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瑛人ーその5ー

 俺は彼女が来るのを見て、驚いた。

かなり早く来るだろうと思ってはいたが、まさか四十分前に来るとは思っていなかったからだ。

俺もつい五分前に来たところである。

「おはようございます。集合は九時半でしたか?」

「いえ、なんだか落ち着かなくてここにいる方が気が紛れますから。本宮さんこそまだ四十分前ですよ?」

「同じです。私も落ち着かなくて。」

俺も彼女も本心だった。何故かそう確信できた。

「まだこの辺りのお店も開店していませんし少しお互いの事を話しませんか?行動を共にするのに名前だけでは何かと不便かと」

俺は彼女がどういう人なのか興味を持っていた。そうして俺たちは年齢や血液型から自己紹介をした。

「AB型ですか。いいなぁ!僕、AB型に憧れているんですよね」

これも本心だ。天才肌だし珍しいというのは全てが普通の自分には羨ましいことこの上ない。

「そんなこと言われたの初めてです。いつも血液型を言うと決まって引き吊った顔をされますから」

彼女はあからさまに不思議そうな顔をしている。

俺は昨日の悔しい気持ちや掴みにくいと思った気持ちを全く感じていなかった。

「俺、正直昨日悔しかったんですよね。なんか行動力ある本宮さんに嫉妬したんです。でも今は見習いたいって思ってますから」

「私も森平さんの負けず嫌いを見習います」

彼女はやっとリラックスしたような笑顔を見せた。

そして時計を見ると十時半を指していた。

「そろそろ店も開き初めましたね。どういう風に聞き込みます?」

「隣の店に行って見ましょう。とにかくお店がいつまであったか聞いてみませんか?」

「そうですね。それでは行きましょうか?」

「ええ。森平さん……もし……もしですよ?悲しい現実が待っていたとしても真実を知りたいですか?」

「はい。本宮さんに決心させてもらいました。しかもその現実を知るときも一人じゃないでしょう?本宮さんがいれば強がりでも強くなれそうなんですよね」

言ったあとに恥ずかしくなり彼女に背を向けて

「さぁ、行きましょう」

と先に歩き出した。





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