図書室でキスを
図書室の角。
本棚に囲まれて、周囲の目から隔たれた空間で、私たちは抱擁を交わす。
彼の腰に回した腕で、ギュッと強く彼に抱きつく。腕に感じるのは、硬く太いゴツゴツとした彼の体。女の子とは全然違う男の体だ。
彼が、私に応えるように強く私を抱き寄せる。少し苦しい。でも、その苦しささえ、今は愛おしい。彼が私を求めてくれている証のように思えたのだ。
腰に、背に回された彼の逞しい腕。胸に感じる硬く鍛えられた腹筋。頬に当たる胸板からは、彼の温もりと、とても速い鼓動の音が聞こえる。もしかしたら、私の鼓動よりも速いかもしれない。ううん、私の鼓動も彼と同じくらい速くなっている。彼にも私の鼓動が聴こえているのだろうか。だとしたら少し恥ずかしい。
「・・・」
彼が私の名前を呼ぶ。
名前を呼ばれただけ。それなのに、彼が何を求めているのかすぐに分かった。私も同じものを求めていたから。
抱き合ったまま、至近距離で彼と見つめ合う。彼の黒い瞳の中に映る私は、表情が蕩け切っていた。こんな顔を彼に見られているのかと思うと、恥ずかしくて、どうにかなってしまいそうだ。
どうせなら、彼には綺麗な私を見て欲しい。シャキッとしようとするけど、顔は言うことを聞かない。幸せに、顔の筋肉が蕩け切ってしまったようだ。
私は彼の視界を塞ぐべく、最終手段を取ることにした。踵を上げてつま先立ち。更に近くなった彼の顔にドキドキする。
私の目は自然と閉じていた。彼の顔が近づいてくる気配を感じた。
もうすぐで二人の顔が重なるその刹那。
バサリと何かが落ちる音が聞こえた。
良いところを邪魔された私は、当然ながら不機嫌だ。下手人の姿を見ると、同じクラスの女の子。彼に色目を使う気に食わない子。
女の子の登場に、彼の唇が私から離れていこうとする。
私は、彼の首に腕を回して強く抱きしめる。そして、思いっきりつま先立ちすると、彼の唇を奪った。
彼の驚く気配が伝わるけど、私からするのもたまにはアリでしょ?
それに、彼が誰の物かハッキリさせておかなくっちゃ。
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