番外編 結婚式前日3
それから、アルトゥールによって捕獲されたユスは無事ヘレナさんと再会を果たしたのだけれど……。
「エヴァさまぁぁぁぁぁぁっ」
ヘレナさんは私の膝の上でずっと泣き続けている。
ユスが狼から人間に戻らなかったからだ。
「明日の式に、叔父上が来る。その時にユスの事を相談しようと思っている」
「分かったわ」
私はヘレナさんの頭をそっと撫でました。
「今夜はもう休みましょう。私もそばにいるわ」
「いえっ。大丈夫ですわ。明日は結婚式ですもの。ですが、私はユス様と過ごしたいと思っております。エヴァ様の護衛が……」
「それなら、俺がずっとそばにいるから心配するな」
「ありがとうございます」
ヘレナさんはフラフラと立ち上がると、奥で眠るユストゥスの方へ向かった。
「エヴァ。一先ず、ユスの事はヘレナに任せよう。明日は結婚式だ。俺たちも休もう」
「ええ。でも心配だわ」
「大丈夫だ。ユスは兵に弓を向けられた訳でも、国を出で一人ぼっちになった訳でも、婚約者がいない訳でもないのだから」
確かにアルトゥールの時とは状況が違う。ユストゥスにはヘレナさんという互いを想い合った婚約者がいるのだから。
でも――。
「ヘレナさんに殴り飛ばされていたわ」
「ははっ。そうだったな」
「笑い事じゃないわ」
「ヘレナと会えれば元に戻れると思ったのだろうが、少しすれ違ってしまったようだけど、あの二人なら大丈夫だ」
「そうね。あっ!」
「ん?」
「このまま元に戻らなかったら、明日の結婚式に……」
私が何を言いたいか分かった様子で、アルトゥールはちょっと意地悪な笑みを浮かべて言った。
「黒い狼が参列するかもしれないな」
そして式当日。
ユストゥスは結局人間に戻れず黒狼の姿で参列した。
ヘレナさんがずっと献身的に寄り添ってくれているので、ユストゥスはご機嫌だ。
アルトゥールは人と狼の行き来の仕方はコツを掴むまで難しかった事を狼の姿になりユストゥスと話したそうだ。
ユストゥスは四六時中ヘレナさんと過ごせることが嬉しいらしく、気長に狼の姿を満喫すると話しているらしい。
そして、式を何とか乗り切り両親や兄姉そして他の招待客を見送り、屋敷に叔父様だけが残った。
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