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第007戯 人間嫌い
僕は人間が嫌いだ。
表面上は笑い合って仲の良い振りをしながら、心の中では憎しみ合っているその腹黒さが嫌いだ。
僕は人間が嫌いだ。
他者と自分を比べることだけに一生懸命で、他人を蹴落としてまで幸せになろうとするその身勝手さが嫌いだ。
僕は人間が嫌いだ。
我が物顔で地上を支配したつもりでおり、自然を破壊しても何食わぬ顔でいるその尊大さが嫌いだ。
「駄目よ。好き嫌いしないで何でも食べないと」
僕は人間が嫌いだ。
父さんが捕らえてきた人間を捌くのを見てから気持ち悪くなったのだ。
必死に許しを乞う彼らを容赦無く叩きつぶす父さん。
どろどろとした内蔵。飛び散る脳漿。こぼれ落ちる眼球。
人間とはいえ少し可哀想に思ってしまった。
僕らにはこれを食べる資格があるんだろうか。
「あなた、あの子が急にお肉を食べなくなったのよ」
「気にするな。思春期には誰でもそういう事があるものさ」
父親は今日潰したばかりの人間の心臓を喰らいながら笑った。
「俺たちオーク族の男は、それを乗り越えて立派な戦士になるんだよ」