おしまい
そしてまた祭りは起こるよ
カラスが卵を守るフリをして人の足の指を狙っている
太陽が死体を乾かして作り物だと説得させる
少年酒場で乱闘を起こすと女主人が鉄鍋で殴りかかる
鮮やかな模様の布は少女の結婚衣装のものだ
空へと飛んでいきそうな洗濯物にハゲワシが求愛した
ゴミ山の子供達の足の裏が真っ黒だ
水を求めて土がひび割れながら動くのだ
時の経つのが早い早い
親指大の毛虫が屋根裏で昼寝している
煙草を食べてしまったヘビが爆発する
人々が町を粘菌のように成長させていくのだ
人の声人の声人の声
人はいる限り一生懸命生きていくんだ
死んでも終わりじゃないよ
祭りの中で生きていくんだ
宇宙が消えぬ限りきっと祭りは物語は無くならない
人の息吹きを乗せて……
そしてまた祭りは起こるよ
みんな悪魔とハンターのお面をつけて
みんな広場で一斉に水をかけあう
恋人同士が町の両端から恋人を探して走り回る
鳥達が電線に止まりながらオーケストラ並みの野生の合奏をするのだ
亡霊が地中から半分顔を出しながら名器を求めてじっと見て回る
虫達が木の幹をダンスホールにして力の限り踊り明かす
ねえあなたはどうしてそんなに美しいの?
精霊のみなしごが来た道
動物が実は祭りの裏で人間には気づけないルールで祭りをしている
死神ってどこにいるのかな?
夜の方かな?
夜の方はっていうほどでもないけどもうなんにもないよ
それでいいかなって思いで今日まで生きてるよ
だから人は法律とか政治とか経済とか化学とかいろんな物語作ってるよ
だってそうしないと人間生きていけないもん
ココはどこかな?
だってココ死んだからこの祭りに参加しているはずだよ
日差しの裏かな?
ゴミ山の廃車の隙間かな?
手をつないで屋台回る親子の手の間かな?
どこだろうどこだろう
だからね人間は物語作るんだって
世界作るんだって
それが人間の生きる世界すべてなんだって
だから遠くを見てみよう
遠くを見てみよう
遠くを見てみよう
あっ! ココが駆けてくるよ!
両足は治ったみたいだね!
こんにちはココ
「はい、みなさん、こんにちは」ココの亡霊が言った




