世界と自分に向き合って
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「さてと、これからどうしたものかね」
屋上から見渡す景色はとても爽快さを感じさせるもので、本日は晴天なり。なんちゃって。
学校周辺を見渡すと、所々から黒煙が立ち上っているし、明らかにこの学校と同じような状況になっているみたいだ。
イヤーココロガオチツクナー(白目)
「とりあえず、ここにいても変わらないか」
屋上にずっと居座ったところで何もできることがない。下の階にもモンスターは徘徊してる可能性が高いからここに助けが来るまで引きこもってもいいけど、どうせ餓死するのが落ちだ。
仕方ない、少し怖いけど下の階に行ってみるか。何か進展するかもしれないし。ただし、慎重にだ。絶対だよ?お、押さないでよ?僕以外誰もいないけど押さないでよ?
ーーーー
屋上から降りた廊下の先には既に数体のゴブリンが徘徊していた。獲物がいないか廊下をせわしなく移動する個体から、退屈そうにふんぞり返りあくびをする個体までいた。
一対複数……流石にきついか?いけるか?新しい武器もあることだし……いや、ダメだ。リスクが高すぎる。既に一体倒しているとはいえ現状僕のステータスが彼らと比べてどのぐらいかが未知数だ。
もしかしなくても僕はゴブリンと比べて凄い弱い可能性だってある。ていうか、ゴブリンより強い自信がない。
なんとか一対一にすれば勝てる……はず。さっきみたいに不意打ちを成功させれれば。ちなみに、プライドさんはそこら辺のお犬様ときゃっきゃっうふふしながら旅行中。あんなゴミいなくてもどうということもない。
古典的だけど石ころみたいな物を投げて誘き寄せるか。でも、校舎内に石ころなんてないなぁ。お、ポケットに飴玉があった。もちろん包装されてるよ?
うまく投げて一匹だけ引寄せろ。
えい。
飴玉は放物線を描いて綺麗に落下していった。カンカンカンと小気味良い音を立てていく。
上手くいった。気づいた一匹がゆっくりと屋上に上がってくる。屋上に戻り扉を開けた瞬間を狙って襲う。
いまだ。ナイフを首に差し込む。さっきのとは違い何の抵抗もなくすっとナイフがゴブリンの首に吸い込まれた。
ゴブリンは膝を崩し仰向けに倒れた。さっきとは大違いだ。今回は死んだことすら気づいていなかった。気分はアサシン。
『レベルアップしました』
無機質な音声が頭に響く。また生き物を殺したと言うのに先程の感慨は想った以上にわいてこない。手は冷たく感じるがさっきみたいに震えてはいない。まだ、意外なほど冷静な自分に驚くね。
ステータスを確認すると
name :北原ムンク
level :3
job :ニート
hp 70
mp 6
sp 15
str 4
vit 3
int 1
dex 7
con 6
Iuk 2
skill 【痛覚無視Lv.1】【感情制御Lv.1】【解説】
称号【決断者】
少なくともあるがステータスは上昇しているな。これでモンスターを倒してレベルが上がればステータスが上がることがわかった。後は僕がこの上昇分強くなってるかだなぁ。いやねぇ、モンスター倒しただけで身体能力とかが上がるとか正直信じられないし。実は上がってませんでした★とか言われたらほんと死ねる。
ふと、手が疲れるほど強く握った短剣に目線が行った。
「今まで動物だって殺したことないのになぁ」
日本社会において何かを直接殺すなんて体験をすることはわりと珍しい体験に入る。虫とかそういうのは例外ね。でも、なれないといけない。自分は強くならないといけない。このステータスを上げて強くならなければいけない。
どのみちこの学校にはずっといられないのだからモンスターとの殺し合いは避けられないのだ。
「いや、違うか」
これは浸っているだけだ。仕方なく殺しをしていると自分に言い聞かせて悲劇の主人公状況に酔っているだけだ。漫画のようなファンタジーな現象。ファンタジーな世界のモンスター。そんな有り得ない現実に直面して高揚しないわけがない。
下らない言い訳はやめよう。自分に言い訳をするのはもうごめんだ。認めよう。まだ、恐怖こそあれど僕は楽しんでいる。モンスターを倒すことに。そして倒せばレベルアップ出来ることに。レベルという形で自分が強くなる感覚がとてつもなく楽しい。
そうだ。別に悪いことじゃない。殺しを楽しんでいることが?命を大事にしろ?すべてが尊い?知るか。
僕はこの世界が変わった瞬間とてつもなくワクワクしたのだ。
だったら、僕は正直にこのゲームみたいなった世界を楽しもう。よし、決めた。そうしよう。
僕はこの世界を楽しんで生きる。
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