表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時の断片   作者: 白雪真白
5/5

~思い出の在り処~

「ふーん!えーい!だめだぁ…全然できないよー」

隣で悔しがっているイリヤをよそに私は先生と一対一でレッスンを受けている。風魔法のコントロールの仕方や、操作方法など、事細かく教えてもらっている。

イリヤは炎属性と音属性を持っている。だが、炎属性と相性の悪い風属性を生み出し、操ることは誰よりも難しいことらしい。

炎は水と

水は雷と

風は炎と

雷は土と

土は水と

草は炎と

闇は光と

相性が悪いのだ。

この構成はたとえこの国の王でも変えることはできない。

風は雷と草と

炎は闇と

水は草と

土は音と

相性がいい。

相性が良いもの同士をくっつけて使うのを融合魔法というそうだ。融合魔法は複数の属性を合わせる魔法で使える人は上段魔法使いと中段魔法使いの上層の人だけだ。だがこのクラスではその手の魔法を好きなだけ学べるのだ。少し普通の人ではない子が集まっているからだ。魔力が絶大な子もいれば、一族の特殊な属性を持っている生徒もいる。いわゆる学園の変わり者を集めた精鋭クラスなわけだ。

「フラム-!風魔法ってどうやるのー?」

じゃれあうように抱きついてくるイリヤを撫でながら呟いた。

「私はまだ魔法なんて…」

そのネガティブ発言に先生は

「フラム、このクラスではネガティブ発言は禁止よ。あなたはこの学園の中でも選ばれた子なのだから自信を持って。まずは手を向い合せにして10㎝くらい離す。そして私が言った言葉を復唱して。“風よ、循環せよ”」

先生に言われた通りに手を配置し、呪文を唱える。

「“風よ、循環せよ”」

すると私の両手の中に小さな竜巻が起こる。

「おぉ…!すごい…!私なんて炎出すのに一週間かかったのに…!」

イリヤが興奮気味に私をゆする。揺すられたせいで竜巻の重心はグラッとした。背筋に緊張が走った。私の手の中の竜巻がもしも、手を飛び出し、この部屋で暴れてしまったらと思った。

「せ、先生。この魔法は私の手の中から飛び出して暴れたりしませんよね…?」

私の質問があまりにもおかしかったのか先生は思わず吹きだして笑い出した。笑われて少し拗ねた声音で

「な、何で笑うんですか…!私真剣に困ってるんですよ…?」

先生は笑いをこらえながら私に説明する。

「フラムが今発動した魔法はC級魔法だから、自分の意思で暴走させない限り暴走はしないわ。魔法にはC級、B級、A級、S級とランク付けされていてね。初等部ではC級魔法をメインに。中等部ではB級を、高等部ではA級をメインに学ぶの。S級魔法はごくわずかの人しか使えないから基本この学園で教えることはないわ。S級魔法は不思議でね、使える人を魔法が選ぶの。私たちは選ばれればその魔法を使うことが出来る。なんて不思議なのかしらね」

私は自分の手の中にある小さな竜巻をみた。この魔法は暴走しないと聞いて少し安心した。私たちは魔法に選ばれた存在なのだと。私たちに選ぶ権利はなく、魔法の力によって、普通の人間であった私たちを魔法使いへと変えてしまったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ