外伝 第一幕 誕生日の逆転劇
「武居茂玄さん。あなたは勇敢に戦いましたが、命を落とされました」
俺の目の前には、天使の様な翼を持った女性が静かに立っていた。
「勇敢に戦われた戦士を戦死者の館に案内するのが私の役目なのです。しかし……あなたは、その……弱すぎて対象から漏れました」
まぁ自分が弱いのは認めているが、そこまではっきり言わんでも。と、落ち込む。
「しかし主神オーディン様の御慈悲により、転生をして差し上げたいと思います。何か望みはありますか?」
お? これはありがたい!
「じゃあ。次は格好が良くて、モテモテの男の子になりたいです!」
力強く答える俺。
「承知しました。では、生まれ変わった次の生に幸の有らんことを」
誕生して十六年後の誕生日。
「きゃー、あれ武居先輩よ!」
「いつ見ても素晴らしいわ!」
女子高生の黄色い声を受けながら校門をくぐり、下駄箱に向かう。下駄箱を開けると例の如く、手紙の山。机の上にはいつも以上のプレゼントが置かれていた。
とりあえずプレゼントの類は袋にしまい、押しかけてくるクラスメイトを避けるために、洗面所へ。
手を洗い、ふと鏡を見ると、どこかで見覚えのある顔が浮かんでいた。
「武居さん。転生後はいかがですか?」
そうだ、あの時の天使! すべてを思い出す。
「ん…て、違ーーーう」
ここは都内でも有数のお嬢様高校。
「だって、男の娘って言ったじゃない」
しかも、何を間違えたのか男っぽい娘に。
悪意を含めた笑みを浮かべる天使だった。
「誕生日の逆転劇」完
万能薙刀娘とオタク侍シリーズの主人公、武居茂玄の転生したらのIF物語でした。
「男の娘」の意味を間違えていて……色々直すうちに、強引に着地点へ。
異世界もののコメディーが好きな人はピンときたかもしれませんが、
暁なつめ先生原作のアニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」の1話と7話、同2期の6話を観ていて思いつきました。先生およびキャスト・スタッフ様に感謝!