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猿と白い仮面の少女が手伝いに来た



ココがこのままどうしようかと考えた

荷車でたくさん運ばれるタコ壷に子供達がついて行く

建物の影で人と虫と動物達が一休みしている

魂はどこへ帰ると思う?

きっと女神様のところだよきっと

母と子が渡した綱にシーツかけてお絵描きしている

太陽は誰の上にも平等に降り注ぐよ

巣から飛び立ったばかりの鳥が往来のすぐ上を行く

生者がしにもの狂いで死にしがみついている

ココが今日は乗り気じゃない

でもまたいつか生きていれば書くかもね生きていればきっと

ココがすべてを許すありとあらゆるすべてを許す

生者も死者も鳥も虫も動物も小さく可愛げな子も駆けて行く子供達!

狂気に染まらぬ生がどこにあろう!

この世は狂いの産物が!

お前の生は酷くわん曲していようが黙れ!黙れ

ココの前に猿と白い仮面の少女が現れた

「おいココ、元気だったか。今は元気じゃなさそうだな」猿が言った

「ごめんなさい。あなたが大変な時に私達がいなくって」白い仮面の少女が言った

「いいわよ。人はやはりいざという時は一人でむかえるものだもの。それよりまた私のところに戻って来てくれたことが嬉しいわ」ココが言った

ゴミ山が崩れて滝のようなすごい音がする

ココがゆっくりと起き上がって猿と白い仮面の少女にコーヒーを淹れようと思った

そしたら白い仮面の少女が制してコーヒーを淹れに行った

もう肉の焼くことのない鉄板が虚しい

誰もいない廃屋でドアを叩く音がする

人生とは何だと時計が考える

それはちびっこい炒り種だと奇形種の赤ちゃんネズミが答えた

魔獣はこの町を壊すか?

「ココ、私達はあなたがお祭りを開くと聞いて駆けつけてきたのです。死は戻すことはできませんが、次にやってくる死に対して私達は向き合うための覚悟が必要です。おねがいです、ココ。私達をお祭りに参加させて下さい」白い仮面の少女が言った

「もちろんОKよ。私は誰にも頼らないわ。お祭りは一人一人の内から自然と湧き出すものだわ。この前みたいに無惨に終わらせない、絶対」ココが言った




ココがソファの上で話し合いをした

NPО職員の持って来た図鑑に子供達が群がる

町中の人々がココの祭りを知ってソワソワする

今度は大丈夫なの?

きっとまたダメじゃない?

人生が自分の描いた通りに行くなんてごく稀よ

神様は平等に人間に微笑むけどね

フラっと遊びに来た亡霊が電柱から電柱に跳び移っている

太った男が一生懸命紙幣を大鍋で煮る

ココの前にネズミとカエルが現れた

「こんにちわ、ココさん。お久しぶりです」ウサギが言った

「僕達ずっとケンカばかりしていたんですけどついに仲良くなれました! だからあなたへの恩返しがしたい! 仲直りのキッカケをくれたあなたに! だからここに来ました!」カエルが言った

「良かった仲直りできたのね! すごくいがみ合ってたから心残りだったの。みんな元気にやっているの? すごく懐かしいわありがとう、ありがとうねぇ」ココが言った

子供達が自然からの配達人になって町中を駆け巡る

地下からアリが湧き出す

売春宿の主が殺し屋にビクビクしている

虫の亡骸が牛に踏み潰されて大地の一部になるよ

野生の本能を目覚めさせた男が自殺してもう一人の鏡の自分に会いに行った

取り壊された棺が赤ちゃんの乳母車に再利用されるのだ

木々が騒ぎ出して悲鳴のような殺気を出す

「とりあえず何もないところだけどゆっくりしていってね」ココが言った

白い仮面の少女がネズミとカエルにコーヒーを持ってきた

屋台で肥満女が客人に豚のスープをふるまう

いつもは読書にふける時間の月が考える

神の肉体を人が求めるのは四兆km巻かれたガムテープだと青い炎と赤い地が答えた

処刑人はこの町を壊すか?

「ココ、私達はあなたがお祭りを開くと聞いて駆けつけて来ました。あなたはもう死に直面して肉体的にも精神的にもしとやかにそして情熱的になっていると思います。お願いですココ、あなたの最後を私達にも共有させて頂けませんか」ネズミが言った

「もちろんОKよ。あなた達のためになるのなら。お祭りは生きるために意思なき生き物として続いていくべきなのよ。より多くの人に伝承していくことが大事なの」ココが言った



*三千三百五十九*



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