女の子ってどういうとき高笑いするんですか?
ブックマークと評価あざっす。
もっとくれるとやる気出ます。
「あははは!!!! 遂に! 遂に!!!! 手に入れたわ!!!! 力を!!! これでやっと! やっと!!!! あははは!!!!!」
ハイになって高笑いする斎藤さま。なんでか高笑いして、弓の曲線のごとく反ってる。どこぞの貴族かな?
いやぁ、なんでこうなったのやら。そればっかりを考えるが特に何も浮かばない。
ほんとどうしちゃったんだろね。
ーーーーー
1時間前
「私に戦い方を教えて欲しい」
ふむ……さて、どうしたものか。
僕もそれなりにレベルは高くなったのでゴブリン数体は難なく倒せる。ジョブも獲得したのでオークにも遅れをとることはないだろう。だから、斎藤一人ぐらいに戦いを教えることぐらいわけはない。
まぁ、いいか。この人はこの学校で虐めにも荷担していたわけでもないし、別段憎いわけでもない。性格的にもやたら煩いパリピみたいな人種でもないだろうしなぁ
それに、上手く行けば短期間ではあるがパーティーメンバーになってくれるかもしれない。ソロでモンスターに挑むよりは全然悪くない。
特に断る理由もないので了承した。だけど、なんか凄い意外な顔された。解せぬ。
「いえ、何かしらは要求されると思ってから」
あぁ、なるほど。確かに無条件の厚意なんて信用できるものじゃないものね。
「ヒトダスケハアタリマエサ」
取り敢えず当たり障りのないことを言っといた。ほんとは少し違うけどまぁ、こう言っておけば大丈夫でしょ。
「少しは隠しなさいよ」
可笑しいな信じてくれなかった。込めれるだけ真心を込めたというのに。まぁ、正直ひたすら人のためとか吐く偽善的なの吐き気がするけどさ。結局人は自分のためにしか動けないというのが僕の持論だったりする。
目線が合う。
斎藤は僕よりも背が低いので、目線が合うといことは必然的に視線を上に向けなければいけないということで。つまり、美少女の上目遣いとか破壊力ぱないなぁ。
じっと見つめられる。
な、なんすか。
「もっと、下世話な要求をされるかと思ったわ。それともそんなに私って魅力がないかしら」
何言ってるんすかね、この子。僕が狼的男子だったどうするつもりだったのかしら。もっと危機感を持って欲しいものですよ。全く。
「ふっ これでも僕はロマンチストでね」
言ってて死にたくなってきた。
いや、正直あれだよ?僕も男の子だがらそりゃ色々したいですよ?しかも、この子超絶美少女だから尚更ですよ。でもですね、童貞にそんな度胸あるわけないでしょー。
察してよね、ほんと。そこのデリケートゾーンほんと大事だから。
そんな僕の返答にきょとんとしたあとに、彼女は呆れたように息を吐き苦笑するのだった。
ーーーー
取り敢えず戦いを教えるにもモンスターを倒してステータスを獲得しないと話が始まらないので比較的モンスターの少ない屋上に向かう。まぁ、この四階のゴブリンはあらかた狩ったから、しばらくしないとリポップしないので屋上しか選択肢はないけどさ。
屋上の扉をあけると三人の人影。チビとノッポとデブの男。
ん?こいつら……見覚えがある。
「生存者かしら?」
「いや……」
右手をかざして斎藤を後ろに下げる。おかしい。
こいつらは死んでいたはずだ。
「ああぁあ……」
全身血だらけだし、そもそも致命傷にしか見えない外傷がある。肌は不自然に白いし、血管が浮き上がっている。目は血走っていて焦点が合っていない。足取りはふらふらしておぼつかない。まるで、ゾンビだ。
「ゲーム間違えてない?一応RPGだよね?バイオなハザードじゃないよね?」
「貴方が何言ってるか理解できないわ。」
まぁ、そうよね。斎藤さんみたいな人はゲームの知識はないか。やりそうなイメージ全然ないし。
「彼ら生きているのかしら……」
僕にはそう見えない。
「いや、さっきは死んでたけど……」
あ、そうか。RPGにも亡者っていたな。有名なゾンビ映画だと噛まれると感染して同じゾンビになるなんて設定があるけど、RPGでグールに攻撃されてもそういう話は聞いたことないなぁ。噛まれたら感染するかな?どのみち噛まれないに越したことはないか。
「倒そうか……いやでも、一応生きてたらやだなぁ」
流石にまだ人を殺すことには抵抗はある。いや、こいつら僕のこと虐めてたしそうでもないか。だけど、斎藤の手前あんまり殺さない方がいいかな?変に不信感とか持たれたら面倒だし。
「ガァ!!」
「うぉ!!」
色々考えていたらいつの間にか目の前まで近づいていて、噛みつかれた。まぁ、こんなとろい動きで今の僕に当たる訳もなく、難なくかわせた。
よし。襲ってくるなら敵だろう。同じ人間を倒す言い訳にもなる。
体を沈めて地面すれすれを駆ける。すれ違い様に三体の膝下を短剣で撫でた。
やはり、この暗殺者の短剣は性能が高くあっさりと切断出来た。普通の短剣ならこうは上手くいかないだろう。流石ガチャ産。
自分を支える2本の内一本が消えたのだから、当然倒れる。
『レベルアップしました』
倒すつもりはなかったが、3体のうち2体は倒れたとき当たりどころが悪かったのか倒してしまったらしい。まぁ、一体残っていればいい。
「レベルアップした……ていうことはモンスター扱いか」
「どういうことかしら?」
「いや、今ので2体倒したんだけどレベルアップしたんだよ。つまり、こいつらを倒してもレベルがあがるみたい」
人間相手でも経験値は入る?それともグールになったから入るのか?
「なるほどね」
倒れて這いずるグールを見つめる斎藤。流石に変わり果てた同級生を目の前にして困惑してるいるのだろうか。
「ねぇ」
「はい?」
「あれを倒せばそのれべるあっぷっていうのをするのよね?」
「え?うん」
「ナイフ貸してくれる?」
「あ、はい」
暗殺者の短剣を渡す。
短剣を握った斎藤は憮然とした足並みで地面を血で汚しながら這いずるグールに近づいていていく。
そして、ぎこちなさは拭えなかったが、そのまま首に短剣を突きつけた。
刺し方が微妙だったのかまだ絶命しなかった。包丁を持つように持ってるからだ。意外と短剣は逆手持ちの方が力が入りやすかったりする
「意外と上手くいかないわね」
首を傾げて、短剣を引き抜きもう一突き。それでグールはもう動かなくなった。
「あら、意外とあっさり」
本当にあっさりと倒した。ほとんど躊躇することなんて無かったから驚いた。
いや、少し手先が震えているか。でも、それだけ自分を自制しているのだからそれだけで凄い。僕なんて最初はもうやけくそみたいなもんだった。
「貴方博愛主義者だったの?豚や牛だってたくさん殺しているようなものでしょう」
何その魔王みたいな発言……こわ。
しかし、言われてみればそうだ。生物の生き死に感傷的になるのは人間特有の傲慢か。そもそも人間達が食物とするために牛、豚を産み出したと言うのに今度は可哀想だから殺すなとは余りにも理不尽な傲慢に他ならない。
「ステータス?これが?あまり変わった感じはしないわね」
無事倒してステータスを獲得したみたいだ。今さらだけど僕だけの現象じゃなかったみたいだ。
「…………」
俯いて沈黙してしまった斎藤。僕の最初はゴブリンだったから正直そこまで罪悪感はなかった。
だけど、斎藤は違う。グールとはいえ元は人間だ。人間を殺して堪えないわけがないか。よく見れば肩も震えている。
これ僕が慰めたほうがいいのかな。
えっ 無理だよ?
こちとら童貞のクソキモオタボッチだぞ?そんなの出来るわけないじゃん。い、イケメンさーん!お仕事ですよー!!
「ふふっ」
「えっ」
「ふふっ……あはは……!!」
「えっ さ、斎藤さん?」
壊れた?
「あははは!!!! 遂に! 遂に!!!! 手に入れたわ!!!! 力を!!! これでやっと! やっと!!!! あははは!!!!!」
いや、ほんとどうしたんですかね。
この小説色気ないっすね。
まぁ、主人公があれなんでそういうのは無理なんだよ……
がんばれムンクさん。