ついに第二章がはじまろうとしていた話
昨日、完結済みの小説である【魔王ゼリリン】全164話の誤字脱字などを修正していたので、投稿できませんでした。
ゼリリンも面白いと思うので、よければ見てくれると嬉しいです(*´ω`*)
──我は誰だ。
──我は今、どこにいる。
『お前は魔王。かつてこの大陸をあと一歩の所まで追い込んだ、最強の魔人だ。……しかしお前は最後の最後で戦いに敗れ、今はかつての勇者に封印され死の世界を彷徨っている』
──勇者。
──そうだ、我は勇者達に敗れた。
──虹色に輝く聖なる武具、そしてその武具に選ばれた人間達の手によって葬られたのだったな。
『そうだ。奴らは神が与えた聖剣に聖槍、聖鎧に聖盾を駆使し、本来の力で大きく上回っていたお前を超えてみせたのだ』
──ああ、懐かしい。
──あの者達は真に素晴らしかったな。
──愛だの友情だのと訳の分からない事を喚き、我を本当に楽しませた。
──実に愉快だった。
『だが、今の世に奴らは居ない。勇者の子孫達は世界中に散らばっているようだが、お前との決戦以降、聖なる武具に選ばれた者は存在していないそうだぞ。私が見た一部の例外を除いて、だがな』
──そうか、今の世にはもう我の脅威となる者は居ないか。
──しかし、今となってはそれもどうでもよい。
──それよりも今は、喉が、喉が渇いた。
──誰か、血を、肉を、魔力を我に差し出せ。
──差し出した者には、褒美として我が肉体、我が血肉として共に生きる褒美を与えてやろうぞ。
──そして、共にこの世界の支配者として君臨させてやる。
『まあそう焦るな。お前に捧げる為の生け贄は存分に用意してきた。好きなだけ喰らうがいい。ただ、こちらがお前の血肉になるのだけは勘弁してもらいたいがな』
──十分だ。
──それが貴様の望みだというのであれば、それでよい。
──そうだな、ならば我が側近というのはどうだ。
──我にしては、これ以上ない譲歩だと思うぞ。
『…………クククッ。まあいいだろう、お前の話に乗ってやる。さてと、それでは商談も纏まったのだから、次は自己紹介といこうか。まあ、こちらはお前の事はだいたい知っているのだがな』
──ふむ、ではお前の名を先に聞いておこうか。
『ああ。私の──、いや、僕の名は****・***さ。ちょっと錬金術が達者な、10歳の男の子だね。特別に****くんって呼んでもいいよ? よろしくね、世界の支配者さん』
◇
どうも、ねこふんじゃったです。
それなりに元気になった盗賊少女リーズちゃんとねこ勇者レイシィを連れ、冒険者ギルドに登録してから一週間が経ちました。
俺の愛の魂が通じたのか、二人とも今では親友のように仲良くなってくれたようで何よりです。
時々、ちょっとだけレイシィがリーズちゃんに舌打ちしたり、リーズちゃんがレイシィを無言で睨めつけていたりしますが、まあ許容範囲内でしょう。
そういう事にしておきます。
そうそう、冒険者ギルドに登録といえば、リーズちゃんの魔法適性は闇属性と無属性で、俺と同じく周囲からの注目を一身に浴びていたようですね。
ギルドでの実力試験も高レベルな体術と器用さで、相変わらずこのギルドで暇だったD級パーティー【鉄壁の盾】に所属する感じの良い青年を圧倒していたので、その注目ぶりに拍車がかかったのは言うまでもない事みたいな、そんな感じ。
というかあの青年、前回も俺達の試験相手になってくれたけど、いつ依頼を受けているのだろうか。
とても疑問である。
ま、いいけど。
……話を戻すけど、闇属性の方は本来の彼女の適性ではなく、課金スキルであるカースⅡが影響した結果だと思うんだよね。
レイシィの武器エフェクトに関してもそうだったけど、どうやらゲーム時代の特殊な装備やスキルというのは、魔力になんらかの影響を与えるようなのである。
ここらへんは調査が必要だと思うけど、まあ体に害がある訳じゃないので後回しでいいだろう。
ああそれと、俺が孤児院に預けた7人の子供達の事だけど、彼らは傍にリーズちゃんが居ない事に少しさびしさを感じつつも、孤児院で出来た新しい友達と一緒になって毎日幸せそうに過ごしているようだ。
彼らのために孤児院の院長先生には、今まで姉貴分として世話をしていたリーズちゃんが冒険者になった事をよろしく伝えてあるので、子供達も納得してくれているようだ。
たまに孤児院に顔を出すと「おっちゃん、リーズ姉ちゃんが活躍してるって本当か!? 俺も大きくなったら冒険者になる!!」とか言っているし、いまも彼らの中ではリーズちゃんはヒーローのようだった。
なんとも泣ける話である。
さて、そんな順風満帆な毎日を過ごしていた俺だが、最近少し暇になりつつある。
いや、優秀な弟子二人を抱える事に飽きたという事ではなく、この町でのイベントはだいたい消化したという意味で、暇になったのだ。
元はと言えば、この町に来た目的は盗賊少女であるリーズちゃんを仲間に入れるために立ち寄ったに過ぎないしね。
そろそろ旅に出てもいい頃だろうという訳である。
というか、早く次のイベントを開始したい。
「という訳で、リーズもレイシィとの共闘に馴染んできた頃だし、もう次の町に行こうと思う。おそらく魔王の足取りを追う旅にはなると思うが、付き合ってくれるか?」
「はいっ! もちろん私はどこまでも師匠についていきます! そのためにこの聖剣を託されたのですから!」
「……当然、私はアイツを呪い殺すためにアースについていく。そのためにこの紋章に誓ったのだから」
二人共やる気満々である。
もしかしたら、次のイベントが楽しみでしょうがないのかもしれないな。
ふふふ、期待していてくれ。
「そうか、では善は急げだ。今日中にもこの町を出ようと思う」
「ちなみに、次はどこを目指すのですか?」
ああ、やっぱりそこ気になるよね。
「うん、次の目的地はこのゴドル王国の首都、王都ヨンドルに向かおうと思う。俺の掴んだ情報によると、どうやらそこで怪しい儀式が執り行われているらしい。それを阻止するためにも、二人の力が必要なんだ。……よろしく頼むよ?」
「「任せて(ください)!」」
二人は意気込み、力強く返事をした。
さて、次は第二章、魔王暗躍イベントに向けて王都ヨンドルに出発だ!!
面白いと感じて頂けたら、作者の活力のために小説への評価をお願い致します!