瑛人ーその2ー
そこにどのぐらいの時間立っていただろう。
俺は何も考えられずに道の真ん中に突っ立っていた。俺が胸踊らせてきたこの場所がまさかこんな姿になってるとは思いもしなかった。
そこには七年前に見た古着の山やタートルズはない。
中は綺麗に改装され、窓にはテナント募集の張り紙が貼られている。
頭が真っ白になるという状況が初めて理解できた。
「あの……あなたも古着屋に来たんですか?」
その一言が俺を一気に現実に引き戻した。
彼女は同い年ぐらいに見える綺麗というより可愛らしい感じである。
髪型は俺の好みのショートカットでパーカーにデニムのカジュアルな服装だったが小物や色使いがうまくすごくオシャレだ。
「あなたも……ですか?」
こう聞き返すのが精一杯だった。
「はい。まさかなくなってしまったなんて。信じられない」
彼女の目には涙が浮かんでいる。
彼女もそうとう古着屋に思い入れがあったことはすぐにわかった。
「俺も信じられません。今までこの日のために生きてきたのに……どうしてこんなことに」
「あなたもすごく思い入れがあるようですね。こんな道の真ん中ではなんですから堀江公園で少しお話しませんか?」
「そうですね。そうしましょう」
少し戸惑ったが、話が聞きたかった。
そうして俺と彼女は堀江公園に向かった。