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外伝 第三幕 熱い告白

 俺は旅仲間である、長身の美女蓉子と二人っきりで話す機会を作った。


「それで、茂玄はなんの用なの?」

「実はな。俺、蓉子にゾッコンだったんだ。俺と付き合ってくれ!」

 もちろん、そんな事はない。

 俺は葵衣が本命である。


 では、なぜこんな事をしているのか。

 それは今日が四月一日。エイプリールフールだからだ。


 葵衣には気恥ずかしくて言えないし、嘘であれば嘘となる。

 朱莉には嘘だとショックを受けるだろう。純粋だし。

 それで、蓉子ならいつもの仕返しも兼ねて嘘をついてみたのだ。


「茂玄? 本気、なの」

「あぁ」

「そう……」

 蓉子は後ろ向きになる。


 蓉子は呼吸を整え、再び俺に向かい合う。

「こんなわたしでも、いいのね?」

「ああ、俺は蓉子がいいんだ」

 蓉子は、顔を赤らめ、目が潤む。


 なんだ、この雰囲気は。

 蓉子は本気にしたのか?

 あの蓉子なら、今日がエイプリールフールだと、気が付くはずだ。

 それとも、時代を通り越して、そんな慣習を忘れているのか?


「わかったわ、茂玄。今からわたしの心と体、そして魂はあなたのものよ」

 蓉子が俺の顔を両手で抑え目をつぶりながら、顔を近づけてくる。

 これは……まさかキス?


 やばい。これは早くエイプリールフールだと伝えないと!

 しかし、蓉子がもし本気になっていたら、俺はどんな仕打ちを受けるんだ?



「蓉子ストップ!」

 蓉子の動きが止まり、潤んだ目で俺を見る。

「ごめん。今日はエイプリールフール。あれは嘘だ」


 俺は、蓉子の反撃を覚悟する。

 しかし、何もない。

「そう、やっぱりね……」

 とりあえず命は助かった様だ。


「でもね、茂玄。良い事を教えてあげる。エイプリールフールは……明日よ!」

 蓉子は俺を指さし、強い口調で事実を突き付ける。

「え?」

「なので、茂玄の言ったセリフは嘘では済まされない。わたしの乙女心を傷つけた事も――」


 俺は背筋が凍るような気がした。

 どの様な仕打ちをされるのだろうか?

 蓉子の本気の報復。命はあるのだろうか?


「本当に申し訳ない。なんでもするから許してくれ」

 土下座して謝る。ある意味、命乞いをしているようなものだ。


「なんてね。エイプリールフールが明日というのも嘘よ」

 蓉子は鼻歌交じりに俺を置いて歩き出した。


 エイプリールフールネタです。

茂玄より、蓉子の方が一枚上手ですね。

みなさんはどの様な、いたずらを?


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