第65話 神代桔梗の妹はギルド長のストレスの原因となった
俺たちは庭にある転移門を使って温泉街へ転移した。
ギルド長と日向は転移門を見るなり驚愕していたけど、《技術模倣》で作ったって話をすると、呆れと共に納得してくれた。
「ふぅ、やっぱり入浴という行為は日本人の魂に刻まれているんだなぁ」
俺は露天風呂に浸かりながらそうこぼした。
「そういえば、最初に千冬とここ来たときはあんなに裸を見られるのを嫌がってたのに、今は大丈夫なのか?」
「いい加減慣れた。今は楓ちゃんもいるし、二人きりじゃないだけまし」
その楓はすぐそこで日本人の見た目のくせに泳いでいる。
泳ぐのもよくないのだが、はしゃいでいるせいで大きな胸が揺れているのを見ると、どうしても自分の胸に目をやってしまう。
「──やっぱり小さいな」
「ん、なんか言った?」
そして千冬にも目をやる。
楓ほどではないが、12歳程度の体にしてはかなり大きい方だ。
俺の中に何かグツグツした感情が生まれた。
「どうせ千冬には俺の気持ちはわかんないからいい」
「──いきなりどうしたのさ」
「アドバルーン。まな板の気持ちを知れ」
‥‥‥
‥‥
‥
「日向、お前はどうして桔梗の家に居たんだ」
半強制的に連れてこられたギルド長は、いつのまにかいた日向に問いかけるが、日向は竹の隙間から向こうの女湯を覗くのに精一杯で、ギルド長の話を全く聞いていない。
「マエ、《雷吐息》」
少しキレたギルド長は雷龍マエに命じて、日向を犯罪者の道から真人間の道へ戻す。
そして、倒れた日向をベンチに寝かせ、彼の一物をタオルで隠して、竹の向こうにいるであろう、桔梗の妹を思い浮かべる。
確かに剣の才能はあったが、それでも幻獣を倒せるとは思えない。
急成長の原因となりうる《特殊技能》の覚醒も考えたが、魔力量的にありえない。
彼からしてみれば千冬の急成長は恐るべき問題だった。
《第参階》に千冬ほどの実力者を置いて置くと、高位の冒険者がただでさえ少なくて、魔物に困っている住民からなんて言われるかは考えるまでもないのだが、急成長の理由がわからないのに高位の冒険者にしてしまうと、いざというときに信用性に欠ける。
結局、ギルド長は今日もストレスを抱えるのであった。
──ケアル村──
北三面をケアル大森林に囲まれ、南に王都へと繋がる街道がある村。
魔物の被害が多いため、壁が建設されており、中に入るためには街道に面した門を通らないといけない。




