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虐殺の始まり

祝★十万文字達成!イェーイ!


ちなみに今回、あまり納得出来てません。ですのでちょくちょく改稿したりします。

あと、カーターの一人称視点を今回は入れています。

「ぅおおおおお!」


「ぁあああああ!」


「死、ねぇぇぇ!」


 始めは数十分もの間足止めを行うことが出来た《浮かぶ単眼(イービル・アイ)》が、今や僅か数十秒で殺される。そこにカーターの手助けは無く、村人と神官だけで行われた殺害。

 確かに、始めは数十分間平衡感覚を狂わせる事で、攻撃を受けることすらなく足止めが可能だったかもしれない。


 しかし、ここに居るのは一つの村という狭いコミュニティの中ではあるが、それでもその中では精鋭中の精鋭と呼ばれる者達と、クリア教の中でも神官戦士と呼ばれる部類の戦闘型神官。

 しかも、基本的に弱者故に成長と適応という点でのみ他種族を圧倒する力を持つ人族。


 この2点が合わさり、常人よりも素早く、戦闘に適応していく。


 《浮かぶ単眼(イービル・アイ)》を少し長く見ると平衡感覚を失うなら、一瞬見た後に目を閉じ、記憶に従って各々の武器を振り下ろせばいい。

 ステータスが貧弱と判明したならば、最小魔力を圧縮した魔力操作技術の応用技、《魔弾》を放てばいい。

 高いところにいて攻撃が届かないなら、魔力で《身体強化》して、跳躍力を強化すればいい。

 視覚外から接近されそうになっても、カーターの生体魔道具《俯瞰の魔眼鏡》、観察スキルの派生EXスキルの一つである《天視》を所有する村最強のエルバンが事前に察知することで奇襲を防ぐ。


 このルーティーンが徐々に確立し、それに従い殲滅速度も上昇。

 初見ならいざ知らず、もうこの集団にとって《浮かぶ単眼(イービル・アイ)》とは雑魚以下の雑魚、それも後々に教会で生体魔道具とすれば便利な《魔眼鏡》を生み出すための素材を生み出す生き物に成り下がっていた。


「ふぅ……お、レベル上がった」


「ダンジョン内ですからね。原因は未だ不明ですが、レベルは上がりやすいと検証結果も出ています。また、あのような雑魚でも悪魔の一種。獲得できる経験値は膨大なことでしょう」


 と、カーターが本で仕入れた知識、それから自らの推論を語ると、なるほど、と言った感じで頷く一同。

 それと同時に《浮かぶ単眼(イービル・アイ)》のいた辺りに目玉があることに気づいたカーターは、それを回収。


 景気よくドロップしたアイテムに士気が上がる中、若干苦笑したエルバンが先に進むことを提案。

 了承した一同が数メートル先に見えていた角を曲がり……


「……これはこれは……驚きましたね……」


 そこにあったのは、純白の門。


 それもただの門ではなく、観音開きの中央に巨大な、悪魔を象徴する紅い目玉が描かれ、何処か邪悪な気配を漂わせ、嫌悪感を滾らせるデザインの門。


 それに自然と険しい顔つきになった一同は、とある可能性が即座に思考を駆け巡った。

 即ち……


「この先にいるのは、十中八九ダンジョンマスターですね」


 全員の意思を代弁するかのように、カーターが独り言ちる。

 そのカーターから漂う尋常ではない殺気に若干気圧されながらも、しかしそれもこの先にある戦いのための気を引き締めるためのモノとして自然と利用する一同。


「……皆さん、いよいよ決戦の時です。覚悟は、出来ていますね?」


 カーターの有無を言わせぬ問い。

 それを受けた一同は一瞬隣の人物と目を合わせたあと、不敵に笑うことでその問の回答とした。


 その反応に獰猛な笑みを浮かべたカーターは一言。


「勝ちましょう」


 と。一言言うだけで、元々高まっていた士気は最高潮にまで達する。


「しかし、準備も必要です。皆さん、『疲労回復ポーション』を服用の上、覚悟を決めてください」


『疲労回復ポーション』とは、その名の通り疲れを回復するポーション。これさえあれば、即座に疲れが取れ、24時間年中無休で働くことすら可能なポーション……と言いたいところだが、これには甚大な副作用がある。

 その副作用とは、回復した疲労は『疲労回復ポーション』を丸1日服用しなければ、溜まった疲労が一気に押し寄せること。

 これにより国はわざわざこのポーションを5日連続で摂取するのを最大とする法を作ったほどだ。

 しかし、実態は……取り敢えず、この法を犯しても、厳重注意しか罰則がなく、一部の権力者、特に王族に飛ぶように売れてることから推測はできるだろう。


 また、カーター達がこのポーションを服用するのは4回目であり、人によっては死に至るラインが迫ってきていた。

 しかし、極限のストレスと疲労下での戦闘を続けるよりはマシと、全員が事前に承諾して使用している。


 各々がポーションを飲み終わるのを見届けると、カーターは扉に手をかける。


 そして一度後ろを振り返ると、一つ頷き、一気に部屋へ突入した。





 ■





「……来たね」


 今まさに、扉に手をかけている侵入者共を『全視の迷宮眼』で捉える。

 そのまま開けるのはそこまで苦労はないだろうから、僕も覚悟を決めよう。


 迷宮主(ダンジョンマスター)らしく。


 魔眼王らしく。


 何よりも……


「1人の復讐者らしく」


 さあ、僕の復讐の始まりだ……!






 ■






 バッと開け放した禍々しい門の向こう側に、ソレはいました。


「やあ、初めましての(ゴミ)は初めまして、それ以外の僕を知ってるであろう(ゴミ)はお久しぶり」


 一目見て、感じるよりも先に分かり、推測が確信に変わりました。

『ここのダンジョンマスターは、理性と知性を保っている』という最悪な推測が。


 しかし、その存在のあり方は予想できてはいましたが、これは予想できませんでしたね。

 白髪紅眼のソレは、私も始めてみましたが《悪魔の子》と見て間違いはないでしょう。


 と同時に、《俯瞰の魔眼鏡》を通じて視ることが出来る風景に異変が出ていますね。

 村の人たちがいっせいに頭を抱えてうずくまっているようです。

 が、それはまだ想定内。記憶を思い出すにあたってそのようなことが起きるのは私も知っていましたし、あらかじめ喚起してもいました。なので、私と神官の皆さんを含めた数人は動じてません。


 その様子を《悪魔の子》は興味深げに眺めていましたが、その視線からは何の感情も読み取ることができません。


「本当はもうちょっと少ない人数で来るかと思ったんだけどね?ちょっと多いんじゃないかな?」


 何故か饒舌に喋っている《悪魔の子》の真意がわかりません。

 後ろを《俯瞰》して見れば、どうやら記憶の復元は済んだようです。各々の表情から察するに、何やら危険な感情が宿っているようですが……まあ、アレに向けられた感情ですから、こちらにとっては外は少ないでしょう。


「これじゃあさぁ、僕の勝率が著しく下がるって思わない?しかも余計なのまでいる事だし、さ。だからさあ……」


 ゾクッ


 急に膨れ上がった殺意に反応するように、背中に悪寒が走り、思考が加速していきます。

 走馬灯が浮かび、一瞬死を予感────


「少し、減らそ(間引こ)うか。『座標』及び『無璧』を『並列』起動────」

「ッ!《剣能憑依》ィ!憑け、《倶利伽羅剣》ッ!!」


 ────アレの目が怪しく光────


 勘に従い、気づけば私の口からは能力発動の宣言が紡がれ、無意識に右手で構える剣を振り下ろしていました。


「────『完全掃除』発動」


 その呟きが終わるや否や、《俯瞰》している範囲から、数人の人間が、消失し……


 私の剣は、普通ならば斬れないモノを斬りました。





 ■






 カーターが無意識領域下で憑依させた、とある(つるぎ)

 その剣は、本来ならば(・・・・・)この世界には存在すらしないモノ。


 とある世界においてソレは、『煩悩と無明(迷い)を破り、魔を打ち倒し、龍が巻き付き炎を司りし利剣』として伝わり、


 とある事情(・・・・・)からこの世界に流れ着き(・・・・)、その際に伝承の力が増幅され定着し。


 数多くの悪魔を切り殺したと云われる創世より伝わりし……神剣(・・)


 現在は巨大な神金(オリハルコン)へと突き刺さり、抜くものを真なる主として認めるとして、数多の剣士の心を折ってきた。


 盗まれる心配すら必要ないからと、寧ろ積極的に抜くための挑戦者を受け入れている。


 そのため、カーターも過去に一度触れている(・・・・・)

 そしてカーターが宿す能力(チカラ)は、1度でも触れた剣の力を我が剣に宿す《剣能憑依》。


 その力には消費魔力以外の制約はなく。


 当然ながら、カーターも擬似的にとはいえ、神話の剣の力を振るうことが可能だった。


 そしてこれこそが、カーターというまだ未熟な剣士にして時期剣聖と言わしめる理由。


 この力があればこそ、力任せに剣を振る必要などなく。

 技を極めれば極めるほどに、剣の力を引き出す技量となる。


 これが『百剣の力』を引き出す『巧剣』と呼ばれる由来。


 そしてその《剣能憑依》は、狙い違わずに、持ち主(カーター)へと迫っていた、"魔"眼から放出された、魔眼の力を発揮するための魔力線を斬り消し。


 憑依した剣の完全破壊、否、完全霧散(・・)という形でその役目を果たした。





 ■






「ん?」


 あれ?あいつも狙った筈なのに、消えてない……?

 となると、あいつの耐性だけが異常に高かった……?いや、それは無いね。ちょっと早すぎて微かにしか見えなかったけど、確かに剣を振ってた。しかも、僕の魔眼との射線を斬るように。

 なら、推論に推論を重ねることになるけど、魔眼からは目に見えない何か……多分魔力かな?が出ていて、それを切った……?


「……うん、多分そうだね。ちょっと訳わかんないけど」


 で、改めてあいつらを見てみると、さっき何かした奴の剣は無くなってて、しかも魔力切れかな?苦しそうに蹲ってる。それ以外の奴……多分服から推測した神官はひとり残らず居なくなった、と。


「ま、上々かな?」


 一人残ったのは残念だけど、どうせ逃がさずに始末する予定だし、一人二人どうってことない。


「……《悪魔の子》ぉ……!よくも……よくもぉぉ!」


 ん?あれは……何だっけ?なんか見覚えあるんだよね、あの女。えっと……確か……


 あぁ。


 やばい


「ァはは!お久しぶりですねぇ!義母上(ゴミクズ)!」


 殺意が……


「ゴッ!?……いいでしょう。あの人の子だからと慈悲を持った私が馬鹿でした。このような厄災、さっさと始末しておけばこのようなことにはならなかったものを……クリア教司祭序列第16位アリア、ここに《悪魔の子》の殺害、及び完全抹殺を宣誓し、聖戦と認めます」



 狂気が……思い出が……あ、は。


 あははは


「あっはっはっはっはハハハハハハ……」


 《ピロン!称号『狂気』を取得しました!》


 理性がトけル。


 思考ガ白熱する。


 たダ、不思議ト冷静だ。


「御託はいイカら、さッさと来ナヨ」


「主よ、我らが神よ、聞こえておられますか?これより、あなたの敵を滅却致します。我らに貴方様の御加護を!」


「殺せ!」


「悪魔を殺せ!」


「俺らの村を守るんだ!」


 聞こえてクるノは、トテも自分勝手ナ言葉ばかり。


 コンナヤツラニ僕ハ虐ゲラレテキタノカト思ウト、何ダロウ?


 逆ニ冷静になってくる。


 ああ、そう言えばいつしか母さんが言っていたっけ?度を越える怒りは逆に感じなくなるって、こういう事だったんだ。


「あなた達!私に続きなさい!」


「「「うおおおおおお!」」」



 あいつらが迫ってくるって、ちょっと待って!


「ちょっ、待っ……」


「悪魔の言葉に耳を貸す必要など、ありません!惨めな命乞いなど、聞くに値しません!皆さん!今こそ、創造神クリア様の御心を示────」


 そして、突撃してきただいたい半数が座標設定から外した空間から出てきて……


 ジュッ……


 という音と、肉が焼ける嫌な匂いを撒き散らしながら、勢いに従って、大分前進しながら倒れた。


「……あーあ……だから待ってって言ったのに……」


 これじゃあ……僕の受けた痛みを返せないじゃん……


 《ピロン!『可能性の眼』より、『吸力の邪眼』を獲得しました!》


 《ピロン!『吸魔の邪眼』は『吸力の邪眼』へと統合されました!》


 **********************

『吸力の邪眼』


 視界に映る魔力を問答無用で吸収し、場に満ちる自身が制御可能なエネルギーを吸収する。但し、許容限界を超えると器を破壊し尽くす。


 **********************


 ……


「……取り敢えず、『吸力』」


 さっき新しく手に入れた『吸力の邪眼』で、《熱帯領域》に使っていたエネルギーを全部回収する。


『……』


「はあ、ま、火炙りの痛みは感じてくれたかな?」


 さて、と。


「じゃあ、次は君らね?」


 ん?なんでそんな怯えた目を向けてくるの?


 僕はさあ、君らにやられたことをただ返しただけじゃん。


「安心してくれていいよ?」


 僕のその言葉に何人かが安堵の息を吐いているが……


「今度はこんな簡単には殺さないから。骨を砕き、肉を潰し、血を垂れ流させ、殴り蹴り切り裂き最後には絶対に壊れないダンジョンの壁に腹を貫かれながら埋めてあげるから」


 あぁ、これこれ、この顔だよ。


 僕が見たかったカオ。

 たったこれだけの言葉で恐怖に顔を歪めるこいつらの顔。


「クフフ、さて、じゃあ、改めて始めようか」


 楽しい楽しい虐殺(過去の精算)を……








うーむ、なんかコレジャナイ感

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