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ブレイク

今回は少しいつもと調子が違います。勢いで書きました。

 そいつはいかにもオークって面と体格だった。ゴブリンにしてもそうだけどゲームの設定で出てくる特徴と大体一致している。違うところと言えば棍棒ではなく大剣を持っていることぐらいだ。


 これは出てくるモンスターはゲームを模して作られてるのか……?もしくは、逆なのか?まぁ、どっちでもいいか。


 まだ、気づかれていない。後ろから刺せるか?隠蔽を発動させてゆっくりと教室内に侵入。いけそうだ。

 よし、あとすこーー



 ーー振り向かれた!?


 なんで?

 偶然?

 こんなタイミングで?

 不運?

 そんなこと考えている場合じゃない。 


「ギャアアア!!!」


 オークは唾を撒き散らしながら咆哮。汚いな。どう見ても敵と認識された。


 やばい。あーやばい。後ろから刺すことしか考えていなかったから、失敗したらどうする? 

 戦う?いや、どう考えてもゴブリンよりも強いだろう。逃げる?無理。あんな巨体追い付かれる気しかしない。


 油断した。色々言い訳つけてオークに挑んだけれど、結局は戦いたく思っていたのだ。いつもの通り後ろから刺せば倒せるなどと自分に言い聞かせて、わざわざリスクをとってしまったのだ。


 その重厚で大木のような大剣が高く持ち上げられる。怖い。頭が真っ白になる。怖い。



「ああああああああ!!!!」


 振り下ろされた大剣から逃げることも動くことも出来ない。やばい。死んだ。

 バッティングされたボールのように吹き飛ばされて地面を転がる。


 あれ?


 痛いには痛いけど動けないほどじゃない。手は動く。足に力を込めれば立ち上がれる。思いの外ステータスの向上は僕を強くしていた?よし。なら勝ち目はある。

 残りhpは?念じると視界の端に120/200と浮かび上がった。こんな便利な機能あったのか。このhpならまだ行ける。戦える。


 ドクンと心臓が疼く。


 戦え。


 たとえ敵が強大でも戦え。これは虐めじゃない。虐めみたく辛いことを耐えても終わらない。耐えた先にあるのは死のみだ。そんな未来は御免被る。


 だから、戦え!


 隠蔽はもう意味がない。なら、あの大剣をいかに交わしつつ奴にダメージを与えるかだ。hpに余裕はないからあと数撃も貰えば漏れなく地獄行き。


  空間を埋め尽くすかのように見える豪快な横凪ぎ。まともに当たれば下半身と上半身はさよならしてしまう。


 スライディングして体を沈めてギリギリに滑り込む。そのまま足元。


 むき出しの踵を短剣でひとなで。アキレス腱が切れた。体の構造は見た感じ人間と同じなので効果は高いはずだ。


「グォオオオオ!!!」


 案の定足を抱えてうずくまる。これでもう巨体による機動力は殺した。


 追撃。首を狙いたいが届かないので腰に一閃。

 防がれた。だが、利きじゃない腕に深々と短剣が突き刺さる。


「ギャオオオオオオ!!!!」

 よし、いける!いけるぞ!!短剣を引き抜いて止めを……抜けない!?なんだこれびくりともしない。まるで深々と巨岩に突き刺さっているようだ。


 右腕の大剣が天井に当たるほど掲げられる。というか天井をぶち破っている。


 やばい。これは避けられない。突然ゆっくりと景色が見える。あーこれ死ぬ前とかによくあるやつか。あれ?走馬灯とか流れないぞ?


 まぁ、流れたところで録な思い出なんかないからいいけどさ。あー、分かった。さっきのやつ筋肉で刺さった短剣を止めるやつか。漫画とかでよく見たことことあるわ。


 ゆっくりと時間が進むものだから無駄によけいな考えが浮かぶ。今さら分かったところでどうしようもないのに。いや、最初からどうしようもないか。分かったところで対策のしようがない。そもそも戦うべきじゃなかった。


 あぁ、でもこんなところで終わるのは悔しいなぁ。やっと前向きに生きようと思えたのに。この世界なら、このぶっ壊れてしまった世界なら僕は楽しく生きれると思ったのに。


 あぁ、くやしい。


 ……


 …………


 ……………………は?


 いや、悔しいじゃねぇよ。何言ってんだよ。


 いや、なんで僕は諦めてんだ?やっと変われるチャンスを得たのに。いや、変わりはじめているのに。


 沸々と怒りが沸き上がる。自分に対してだ。何やってんだよと。


 景色はゆっくりだけど、同じぐらいゆっくり体は動く。頭は回る。だったら足掻くべきだ。いや、足掻きたい!!


 あああああああああ!!!!!


 引き抜こうとしていた短剣を逆にオークの腕にねじ込む。くそ食らえ。オークの顔が歪む。そりゃ腕の中をこねくりまわしているんだから痛いに決まっている。


 短剣を引き留めて力が緩んだ。今なら引き抜ける。勢いよく引き抜いた。


 大剣は僕の頭蓋骨を粉砕するために、目前まで迫りくる。


 まだだ、まだやれる。短剣を引き抜いた勢いを利用して体をぐるんと捻り大剣が左腕にぶつかるようにしむける。左腕を捨てる。  


 左腕から人体から鳴って欲しくない破砕音が響き、吹き飛ばされた。いってぇ。ははっ。すげえや、壁がめり込んでる。


 左腕はもう上がらないけど、まだ立てる。まだ走れる。hpはあとどれぐらい残ってる?それとも残ってない?確認してる時間が惜しい。


 とにかく走れ!!アドレナリンが嵐のように吹き荒れて痛みなど感じさせない。

 まだ、まだ戦える。生きている!!!死んでいない!!僕はまだ生きている!!!!


 オークの瞳に初めて恐怖の色が浮かんだ。理解できない化物を見るかのように

 滅茶苦茶にぶん投げられた大剣を短剣の背を上手く合わせて受け流す(パリィ)。


 もう、策もくそもない。出来るのはただ突っ込め。ひたすら前に。先に。止まるな。行け!!


「くた……ばれっ」

 無防備になった胸に短剣をねじ込む。






 『レベルアップ』

 『レベルが一定数になったことによりジョブを解放』

 『レベルが一定数になったことによりブラックスミス解放』

 『ドロップ。大剣を取得』 




「僕のっ!!!勝ちだっ!!!」


普段はわりと主人公の無駄な思考をいれるんですけど、今回はもう主人公の感情を書きなぐった感じです。

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