表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

瑛人ーその4ー

 電話を切った後、俺はすぐさま近所のコンビニに走った。

そして店員に

「ここバイト募集してますよね?雇ってください」

店員は慌てふためき

「店長呼んで来ます」

と逃げるように裏に入って行く。

五分ぐらい待つと気の弱そうな四十代であろう男性が歩み寄ってきた。

「私が店長です。君がバイトしたいと言う人かね?」

「そうです。今すぐに雇ってもらいたいんですけど」

「り、履歴書はあるかな?」

「雇ってくれるなら明日にでもいや、今すぐに書きます」

俺が即答するのでかなりあたふたしている。この人なら強引に押せるなと確信した。

「急に言われてもねぇ…履歴書もないみたいだし…その…」

と言い淀んだので

「あそこの張り紙に急募って書いてあるのあれは嘘ですか?急に言われたら困るのに急募なんですか?なんかおかしくないですか?この店は嘘つきが経営してる店なんですね!みなさ〜ん。この店は詐欺行為をしていますよ〜」

「君ちょっと待って!わかった採用するから。裏で履歴書書いて。ね?」

そう言うとコンビニの店長はがっくり項垂れた。

「ありがとうございます。では早速案内してください」

勝ったっと思った相手はコンビニの店長ではなく彼女だ。

あの挑戦的な態度と見下された感じが気に入らなかったので、今日中に連絡してやろうと思ったのである。

そして主に深夜働く契約をコンビニと交わした。

すぐにアパートに帰り、電話帳から本宮さんを選び発信した。

「もしもし」

「森平ですけど、今お時間大丈夫ですか?」

皮肉を込めた。

「大丈夫ですよ。何か?」

彼女は皮肉に気付いたようだった。

「バイトが決まったのでご連絡させていただきました。こちらはいつでも大丈夫です。そちらのご都合はどうですか?」

「そうですか。私もバイトですので都合はいつでもつけられます。森平さんの時間に合わせますよ」

彼女は怯まない。

「では明日の朝なんてどうでしょう?そうですね……十時くらいに堀江公園でいかがです?」


さすがに今日の明日は断ってくると思った。

「わかりました。では明日の朝十時に堀江公園で逢いましょう。では」

急に電話を切られ呆気にとられた。

彼女に一言すみませんと言わせようとしたが、うまくやり過ごされた気がして悔しい。

掴みにくい相手だなと思いながら携帯に写る本宮さんという文字を見つめていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ