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「げっ。まままマジですかっ!?」


 ユストゥスが顔を青くさせて屋敷の方へ猛ダッシュすると同時に、私の身体はフワリと浮かんで、アルトゥールに横抱きにされていた。


「コルネリウス。エヴァは俺の花嫁にする。他の誰にも触れさせない」

「執事の分際で馬鹿なことをっ! エヴァンジェリーナの様な干物女を自分の主に嫁がせたくないのかもしれんが、そんな事は言ってられんのだ。取り敢えずそいつを魔法でそれなりの身なりにして宛がい、私が、友好関係を築くのだ! 辺境伯に真実を告げられぬように、貴様も捕えておかねばな」


 コルネリウスは必死な顔でそう言い放った。

 追い詰められた獣みたいに。


 アルトゥールは相変わらず余裕綽々で微笑んでいた。


「お前の言うロドリゲス辺境伯なら、全てを知っているぞ?」

「何っ!? 他にも内通者がいたのかっ。ならばエヴァンジェリーナは使い物にならないか……。それは困る。私が代わりに送られてしまうではないか」

「お前のような奴は人質でもいらない。しかし、一応王子か……」

「貴様、先程から無礼だぞ。まさか、ユストゥスを逃がすための時間稼ぎかっ?」

「まぁ、そうかもしれない。折角ここまで俺を迎えに来た弟に、怪我をさせるのも悪いしな」

「弟? 今。何と……」


 コルネリウスの顔がみるみる青くなる。

 後ろに控える騎士達も、何かに怯えるように後退していく。


「ファウスティーナ様には申し訳ないが。コルネリウス、君と国王の意向を知ってしまったからには仕方がない。穏便に済まそうかと思っていたが、力業でいかせてもらうよ」

「は?」


 コルネリウスがアルトゥールの足元を見て硬直した時、森の木々から鳥の大群が空へと飛び立った。


「あ、アルトゥールっ。何をしようとしているの!?」

「大丈夫。エヴァの大切にしている森は守るから」


 今そんな事を綺麗な笑顔で告げられても、説得力がない。

 だって、鳥達は逃げ出してしまったし、私の身体も勝手に震え出しているのだから。


「今、アルトゥールと呼んだか? その名は……」

「別に名乗るほどの者でもないが……。俺の大切な人を脅すような奴は容赦しない」


 次の瞬間――アルトゥールの足元の巨大な魔方陣から閃光が放たれた。

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