ココ寝たきりになる
処刑人達も手伝って祭りの準備が進められた
透明な子供達の手が町中の家々の壁に証を当てがう
ココが病める体にムチ打って町中の人々に声をかけた
子供達が母親と一緒に戸を飾り付けしていた
現地雇い労働者が酒を飲みながら談笑している
金持ちの家のメイドが市場で恋人と密会している
ギャングが笑いながら人殺した
使われなくなったショベルカーが川底に眠っている
廃車をドンドン分解して木に飾ってみた
ラジエーターを木の根元に置いたら細長く見えた
少女達が新しい服を一生懸命縫っている
ココが全身ぶくぶくと腫れ始めてゴザの上で寝たきりになった
白い仮面の少女がココの身の回りの世話をした
ココが開けられた戸から町の活気を感じていた
ココの童話はどこいった?
ココの両足はどこいった?
天井から息吹溢れてギャングも人殺しも靴屋の主人もほったて小屋映画館主も牛飼いもゴミ拾い女も右目がつぶれた少年もみんなみんな手伝ってくれたよ
こうしてまた明日も終わっていくんだね
生の牢獄
そして祭りの前日になった
いつもと同じように何気なく訪れた朝をココが感じた
ココが泣きごと言うのは止めようと思った
今日もみんな祭りの準備をしているようで外が騒がしい
家の中の臭いがい草の臭いだ
ココが家燃やしてしまったからここはココの本当の家だ
鳥は命の棲家を運びながら南下していく
虫は体を震わせて遊ぶようにして時間を測っている
動物はただ寝床で世界のゆがみが治る日まできっと眠り続けるのだ
町の人々が至る所で群がって話をしている
富める子供も貧しき子供もおもちゃの銃を持って走り回っている
ココが悪魔の声を聞き分けようとゴザの上で目を閉じた
窓から射し入る太陽が温かい風が生きてるってささやくようにゆるやかで感情的だ
ココがもう死人同然で余剰だけで生きていた
ココがあと自分二、三日以内に死ぬと思った
でもそれもいいと思った
ココも子供の指の城の一員になれる
もう子供の指の城はないから明日の祭りの一部になるのだ
そして夜になって町の人々が静かになった
羽虫が集まって車のフロントライトの前でワルツを踊る
老婆が病める体にムチ打って亡夫の愛人を殺しに行った
麻薬売人が気づかれないように暗号の看板をかけた
現地雇い労働者が談笑しながら酔っ払っている
よだれを垂らした野良犬が昨日の食べかけの肉を探している
子供がメチャクチャに絵本を読んだ
捨てられたバイクが花置き場にされている
死体をドンドン火葬して両手一杯の遺灰を手に入れた
昔からある河原の木を切ろうとすると翌日子供の首無し死体があった
業者が動物の皮を倉庫に大量に隠している
午前零時になって祭りの日当日になった
悪魔タタンが屋根の隙間から現れた
ベッドの下から悪魔レキュスタが現れた
「久しぶりに戻ってこれたね!」悪魔タタンが言った
「でも町はだいぶ変わったようだな」悪魔レキュスタが言った
悪魔タタンが屋根の上から指笛吹くと死者と鳥と虫と動物と精霊と魂と悪魔ギャニットと悪魔エドウィンと悪魔ズィーグァンとしゃくとり虫とカラスと猿と白い仮面の少女とウサギとカエルもみんなみんな集まった
だって今日は特別な祭りの日だからね
宿命の萌え木すると空の方から女神様が降りてきた
「あらん、みんな集まってるのね。何してるのかしらん」女神様が言った
「あっ! 女神様! 僕達お祭だから帰ってきたんです!」悪魔タタンが言った
女神様がニコニコ笑って鳥と虫と動物が幸せになる
悪魔達の魂は誰のものでもあってはならない
「ココという女の子がこの祭りを開いてくれたんです」悪魔レキュスタが言った
「おい、女神様はいつこっちの世界に来るんだ?」悪魔ギャニットが言った
「その時は美味しいものいっぱいいっぱい持って来てね!」悪魔エドウィンが言った
「だから僕はその日まで眠る眠る……」悪魔ズィーグァンが言った
この世の敗北者達が眠っている病める者も貧しき者もみな現実に虚勢をはっている
「もうこれで全員? お祭りはこれだけ?」女神様が言った
「違うよ! この町のみんなが今日のお祭りに参加するんだ!」悪魔タタンが言った
「そう。それはきっと死者や鳥や虫や動物や精霊や魂もみんな一緒になって楽しいお祭りになるわね。そのココという女の子はどこ? いっぱい褒めてあげなきゃ」女神様が言った
女神様がゴザの上で寝るココを覗き込んだ




