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衣咲ーその4ー

 フゥーっと深いため息をつく。

電話を切って一気に疲れがきたのである。

彼のことを一つわかった気がした。

かなりの負けず嫌いだということだ。

私が強がったせいだろうと思って情けなくなる。

「もしもし本宮ですが、店長居ますか?」

私はバイト先に連絡していた。

私のバイトは画材道具の専門店だ。私には本当に『絵』しかない。

「もしもし。本宮くん、どうしたの?」

いつもの聞き取りやすい声が私を落ち着かせた。

「明日の月曜日なんですが少し急用ができてしまい、休みにしていただきたいんですが……」

「わかったよ。なんとかしておく。明後日には来られるかな?」

あまりに優しい口調が私をさらに申し訳なくさせる。「はい。必ず行きます。ではよろしくお願いします」

こんなときもあんなに優しい店長にさえ謝ることのできない私はつくづく自分が嫌になる。

明日はバイトだ。と言えなかった自分を責めた。

そのせいでかなり寝不足になってしまった。

珍しいことではないにしろいつにも増してきつい。さすがにニ十四にもなれば若くないと感じた。

それでも意地っ張りで素直になれない私は栄養ドリンク飲み、足早に京都駅に向かった。

電車は比較的空いていたので難波駅まで座って行くことができた。

その間私が爆睡していたことは言うまでもない。



難波駅に着くといつものように歩いて堀江公園に向かう。

時間はまだ九時だった。

興奮気味で少し早歩きになったのか、九時二十分には堀江公園に着いた。

辺りを見回すと昨日のベンチにはもう彼の姿があった。今日は気持ちよく過ごすために一言、すみませんから会話を始めようと思いながら彼の元に近づいて行った。




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