるが、味見した後消化できないので、吐き出さなくていけない。

しかし、食べても消化してそれを自分の魔力に変えれる確信があった。


多分昨日の夜からだ、本来寝る機能のないガイノイドが寝る。


無意識的に人間的になるように叶えてしまったのかなと思う。


後先考えなければそれこそなんでもできるような気がする、ただし昨日のように無意識的に使ってしまってはいつか自分がすり減ってなくなってしまう。


昨日に関しては必要なことだったと割り切るしかないけど、気をつけなければいけない。



もう増やす方法なんてないのだから。



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